11 / 105
初期設定
10. 蜻蛉玉
しおりを挟む「 ねぇ。何で、サムライなの?」
昼休憩中に、
新に食事に誘われたサムライは、
一緒に入った近場の町中華で、
あんかけ焼きそばを啜る新に聞かれた。
「 … 今日は何や? 質問が多いな… 」
一人言のつもりが、
やけに大きく呟いてしまい、
それを聞き不思議がる新の顔を見て、
サムライは 思わず笑ってしまう。
「 … ? ねぇ、副社長さん。何で?」
「 知らん。
あいつが勝手に、そう呼んどるだけや 」
「 あいつ、って? 」
「 紫空( しくう ) 。」
「 誰それ。 」
「 ぶはっ 」
食べかけていた回鍋肉を、
危うくサムライは、
唇からスポンッと、
吹き飛ばしそうになる。
むせながら、
「 おまえな、
社長の名前ぐらい覚えとけや。」
と言って、
慌てて口元をティッシュで拭いた。
「 あぁー、社長か。呼び捨てなんだ?
めずらしい名前だね。」
新は、
何も見なかったふりをして、
目の前のあんかけ焼きそばに集中した。
「 … 何や? 妬きもちか?」
落ち着いた口調で問うサムライに、
新は箸を皿の上に置き、
「 まぁね。今はね。」
と、淡々と答えた。
「 そうか 」
サムライも、淡々と応える。
嫌な空気ではなく、
馴染みあるような沈黙が続いた後、
新が、何かを切り出そうとした時、
「 まぁ、あれやな。
俺からみんなに言う事やない。」
と、サムライは水を飲み干した。
左手首につけている、
ROLEXの時刻を気にしながら、
食欲を無くし、
自分が食べ残した回鍋肉を見つめる。
誰にも見せる事の無い頭の中で、
午後に詰まっている予定の事や、
今 目の前で寂しそうな顔をして、
妬きもちを妬いている新の事、
休みの日には何をするべきか、とか…
同時に、目まぐるしく 考えていた。
「 新 。おまえがな、
Xジェンダーだろうが、何やろうが、
俺らには、おまえが必要なんやで。」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる