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ダーヴィッツ

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2章『都堕ち』

ダイダロス新大国

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あれから8ヶ月が過ぎた。

ガルサルム大国はヴィンセントの切り替えにより、『ダイダロス新大国』として引き継ぐ形になった。国土を維持するスペックが増し、ヴィンセントの迎撃システムの強化によって以前より安定して国内を管理する事が可能になった。新たなヴィンセント『Daedalus』の所有者であるフェイムスさんを王に、アドラさんを王妃に迎える形になったが、レックス王の崩御(ほうぎょ)を好機としたイグザ帝国は、しばらくダイダロス新大国に侵攻をして来た。

そのため、一度ガルサルム大国騎士団を解散させて、『十一枚片翼(イレヴンバック)』を新たにダイダロス新大国の治安統治組織とした。元々組織の人数はガルサルム大国騎士団の半数ほどだったので、人員不足を補うため騎士団からの再雇用のほか、全国からの国籍・身分を問わない傭兵の『徴兵』を行った。

当時は国内からの反発がほとんどだった。僕達はクーデターの実行犯、レックス王・シュバ隊長の殺害の容疑がかけられる。『巨人』『フレア』の出現により国内が混乱している隙に犯行に至ったと世間は見ている。勿論違うのだけれど、そう思われても仕方ないとは思う。

だが、その容疑はレックス王とシュバ隊長が生前に撮っていた映像が国内に流されたことで晴れた。レックス王があらかじめ、こうなる事を予期してのことだったのだろう。これまでの経緯、選抜隊の意義、そして自分の死期のことも。改めてレックス王の器の大きさを感じる。それでも、国内の不安や不信感は完全には拭えなかった。

そして、新しい『十一枚片翼(イレヴンバック)』でもそれは同様だった。僕とゼロはまだ一部の人達から信用されていない。ガルサルム大国騎士団からの再雇用組からは勿論だけど、『十一枚片翼(イレヴンバック)』の人達からも未だに不信感は強い。今回のクーデター計画は一部の人しか知らなかったため、他の人はフェイムスさんから改めて意図と意義を伝えられたが、最大の疑念は『サナさんの安否』だ。これまで『十一枚片翼(イレヴンバック)』の人達はサナさんとフェイムスさんの奴隷解放運動によって救われてきた人達がほとんどなんだ。その命の恩人を救えなかった僕達に、行き場の無い感情を抱えている人も少なくないだろう。

ガルサルム大国騎士団からの再雇用組も不信感を拭えずにいた。レックス王・シュバ隊長の死亡による新体制。レム・レイ隊長の裏切り。ベガ隊長・ブルーム隊長の行方不明に加えて、僕達の存在。勿論全員をそのまま新組織に入れる訳にはいかなかった。特にレム隊長が指揮していた4番隊は、一部がギュンターに引き抜かれていてコキュートスに移ったが、残った隊員の疑いが晴れた訳ではなかった。再雇用されなかった一部の騎士団員達は反乱を企てているとの情報もある。

ガルサルム大国の課題は払拭出来たが、コキュートスの独立など、様々な課題が新たに僕達の前に現れている。良くも悪くも、この国は新しくなった。そのための『十一枚片翼(イレヴンバック)』はまだ一枚岩になれていない。

『十一枚片翼(イレヴンバック)』がダイダロス新大国の治安維持組織として機能するためには幾つか必要なものがあった。まず何よりも『信頼関係』。国民からもそうだが、組織の軸となり、トップとして隊員達を統率することが出来なければ、いくら優れたチームでも機能はしない。そのためには実力を示し、組織の存在意義や理念を共有しながらチームが向かうべきベクトルに導くことが出来るリーダーが必要である。何十万人も所属する『十一枚片翼(イレヴンバック)』なら尚更だ。

「そこで諸君には俺とジンを相手に組手をしてもらう」

ここは旧ガルサルム大国騎士団の訓練所。戦闘訓練などが、かつてここで行なわれていた。広大なフィールドには1万人ほどの志願者が集められている。僕達2人の周りを血気盛んな人達が取り囲んでいる。

「俺とジンに1発でも入れたら誰でも『隊長』にしてやる。ルールはそれだけだ」

旧ガルサルム大国騎士団が『十一枚片翼(イレヴンバック)』に加わったことで、かなりの大所帯になったため『新体制』をとることになった。総隊長ゼロのもと、部隊を大きく1から10にまで分ける。『いずれは各部隊の役割と統治する地区も決めていくが、まずはそのトップの隊長をこの組手で選抜をする』とゼロが宣言すると、これだけの人達がダイダロス中から集った。旧ガルサルム大国騎士団、十一枚片翼(イレヴンバック)、徴兵によってダイダロスに来た傭兵など。いずれも強者揃いだ。

人混みの中から、様々な声が聞こえる。

本当に隊長になれるのか。
あんなガキが?
アイツらがサナさんの……。
やってやる!
ふざけやがって。
死ねばよかったのはお前らだ。
人殺し。
めちゃくちゃだ。
何様だよ。
お前らのせいで……!


僕は耳を覆いたくなる。

何故僕はここに立っているんだろうか。東の発電所で『無限剛腕(ヘカトンケイル)』を無理矢理使わされていたところをサナさんに助けられた。暗闇から陽のあたる場所に連れ出してくれた『太陽の花』のような人。あの人の近くは本当に居心地がよかった。でもそのサナさんはもういない。きっと周りにいる人達も、同じような哀しみや悔しさを抱えていて、どうしようもなくて苦しんでいるんだ。助けられたのは僕だけじゃない。

「あー、諸君」

ゼロがチラッと僕を見ると周りに呼びかける。

「君達の不満や不安は計り知れない。体制が変わったこと、サナのこと。正直、すぐに納得して欲しいとは言わない」

周りの人達は僕達を睨み付ける。

「だが、今から、特に俺は。君達を全力で潰す。何故なら俺にとってジン。こいつはもう家族以上の存在なんだ。そいつを侮辱する君達に加減は一切しない」

ゼロは剣を抜く。

「だが、それは君達にも言えることだ。君達を笑う者がいれば、俺は全力でそいつを潰す。例えそれが何処かの貴族でも。命をかけて国を護ろうとする者の誇りを踏みにじるやつはどんな奴が相手でも、俺が完膚なきまでに叩き潰す」

そして光属性の『超越(トランス)』状態になる。
その圧力(プレッシャー)に隊員達は慄(おのの)く。

「まだ文句があるやつは俺達に直接ぶつけてみろ。そのための場でもある。さぁ、かかって来な。それでも俺達に勝てない奴。つまり俺達がダイダロスで『最強』である限りはついてきてもらうぜ」

ゼロはまたこちらを見る。
そしてニカッと笑い、こう言う。

『アイツら這い上がれないまで落としてやれ!』

親指をたて首元でクロスする。僕は思わず吹き出して笑ってしまった。あーあ。一体何を1人で悩んでいたのだろう。こんな優しい人はサナさん以外知らないや。

ゼロは分かっているんだ。今、何をすべきなのかを。やり方はめちゃくちゃだけど、組織の不満や不安を解消したうえで、強い人を選抜しようとしているんだ。そして自分が前に立って皆を導こうとしている。ゼロの背中を眺めながら僕は『無限剛腕(ヘカトンケイル)』から剣を抜く。

『超越(トランス)』

僕も諦めちゃダメなんだ。
僕達がしてきたことを。
そして、僕自身を。




1番隊 ベアトリクス 総隊長補佐 単独
2番隊 ゼロ 総隊長  単独
3番隊 ジン 副隊長 単独
4番隊 シュウ 救急・医療部隊 1万人
5番隊  シキ 国家施設管理防衛  2万人
6番隊 エバンスゲート 国内管理部門 8000人 
7番隊  ロバート 外交・国際政治部門 6000人
8番隊 アッシュ 戦況管理部隊 1万9000人
9番隊  ルシュ 戦闘部隊 2万6000人
10番隊 レイヴン 戦闘部隊 2万5000人

ゼロと僕の組手で、このように『十一枚片翼(イレヴンバック)』の新体制は決まった。結果として、『超越(トランス)』状態の僕達に触れることが出来た8名を隊長に任命することになった。僕達2人への隊員達の不安や不満は、組手でぶつかることで下火になった。まだ完全に払拭は出来てはいないだろう。だが、僕達の実力を示すことは出来た。8名の隊長以外は(主にゼロに)全員触れることが出来ずぶっ飛ばされていた。あとの信頼は今後の行動で得るしかない。選抜が終わり、僕達は今後の方針を決めるべく『隊長会議』を王城の一室で開いた。

「アッシュさんもダイダロスに来てたんですね」

その部屋に向かう途中、アッシュさんを見掛けて声をかける。ドン・クライン国の闘技場(コロシアム)で出会った彼はイグザ帝国の元軍人だったらしい。今はイグザ帝国の軍隊から退役をしていて、フリーランスの傭兵として世界を旅している。そんな折、彼はゼロにスカウトされた。

「世界中が君達に注目している。こんな私でもまだ役に立てるなら、軍人としてこれほど嬉しいことはないよ。ジン」
「この国には慣れましたか?」
「そうだね。良い国だ。何より民の心が強い。老人や女子供のような弱者が幸せなら、その国は良い国だ。王が代わって間も無いのに力強く生きている。きっと、先代国王と現国王が国へ尽力していたおかげだろう」

場内の廊下を2人で歩いていると、向こう側からベアトリクスとシュウさんが一緒にやってきた。

「やっほー、ジンくん」
「あ、ジン!」
「こんにちは。シュウさん、ベアトリクス」
「あれ、そっちの人はたしかゼロが言ってた……」
「アッシュだ。お初にお目にかかる。お嬢様方」

アッシュさんは胸に手を当てて、2人に礼をした。「紳士だ……」と2人は感心の眼差しを彼に向ける。

ベアトリクスはギュンターに造られた人造人間(ホムンクルス)の生存者で、先の戦いでゼロによって保護された。闘技場(コロシアム)にいたベアトリクスとは違う個体である事をアッシュさんに説明すると理解してくれた。戦闘力は闘技場の時同様に、やはり特出していた。それゆえ、ゼロの総隊長専任補佐官という役職を担っている。奴隷から解放され、命を救われたベアトリクスはゼロにとても懐いている。まるで兄妹だ。

シュウさんはそういえばヨーク村でしか会ったきりだったけど、『フレア』が来た時に旧ガルサルム大国に『十一枚片翼(イレヴンバック)』を率いて駆けつけてくれた。元々は貴族で、サナさんと知り合ってからは活動を共にするようになったそうだ。治療に特化した水属性と光属性の『覚醒者』で、医療技術はダイダロスでもトップクラスだという。サナさんのことを伝えると、彼女は笑って許してくれた。「こらこら。ジンくんのせいじゃないでしょ」と言って、頭を優しく撫でてくれた。とても優しくて強い女性だ。でも、時々堪えきれず、陰でゼロの肩を借りてシュウさんが泣いていたのを僕は知っている。

僕は許されたかったわけじゃない。むしろ、ずっと許さないで欲しい。僕のせいでサナさんは死んでしまった。僕が弱かったから。僕達を逃すため、殿(しんがり)としてテラを迎え撃ち、相討ち覚悟で自爆をした。僕が助かるより、サナさんが生きていた方が、きっと多くの人にとって幸福だったはずだ。

だから、どうか許さないで欲しい。罪の意識がなくなると、僕が生きていく意味がなくなってしまうから。そうでもしないと、サナさんがいないこの世界で生き続けることなど、僕には出来ないのだから。

サナさんと出会ってから、僕は少しずつ奴隷から人間になってきたけど、サナさんが死んでしまってから、少しずつ僕自身が壊れていく音が聞こえる。





「よし、始めるぞ」

王城の一室に任命された各隊長が一堂に会した。新たな『十一枚片翼(イレヴンバック)』にまだ隊服はなく、旧ガルサルム大国騎士団の黒の隊服と旧十一枚片翼(イレヴンバック)の白のコートどちらかを着ているかで派閥を明確に分けていた。巨大な長机にそれぞれが席に着くとゼロが口火を切った。

「議題は今後についてだ。最優先事項はコキュートスの調査とダイダロス新大国の基盤固め。知っての通り、元三賢人ギュンターを筆頭に、英雄アーク、黒凪のレイがコキュートスを独立国家として独立宣言した。我々は今後の動向を知らなければならない。星の守護者(ガーディアン)の使役化、人造人間(ホムンクルス)の製造による軍隊構築。いずれにしても世界の脅威になりつつある」

ゼロは続ける。

「早急に手を打つ必要があるが、ダイダロス新大国の護りを固める必要もある。隊員の数がまだまだ足りない。新隊員の募集と戦闘訓練による育成も今後常に行なっていく。100万人が目標だ。そして、『十一枚片翼(イレヴンバック)』の本部を新たに国内に設立する。既に着工中だ。来春には隊服と共に完成する。それまでに……そのギスギスフィーリングをやめろ」

会議室の中は険悪なムードが漂っていた。主に旧ガルサルム大国騎士団と旧十一枚片翼(イレヴンバック)による睨み合いが原因だ。

「総隊長よぉ……」

ヒゲが顔の輪郭に沿って見事に生えている和服姿に黒コートを肩に羽織った男性が口を割る。両腕を頭の後ろで組みながら天井を眺めている。彼は10番隊隊長のレイヴンさんだ。旧ガルサルム大国騎士団の元5番隊隊長『森羅』のブルーム隊の副隊長。彼はその実力を買われて再雇用された。世界で唯一発現した希少種『木』属性の使い手。戦闘力は旧ガルサルム大国騎士団でも隊長格になってもおかしくないほどの折り紙つきだ。元々5番隊は強硬派だったため、そもそもこういった話し合いの場に出てくること自体が珍しいらしいけど。

「アンタがオレ達より強いから上に立ってるのは納得したよ。元ガルサルム大国騎士団のほとんどはアンタのような強い奴が好きだ。だから、アンタからの指示なら従う。だが、そっちの『十一枚片翼(イレヴンバック)』の奴らと一緒に動く必要があるのかい?ウチの部隊にも元々の十一枚片翼(イレヴンバック)の子が配属されるらしいが……、イマイチ信用出来ない」

レイヴンさんは視線を対面に座る9番隊隊長ルシュさんに移す。十一枚片翼(イレヴンバック)の白コートを着た金髪の男性。ルシュさんは静かに目を閉じている。先刻の僕達との組手で特に異彩を放っていたのは、この人だ。光属性と闇属性の『覚醒者』という希少的で、それでいて高い戦闘力はゼロにも匹敵するかもしれない。光と闇の二刀流ルシュ隊長。元十一枚片翼(イレヴンバック)総大将。

「こっちにはこれまで騎士団で培ってきた騎士道精神と旧ガルサルム王国統治のいろはがある。つまりは、だ。オレ達のやり方があるってことよ。そこは分けてやらせてくれないかねぇ?」
「ふざけるな!」

レイヴンさんに旧ガルサルム王国騎士団1番隊隊長のシュバ隊長の副隊長エバンスゲートさんが噛み付く。翠色と銀色のメッシュが混じった鮮やかな髪色をした女性。これまでは主に国内情勢に関する仕事を任されていた。

「貴様、総隊長も十一枚片翼(イレヴンバック)との統合、情報共有、団体行動を望んでいる。貴様の意見など聞いていない!」
「エバンスゲートぉ……、お前さんは後からのこのこやって来た奴らにこの国を任せちまっていいのかい?」

両者はしばらく睨み合う。

「俺も十一枚片翼(イレヴンバック)単独で動きたいかなぁ」

間を割ったのはロバートさんだった。旧十一枚片翼(イレヴンバック)の外交官。アドラさんの補佐役としてドン・クラインなどを中心に外交活動を行っていた。政治、宗教、ビジネス、戦争。様々なルートで諜報活動を行いながら国同士の関係を構築するための窓口として役割を担っている。

「正直、今までと変わらない方が仕事はやり易いんだよね。そこはその旦那と同意見だわ。まぁ、あくまで俺の意見だけど……『負け犬』に国任せるよりは、自分達で動いた方がお国のためになるんじゃないのかねぇ」
「……なんだと」

今度はエバンスゲートさんが反応する。

「撤回しろ。ロバート氏。騎士を愚弄するのは例え仲間になる者でも容赦しないぞ」
「仲間?オタクらの尻拭いしてやったのは俺達だぞ。レムやギュンターが暗躍していた時にお前ら何してた?」
「……っ」
「やめろ」

エバンスゲートさんがロバートさんに詰め寄り掴みかかろうとした時、ルシュさんが初めて口を割る。視線を合わせるとロバートさんはすんなりと引き下がった。エバンスゲートさんは怒りをぶつける場所が急になくなり、その場に立ち尽くす。

「元部下の非礼を詫びる。すまない」

ルシュさんは立ち上がりエバンスゲートさんに陳謝する。突然の謝罪に戸惑いながらエバンスゲートさんは「いえ、こちらも熱くなった。申し訳ない」と頭を下げた。

「……で?どうするんだ?」

5番隊のシキさんが尋ねる。徴兵によって集められた『霆獄』出身の元囚人。白髪の女性。前世界での罪により投獄されていたが、ロバートさんがアドラさんを通して出所させたらしい。罪状は聞かない方がいいと言われた。

「しばらくは今まで通りでいいんでない?」
「オレも同意見だ」

ロバートさんとレイヴンさんが言う。

「しかし、それではっ……」
「オレ達は納得出来ても、部下達が納得出来ない者がまだまだいるだろうよ。おむかいさんの腹の中も分かったしな」
「そーそー。ウチらもアンタらの面倒をみて余計な仕事増やしたくない」
「ほう。どうやら随分自信があるようだ」
「まぁね。奴隷を作っていたのは旧ガルサルム王国騎士団4番隊とギュンターのクソ野郎。そこに組みしてた奴をウチの部下は信用出来ないでしょうよ」
「待て、ロバート氏!我々は……」
「関係ないとでも?」

平行線のままだ。旧ガルサルム王国騎士団と旧十一枚片翼(イレヴンバック)がお互いに相容れない状態が続く。これではまるで、まとまらない。組織として異分子同士が自分達を守るために反発し合っている。旧ガルサルム王国騎士団は国を長年護ってきた自負があり、旧十一枚片翼(イレヴンバック)には奴隷制度や人造人間(ホムンクルス)などに関わっていたことへの不信感が拭えずにいた。

「好い加減にしなさい」

その瞬間、身も凍るような怒気が籠った黒い『閃刃(スラッシュ)』が部屋全体を包みこむ。それはベアトリクスから放たれていて、もはや殺意に近かった。首元に刃を突きつけられ隊長格はその脅威に沈黙を余儀なくされる。

「これ以上ゼロに無駄な時間を費やさせるつもりなら。貴方達全員殺すわよ」
「ベアトリクスありがとう。けど、刃は仕舞え」
「はーい」

ゼロがベアトリクスに注意をすると素直に魔法を解除する。冷や汗をかいたエバンスゲートさんとロバートさんは静かに席に着く。レイヴンさんとルシュさんは顔色を変えずにいた。

「まだまだ、道半ばだなこれは。まぁいい。じゃあ先に他の議題だ」

ゼロが僕に視線を移す。

「『フレア』と『無限剛腕(ヘカトンケイル)』についてだ」
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