それ以上の幸せ。～ attend ～

カムフラージュ

４. 右か、左か

塚田つかだ 信之のぶゆき

２９歳。

１年ほど前に、【 attend 】入会。

担当者 エリー。

１年前から、婚活に対し積極的だが、


「 顔は、可愛くて綺麗な方で。

面食いなんです…。顔重視です。

子供は、お母さん似になってほしい。」

「 身長は、１６０cm 以下じゃなきゃ

嫌なんです。僕が、１６２cmなんで 」

「 都会で生まれ育った人じゃなく、

田舎育ちの女性がいいです。」

「 年齢は、絶対に！ ２０代で！！

子供が沢山欲しいんです！！ 」

「 明るく よく話す人より、

僕の話を黙って聞いてくれる、

もの静かな女性がいいです。」

「 外でバリバリ働く女性ではなく、

結婚したら専業主婦になってくれる、

おっとりとした女性がいいです。」

「 あと、話し方なんですが … 」… …


とにかく、

女性に対しての理想が高過ぎる。


今まで紹介した女性は、計１６名。


だけど、相手の女性から断る前に、

紹介した相手を、全て塚田から断る。

「 笑い声が苦手 」

「 僕の目を見て話さなかったから 」

「 くしゃみの仕方が嫌い 」… …


それなのに、
まだ、婚活を続けたがる男。


そんな塚田は、

汗かきの小太りで、
服のセンスも ずば抜けてダサい。

顔は… 、中の下 ではなく、下の中。

恋愛に奥手。キス経験は無い。

素人童貞。( 玄人は、多数ある )

両親が、土地を大量に持っている為、
お金は、惜しむ事なく 両親が出す。
なので、社会経験が全く無い。


もし、担当者が サムライだったら、

「 うっさいボケ！ 

てめぇの身の程を知れ！カスこらっ！」

と、テーブルを蹴り上げていても、
おかしくはない。


決して塚田は、営業妨害目的 ではない。

塚田の目は、いつだって 真剣だった。


だが、スタッフ泣かせ的な要素が、
満載だった。


そんな塚田が、
先週 エリーに伝えてきた。


「 僕は、エリーさん。

君と、結婚したくなりました。」と。