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第百二十三話 「ロゼ」より、私達より感謝をこめて(6)
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最終日、ということでいつもなら5時過ぎには閉めてしまうこの店を、今日だけ12時まで空けておくことにした。
いつもはお酒は出さないが、今日だけ特別に、
早く来たお客様にも長く楽しんで貰えるようにお酒も出すことにもして。
午後六時過ぎともなると、ほぼ常連客で席は埋まっていた。
閉店の理由を告げるとどのお客も「めでたい」と頬を緩ませ、笑いかけてくれたのは
きっとこの店が少しでも愛されている証拠なのだろう。
注文のラッシュが少し過ぎ、お酒を飲んでにぎやかになったお客で満たされた席を、皿洗いをしながら
ぼーっと見つめていた。
「…おい、何か手伝うことあるか」
「…あらハヤテ。いらっしゃいませ」
ぼーっとしているあまり、来店のベルが鳴ったことにも気が付かなかったらしい。
カウンター席から少しボロボロになった隊服を着ているハヤテが声をかけてくれた。
「来るの遅くなって悪かったな。…いや、別に俺来なくてもいいか」
「まあなんてことを言うんです。嬉しいに決まってるじゃないですか!
どうぞお席にお座り下さいな。」
「だからなんか手伝うことあるかって聞いてんだよ。
ぼーっとしてたみたいだし、体調は大丈夫なのかよ」
口調は少しきついが相変わらず優しいな、とほほ笑んだ。
「最後ですから、私に全てやらせてください。
…ん~、ぼーっとしてた、かもしれませんけど、体調が悪いとかじゃないんです。
何だろう、嬉しくてうっとり…?のぼせてたのかもしれません」
「…やっぱ最後だもんな」
「はい。
いやあの…やっぱり閉めるのが惜しくなったとかじゃないんですよ。
ほんとこのくだり何回目だって話なんですけど…。
今はこのお店に来て下さった方も、愛してくださった方はもちろん…
賑わう声やお皿を洗う音さえもなんだか愛おしいなって。そんな感じです」
「…ふ~ん。…あ、俺チーズフォンデュとジンジャーエールで」
ハヤテが少し顔を赤らめると、店のことを語ったことをガン無視してオーダーをしてくる。
「かしこまりまし…って、私の語りは無視なんですね。はいはい」
「聞き飽きてんだよ、お前がこの店のこと愛してるなんざとうの昔に知ってることだ。
だからまあ…最後まで大事にしてやれば。」
「もちろんです!」
そんな会話をしていたらまたの注文のラッシュが続き、そろそろお酒が空に
なりそうだった。そして午後十時頃、緊急会議に呼び出されていたユーシアスが帰って来る。
「ろ、ロゼっ…無事か!?」
「息切れしてまで帰ってこなくて良かったんですよ、まったく…。
元同僚の皆様がついていてくださいましたから、大丈夫ですわ」
「…よかった。体調は悪くないか?」
「ええ。今日は調子が良いので心配には及びません。
それより、そちらの用事は大丈夫なのですか。」
「ああ、大丈夫だった。というか大丈夫でなくても戻って来る」
騎士団長がそんなことを言って良いのやら…と思うが彼が気遣ってくれている気持ちを
無下には出来ず、「はいはい」と笑った。
束縛じみた行動はめっきりしなくなったとはいえ、やはり彼は過保護のようだ。
「おう、ロゼちゃん、その人が旦那か?」
客席の男性から、声がかかる。
確かに「結婚して子供が産まれるので、お店を閉店とさせていただきます」とは言ったものの、
結婚相手の話をお客にしたことはなかった。
「あ、はい。そうです!」
「え、あんたがロゼちゃんの旦那さんかい!」
「え、旦那様えらくハンサムな人じゃないか!」
「ちょっと紹介してよ~」
そうです、と答えると、いっきに客席の注目を集めることになった。
こういう時どうすれば…とおろおろしてしまったが、ユーシアスが肩に手を添えて、
「せっかくだから君のお客様にご挨拶させてくれ」とほほ笑む。
「…はい、お客様がよろしいのなら」
「ありがとう。
せっかくなので、妻の店を愛してくださった皆様に、ご挨拶をさせていただいて
よろしいでしょうか」
ユーシアスが客席に呼びかけると、お客は優しくそれを受け入れてくれた。
「是非!」 「馴れ初めは~?」などの声があがり、ユーシアスに手を引かれ、
客席の中心まで手を引かれる。
するとお客は興味津々と言うようにぴたりと会話を止め、
話を聞く姿勢を取ってくれた。
「カフェ「ロゼ」にお越しくださったお客様方、お話を中断させてしまい、申し訳ありません。
ええと、ロゼの夫のユーシアスと申します」
そうユーシアスは礼儀正しく丁寧に挨拶を始めてくれた。
「妻と出会ったのは別の場所なのですが…私もこの店を通じてロゼとは親しくなりました。
お客様もご存じの通り、妻は正直で優しく美しく、実は三年前から彼女のことを好いていたりして…」
お客様もご存じの通り正直…まではいいが当然のように「優しく美しい」などと言われては
恥ずかしいったらありゃしないと、肘でユーシアスを突いた。
「とんだのろけね」
「確かにロゼちゃんはいい子だ」
と、お客はこっちが恥ずかしいと言う様に照れ笑いしながらもツッコミはいれてくれなかった。
「ロゼには何回もこの店で人のいない時間帯を狙ってはアタックしましたけれど、
なかなか応じてくれなくて…、困難もいざこざもありましたが、彼女はこんな私を選んでくれた…
というのがざっくりとした馴れ初めでしょうか。
人のいない時間帯を狙って来ていたので私を知るお客様は少ないかもしれません。
ですが、夫としてでなく、私も一人の人間として、彼女の店を、「ロゼ」を愛している人間の一人です。
…そしてここからは、夫としての発言となりますが、皆様、私の妻の、この店を愛してくれて、
見守ってくださって本当にありがとうございました。心より感謝を申し上げます」
ユーシアスが客席に幸せそうに笑って、頭を下げた。それに続いて頭を下げる。
そうして暖かい声と拍手があがり、「幸せになってね」という言葉に泣きそうになる。
「暖かいお言葉をありがとうございます。お客様、最後に店長の私からも挨拶をさせて下さい。
…私がこの店を開くにあったっては色々ありまして、実はある方から婚約破棄を言い渡され、
その賠償のような形でこのお店を頂いたのが始まりだったったりします。
そんなこんなで開業したこのお店ですが、来て下さるお客様全てが生きがいで、優しくて、暖かくて、
私このお店が大好きです。皆さまも同じ気持ちであられたなら、…この上ない幸せです。
そして、大好きなこのお店で色々な人に出会い、夫にも巡り合えました。
ここは私の始まりの場所にして、人生最高の幸せを得られた場所です。」
そうして、こぼれそうになる涙をぬぐって、ユーシアスの手を握る。
「…っ、本当に、本当に、短い間でしたが、その短い時間でこのお店を愛してくださった皆様、本当に、本当にありがとうございました。ロゼより、私達より感謝を申し上げます。」
感謝の気持ちを全部伝えきった頃には、涙が目から溢れかえって止まらなかった。
「私達からもありがとう!」
「このお店が大好きだよ」
と、いう声が、次々に上がる。
「っ……あ、ありがとうございますっ~…。
うっ…、ユーシアスも、本当にありがとう。あなたに出会えて、結ばれることができて、私本当に、本当に私幸せです…」
「俺もだよ。ふっ…、最後になんて顔をしてるんだ君は。
酷い顔だぞ」
「だって~…」
そうして涙が落ち着いて、十二時まで客席で騒いで、色々な話をして、
一緒に料理を食べて、今までの人生の中で一番笑った。
そうして、幸せってこういうことなんだろうなと、たくさん感じた一日が、終わる。
片づけをすべて終え、真っ暗になったお店に、ユーシアスと手を繋いで、二人で頭を下げる。
「…ありがとう。あなたのおかげで私、今とても幸せです」
「ロゼ?」
「ううん、何でもありません。帰りましょうか」
最後に、このお店にも感謝の言葉をつぶやいて、来客を知らせるベルを、取り外す。
「…これをもって、カフェ「ロゼ」を閉店といたします。」
いつもはお酒は出さないが、今日だけ特別に、
早く来たお客様にも長く楽しんで貰えるようにお酒も出すことにもして。
午後六時過ぎともなると、ほぼ常連客で席は埋まっていた。
閉店の理由を告げるとどのお客も「めでたい」と頬を緩ませ、笑いかけてくれたのは
きっとこの店が少しでも愛されている証拠なのだろう。
注文のラッシュが少し過ぎ、お酒を飲んでにぎやかになったお客で満たされた席を、皿洗いをしながら
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カウンター席から少しボロボロになった隊服を着ているハヤテが声をかけてくれた。
「来るの遅くなって悪かったな。…いや、別に俺来なくてもいいか」
「まあなんてことを言うんです。嬉しいに決まってるじゃないですか!
どうぞお席にお座り下さいな。」
「だからなんか手伝うことあるかって聞いてんだよ。
ぼーっとしてたみたいだし、体調は大丈夫なのかよ」
口調は少しきついが相変わらず優しいな、とほほ笑んだ。
「最後ですから、私に全てやらせてください。
…ん~、ぼーっとしてた、かもしれませんけど、体調が悪いとかじゃないんです。
何だろう、嬉しくてうっとり…?のぼせてたのかもしれません」
「…やっぱ最後だもんな」
「はい。
いやあの…やっぱり閉めるのが惜しくなったとかじゃないんですよ。
ほんとこのくだり何回目だって話なんですけど…。
今はこのお店に来て下さった方も、愛してくださった方はもちろん…
賑わう声やお皿を洗う音さえもなんだか愛おしいなって。そんな感じです」
「…ふ~ん。…あ、俺チーズフォンデュとジンジャーエールで」
ハヤテが少し顔を赤らめると、店のことを語ったことをガン無視してオーダーをしてくる。
「かしこまりまし…って、私の語りは無視なんですね。はいはい」
「聞き飽きてんだよ、お前がこの店のこと愛してるなんざとうの昔に知ってることだ。
だからまあ…最後まで大事にしてやれば。」
「もちろんです!」
そんな会話をしていたらまたの注文のラッシュが続き、そろそろお酒が空に
なりそうだった。そして午後十時頃、緊急会議に呼び出されていたユーシアスが帰って来る。
「ろ、ロゼっ…無事か!?」
「息切れしてまで帰ってこなくて良かったんですよ、まったく…。
元同僚の皆様がついていてくださいましたから、大丈夫ですわ」
「…よかった。体調は悪くないか?」
「ええ。今日は調子が良いので心配には及びません。
それより、そちらの用事は大丈夫なのですか。」
「ああ、大丈夫だった。というか大丈夫でなくても戻って来る」
騎士団長がそんなことを言って良いのやら…と思うが彼が気遣ってくれている気持ちを
無下には出来ず、「はいはい」と笑った。
束縛じみた行動はめっきりしなくなったとはいえ、やはり彼は過保護のようだ。
「おう、ロゼちゃん、その人が旦那か?」
客席の男性から、声がかかる。
確かに「結婚して子供が産まれるので、お店を閉店とさせていただきます」とは言ったものの、
結婚相手の話をお客にしたことはなかった。
「あ、はい。そうです!」
「え、あんたがロゼちゃんの旦那さんかい!」
「え、旦那様えらくハンサムな人じゃないか!」
「ちょっと紹介してよ~」
そうです、と答えると、いっきに客席の注目を集めることになった。
こういう時どうすれば…とおろおろしてしまったが、ユーシアスが肩に手を添えて、
「せっかくだから君のお客様にご挨拶させてくれ」とほほ笑む。
「…はい、お客様がよろしいのなら」
「ありがとう。
せっかくなので、妻の店を愛してくださった皆様に、ご挨拶をさせていただいて
よろしいでしょうか」
ユーシアスが客席に呼びかけると、お客は優しくそれを受け入れてくれた。
「是非!」 「馴れ初めは~?」などの声があがり、ユーシアスに手を引かれ、
客席の中心まで手を引かれる。
するとお客は興味津々と言うようにぴたりと会話を止め、
話を聞く姿勢を取ってくれた。
「カフェ「ロゼ」にお越しくださったお客様方、お話を中断させてしまい、申し訳ありません。
ええと、ロゼの夫のユーシアスと申します」
そうユーシアスは礼儀正しく丁寧に挨拶を始めてくれた。
「妻と出会ったのは別の場所なのですが…私もこの店を通じてロゼとは親しくなりました。
お客様もご存じの通り、妻は正直で優しく美しく、実は三年前から彼女のことを好いていたりして…」
お客様もご存じの通り正直…まではいいが当然のように「優しく美しい」などと言われては
恥ずかしいったらありゃしないと、肘でユーシアスを突いた。
「とんだのろけね」
「確かにロゼちゃんはいい子だ」
と、お客はこっちが恥ずかしいと言う様に照れ笑いしながらもツッコミはいれてくれなかった。
「ロゼには何回もこの店で人のいない時間帯を狙ってはアタックしましたけれど、
なかなか応じてくれなくて…、困難もいざこざもありましたが、彼女はこんな私を選んでくれた…
というのがざっくりとした馴れ初めでしょうか。
人のいない時間帯を狙って来ていたので私を知るお客様は少ないかもしれません。
ですが、夫としてでなく、私も一人の人間として、彼女の店を、「ロゼ」を愛している人間の一人です。
…そしてここからは、夫としての発言となりますが、皆様、私の妻の、この店を愛してくれて、
見守ってくださって本当にありがとうございました。心より感謝を申し上げます」
ユーシアスが客席に幸せそうに笑って、頭を下げた。それに続いて頭を下げる。
そうして暖かい声と拍手があがり、「幸せになってね」という言葉に泣きそうになる。
「暖かいお言葉をありがとうございます。お客様、最後に店長の私からも挨拶をさせて下さい。
…私がこの店を開くにあったっては色々ありまして、実はある方から婚約破棄を言い渡され、
その賠償のような形でこのお店を頂いたのが始まりだったったりします。
そんなこんなで開業したこのお店ですが、来て下さるお客様全てが生きがいで、優しくて、暖かくて、
私このお店が大好きです。皆さまも同じ気持ちであられたなら、…この上ない幸せです。
そして、大好きなこのお店で色々な人に出会い、夫にも巡り合えました。
ここは私の始まりの場所にして、人生最高の幸せを得られた場所です。」
そうして、こぼれそうになる涙をぬぐって、ユーシアスの手を握る。
「…っ、本当に、本当に、短い間でしたが、その短い時間でこのお店を愛してくださった皆様、本当に、本当にありがとうございました。ロゼより、私達より感謝を申し上げます。」
感謝の気持ちを全部伝えきった頃には、涙が目から溢れかえって止まらなかった。
「私達からもありがとう!」
「このお店が大好きだよ」
と、いう声が、次々に上がる。
「っ……あ、ありがとうございますっ~…。
うっ…、ユーシアスも、本当にありがとう。あなたに出会えて、結ばれることができて、私本当に、本当に私幸せです…」
「俺もだよ。ふっ…、最後になんて顔をしてるんだ君は。
酷い顔だぞ」
「だって~…」
そうして涙が落ち着いて、十二時まで客席で騒いで、色々な話をして、
一緒に料理を食べて、今までの人生の中で一番笑った。
そうして、幸せってこういうことなんだろうなと、たくさん感じた一日が、終わる。
片づけをすべて終え、真っ暗になったお店に、ユーシアスと手を繋いで、二人で頭を下げる。
「…ありがとう。あなたのおかげで私、今とても幸せです」
「ロゼ?」
「ううん、何でもありません。帰りましょうか」
最後に、このお店にも感謝の言葉をつぶやいて、来客を知らせるベルを、取り外す。
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