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第十七話 甘党なお客様(1)
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「聞いているか?」
ポカーンとしていたが、すぐに笑顔を作った。
「いらっしゃいませ、カフェ「ロゼ」へようこそ!
お好きな席にお座り下さい」
やばいばいやばいやばい……、ローアンの頭はそれだらけだった。
お客様第一号が昨日顔を合わせた騎士団長のユーシアスだなんて、
驚くにも程があるというぐらい動揺していた。
それにチョイスしたのはカウンター席ぃいと心の中で悲鳴を上げていた。まぁおひとり様だからカウンター席…を選んでくれているのかもしれないが。
カウンター席だと顔がもろ見えるため、ジーッと見つめられれば誰か分かってしまうに違いない。
まさか剣聖の人間がカフェを経営しているなんて思わないと思うが。
ユーシアスはメニューをじどーっと眺めていた。
ううん、やっぱり怖い。
ユーシアス自体は優しい設定であるが顔が怖いため、
周りの女性はあまり近寄ろうとしないという設定があった。
が、実際アオイが剣聖に全く好かれていなかったことと、
悪役令嬢が剣聖になった前例があるからなんとも言えないが。
「注文いいだろうか」
「はい、お伺いいたします。」
「すまないがトーストの上にトッピングしてもらうことは可能か?」
「大丈夫ですよ。」
そうか、上にトッピングすればナイフとフォークで食べることができる。
女性だとサンドイッチにかぶりつくのは気が引けるという人も多いだろう。
上にトッピングすることもメニューに入れておこう。
ここは前いた世界とは文化も食材も異なる。
お客様の意見は積極的により入れていこう。
「じゃあモーニングセットの…
トッピングはバニラアイスと木苺、バナナとそれからチョコチップにホワイトチョコソースを。
ドリンクはダージリンで、サラダのドレッシングはシーザーで。」
え…甘い。
ローアンはこやつかなりの甘党だぞ…と確信した。
「かしこまりました。少々お待ちくださいね。」
庭に出て新鮮な木苺、トマト、レタス、キュウリを取って来る。
さすがにバナナは気温とかの影響で育たないと思って植えていない。
それを厨房で良く洗い、サラダの準備をしている間にパンをトーストする。
野菜を切って盛り付け、自家製のシーザードレッシングをかける。
パンが焼きあがったので薄くバターを塗り、
手作りのアイスと木苺、バナナを乗せ、チョコチップをまぶす。
その上にホワイトソースをかけ、紅茶を入れた。
「お待たせいたしました。」
「…いただきます」
ドキドキとユーシアスを見つめた。
やはり初のお客様だとじーっと見てしまうのは癖になっているようだ。
「そんなに見つめられたら食べにくいのだが…」
「え!?あ、すみません!!」
確かにそれもそうだ…、反省しよう。
「…美味い」
「!本当ですか!?」
…といってもこのメニューだと大して料理といえるものではないが。
作ったといえばアイスとドレッシング、パンを焼いたくらいだった。
「パンとアイスが特に美味だ。
それに木苺も新鮮だ。」
「パンとアイスは私が作っていて、
木苺はここで採れたものなので新鮮なんです。」
「なるほど…。
ならば他の料理も美味いのだろうな…」
「大げさですわ。」
ほめて欲しい所を褒められてしまい、少し顔を赤らめた。
「…ここはあなた一人で経営しているのか?」
「そうですよ。」
「…名前は?」
…名前、さすがに「ローアン」を名乗るわけにはいかない。
ヴィルテローゼだと名前が貴族ですよと言っているようなものだ。
「…ロゼと申します。」
「ほう、この店の名前と一緒か」
そう思われたくないからロゼというのは恥ずかしく、
迷ったがこれ以上名前を増やすのは自分の中でもややこしくなるため、
ロゼを名乗った。
「俺はユーシアス。覚えておいてくれ」
「そこまで言ったら騎士団長様じゃないですか。」
「知っていたのか?」
…というあたり気が付かれてはいなさそうだ。
「それはもちろん。騎士団長様に来ていただけて嬉しいですわ。
今朝オープンしたばかりなのに」
「美味そうな匂いがしてな…。
朝食もまだだったし…。美味かった」
「はやっ…!」
結構あのトッピングだとボリュームがあったはずなのに、もう食べ終わり、
紅茶を飲んでいた。
「男ならこれくらい普通だ」
「そうなのですか?
それに甘いのお好きなんですね。」
「わ、悪いか…」
ユーシアスは顔を赤らめ、うつむいた。
ポカーンとしていたが、すぐに笑顔を作った。
「いらっしゃいませ、カフェ「ロゼ」へようこそ!
お好きな席にお座り下さい」
やばいばいやばいやばい……、ローアンの頭はそれだらけだった。
お客様第一号が昨日顔を合わせた騎士団長のユーシアスだなんて、
驚くにも程があるというぐらい動揺していた。
それにチョイスしたのはカウンター席ぃいと心の中で悲鳴を上げていた。まぁおひとり様だからカウンター席…を選んでくれているのかもしれないが。
カウンター席だと顔がもろ見えるため、ジーッと見つめられれば誰か分かってしまうに違いない。
まさか剣聖の人間がカフェを経営しているなんて思わないと思うが。
ユーシアスはメニューをじどーっと眺めていた。
ううん、やっぱり怖い。
ユーシアス自体は優しい設定であるが顔が怖いため、
周りの女性はあまり近寄ろうとしないという設定があった。
が、実際アオイが剣聖に全く好かれていなかったことと、
悪役令嬢が剣聖になった前例があるからなんとも言えないが。
「注文いいだろうか」
「はい、お伺いいたします。」
「すまないがトーストの上にトッピングしてもらうことは可能か?」
「大丈夫ですよ。」
そうか、上にトッピングすればナイフとフォークで食べることができる。
女性だとサンドイッチにかぶりつくのは気が引けるという人も多いだろう。
上にトッピングすることもメニューに入れておこう。
ここは前いた世界とは文化も食材も異なる。
お客様の意見は積極的により入れていこう。
「じゃあモーニングセットの…
トッピングはバニラアイスと木苺、バナナとそれからチョコチップにホワイトチョコソースを。
ドリンクはダージリンで、サラダのドレッシングはシーザーで。」
え…甘い。
ローアンはこやつかなりの甘党だぞ…と確信した。
「かしこまりました。少々お待ちくださいね。」
庭に出て新鮮な木苺、トマト、レタス、キュウリを取って来る。
さすがにバナナは気温とかの影響で育たないと思って植えていない。
それを厨房で良く洗い、サラダの準備をしている間にパンをトーストする。
野菜を切って盛り付け、自家製のシーザードレッシングをかける。
パンが焼きあがったので薄くバターを塗り、
手作りのアイスと木苺、バナナを乗せ、チョコチップをまぶす。
その上にホワイトソースをかけ、紅茶を入れた。
「お待たせいたしました。」
「…いただきます」
ドキドキとユーシアスを見つめた。
やはり初のお客様だとじーっと見てしまうのは癖になっているようだ。
「そんなに見つめられたら食べにくいのだが…」
「え!?あ、すみません!!」
確かにそれもそうだ…、反省しよう。
「…美味い」
「!本当ですか!?」
…といってもこのメニューだと大して料理といえるものではないが。
作ったといえばアイスとドレッシング、パンを焼いたくらいだった。
「パンとアイスが特に美味だ。
それに木苺も新鮮だ。」
「パンとアイスは私が作っていて、
木苺はここで採れたものなので新鮮なんです。」
「なるほど…。
ならば他の料理も美味いのだろうな…」
「大げさですわ。」
ほめて欲しい所を褒められてしまい、少し顔を赤らめた。
「…ここはあなた一人で経営しているのか?」
「そうですよ。」
「…名前は?」
…名前、さすがに「ローアン」を名乗るわけにはいかない。
ヴィルテローゼだと名前が貴族ですよと言っているようなものだ。
「…ロゼと申します。」
「ほう、この店の名前と一緒か」
そう思われたくないからロゼというのは恥ずかしく、
迷ったがこれ以上名前を増やすのは自分の中でもややこしくなるため、
ロゼを名乗った。
「俺はユーシアス。覚えておいてくれ」
「そこまで言ったら騎士団長様じゃないですか。」
「知っていたのか?」
…というあたり気が付かれてはいなさそうだ。
「それはもちろん。騎士団長様に来ていただけて嬉しいですわ。
今朝オープンしたばかりなのに」
「美味そうな匂いがしてな…。
朝食もまだだったし…。美味かった」
「はやっ…!」
結構あのトッピングだとボリュームがあったはずなのに、もう食べ終わり、
紅茶を飲んでいた。
「男ならこれくらい普通だ」
「そうなのですか?
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「わ、悪いか…」
ユーシアスは顔を赤らめ、うつむいた。
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