それ以上の幸せ。~ attend ~ 

rosebeer

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カムフラージュ

2. 右か、左か

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「 その案件、新 使おうや 」

エリーが、身ぶり手振りで
紫空に説明をしている最中に、

まるで忍びのように気配を消しながら、
サムライが エリーの横に立った。


「 ビッ!!! … クリしたぁ~ 」

エリーは 叫びそうな口を両手で抑え、
両目を大きく開きながら、
ニヤリ顔のサムライを見る。


「 えっ?! 俺 ? 呼びました?」

割りと近くに立っていた新が、
早歩きで紫空のデスクに向かってくる。

「 私の席は、いつも賑やかだなぁ~ 」

学生の教室みたいなノリが漂う中、
エリーの話を真剣に聞いていた紫空は、
その真顔を崩さなかった。

「 新の初仕事。いけるよな?」

サムライは、くるりと振り返り、
もう すぐ目の前まできていた新に聞く。

「 えっ? 雑用以外の、仕事?」

新の顔つきが、次第に明るくなっていく。

「 雑用なんて、うちには無いから。

どんな仕事にも、
大きい小さいなんて無い。

全てが、意味のある仕事。」

新に鋭い視線を送り、
紫空は ピシャリ!と、きつく伝える。

「 うぃぃー 、… じゃない。はーい… 」

社長に また叱られ、
新の顔つきが、次第に暗くなっていく。


「 まっ、ええやないか。

紫空、やらしたったらええ。」


新の肩をポンポンッと叩き、

「 な?」と、サムライは新に微笑む。


「 俺で、いいんですか?

ていうか… 、何の仕事?

えっ? 俺、何すればいいの?

緊張してきた、緊張してきた!!」


サムライと紫空の顔を、
高速で交互に見ながら、
新は両手をバタバタと振り回す。


「 おいおいっ…、大丈夫かよぉ~… 」

紫空は笑いながら、

つい1時間前に聞いた声を 思い出した。



" 「 俺を 信じろ 」 "   …




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