ヒロインに剣聖押し付けられた悪役令嬢は聖剣を取り、そしてカフェを開店する。

凪鈴蘭

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番外編1 皇后の舞台裏(1) 百話記念

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「私、皇帝になるよラヴィーネ。」
「…殿下」

皇太子はもうライオスに決まったというのに、
第二皇子のグラディウスは「皇帝になる」と星が綺麗に見える
岡で護衛のラヴィーネに真っ直ぐな視線を向ける。
それはライオスを殺す…戦争になることかもしれない。
皇太子がいるのにも関わらず皇帝になろうとしている彼の苦労は
計り知れないはずだ。
だがラヴィーネはグラディウスの意思を消して否定しなかった。
叱責するどころか微笑み、跪く。

「殿下が決めた道ならば、茨の道であろうが喜んでお供いたします。どうか一生お傍に」

こうしてラヴィーネ・ゼロ・アルズィオーンは
グラディウス・ルラシオンに一生の忠誠を誓ったのだった。

その3年後


「ねぇアマレッティ。私と結婚しない?」
「…は?」

ヴィルテローゼが眠りにつく一週間前、
午後のティータイムにてグラディウスがアマレッティに
微笑む。

結婚とはあの結婚か?とアマレッティは思考を巡らせる。
アマレッティ、…ラヴィーネ・ゼロ・アルズィオーンが
第二皇子のグラディウス・ルラシオンの護衛に付いたのは
両方十三歳の三年前だった。
付き合いこそ長いものの、皇太子がもう存在するのにも関わらず「私は皇帝になるよ」と言ったグラディウスに
ラヴィーネとして仕え、一生の忠誠を誓ったアマレッティに
「結婚」を持ちかけるとはどういうのとなのか。

「ねぇ、ねぇってば。アマレッティ?
私の話を聞いていたかい?」
「あ、あの…殿下。
私一応侯爵令嬢ではありますが立場は貴方様の護衛、
元剣聖でございます。そのような冗談はいかがなものかと…」

ものすごく動揺しているが護衛として、貴族令嬢としての
言葉を述べた。
グラディウスは基本面白い物好きなのだ。そして皇帝に
即位しようとしている今、他の国の王女や貴族との婚約話が殺到しており疲れているのだなと勝手にアマレッティは自分の中で
安心する。

「…君、私が冗談を言っていると思っているのかい?」
グラディウスの低い声にビクリと肩を震わせる。

「ああ、ごめんよアマレッティ。
君を怖がらせるつもりはなかったんだ。
だけど私は至って本気、君以外を妻にする気はないんだ」
「いっ、いやいやいやいや!
殿下は皇帝になられるのですよ!?私の生家…リカレンス家に皇帝の伴侶となるに相応しい力はごさいません…そのようなっ」

いきなり何を言われているかの自覚も何もない。
「じゃあ言い方を変えようか。
君が好きだから結婚したいし皇后になっておくれ。」

手の甲に口付けをされ、
アマレッティはもう何もかも分からなくなって、
気絶してしまったのは、
後にグラディウスに一生からかわれるネタとなる。


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