ヒロインに剣聖押し付けられた悪役令嬢は聖剣を取り、そしてカフェを開店する。

凪鈴蘭

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第一話 悪役令嬢、剣聖に選ばれました(1)

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「ヴィルテローゼ、貴様との婚約破棄をここに宣言する。」

何かが弾けたようだった。
頭の中で、シャボン玉がパチンと弾けて、ガラガラと記憶が流れ込んでくる。
ここは、確かに知っている世界だ。
そして、ここは乙女ゲームの世界で、自分は、
ヴィルテローゼ・ネージュは「悪役令嬢」だ。

若干足がふらつきいたが、しっかりしなければと婚約者を睨みつけた。
「……理由をお聞かせ願います。」
「何だと?自分の胸によく聞いてみろ。私に聞かずともわかるはずだ。」
「何のことでしょうか。よく分からないので説明が欲しいとお願いしているのです。」

ヴィルテローゼ・ネージュは確かに悪役令嬢だが、「私」は何もしていない。
ヒロインである「アオイ」はヴィルテローゼの婚約者である皇太子の胸に抱かれ、涙目になっていた。

そう、ゲーム通りに行けば皇太子に馴れ馴れしい異世界転移して来たアオイが悪役令嬢であるヴィルテローゼにいじめられ、
今日、皇太子が学院を去る卒業パーティが終わった中庭でヴィルテローゼの断罪イベントが起こる。
そして、学院の中庭にある聖女の遺跡が光り、アオイが聖女であることが判明する。そして聖女を虐めたヴィルテローゼは国外追放となる。

だが転生をしてヴィルテローゼとして生きて、ヒロインに何もしていない前世カフェを経営していた市ヶ谷・芽衣という名だった者に、
断罪される筋合いはなかった。
そう、ましてや国外追放される筋合いも。

「……そこまで言うのなら大勢の前で恥をかかせてやる。
貴様、ヴィルテローゼ・ネージュはアオイに犯罪まがいのいじめを行っていたのだろう。全てアオイから聞いたぞ。」
「あら…聞いただけでアオイ様のことを信じられるのですね?
まぁまぁそれは…、阿呆らしい。」

口は笑っていても、ヴィルテローゼの目は笑っていない。
それに皇太子はビクリと肩を震わせたが、すぐに反撃を返した。

「阿呆らしいだと!?私はアオイを信頼してっ……」
「それは先程の台詞を聞けばわかりましたが……、聞いた、のですよね?では、それを実際見た方はいらっしゃるのですか?」

もう少しすれば、聖女の遺跡がアオイに反応してしまう。
その前にヴィルテローゼは自分の無罪を証明する必要があった。
何もしていないのに「捨てられた悪役令嬢」のレッテルを貼られ、国外追放され、公爵である母に迷惑はかけるなどとは冗談ではない。
ヴィルテローゼの母は女性であるが公爵を務める一家の主。
だが女性であるからとバカにされることもなくはなかった。
そんな中ヴィルテローゼが国外追放などされれば母の立場がもっと悪くなることは言うまでもない。

「皆聞いたか!?アオイがいじめられていたところを見た者はいるか!?」

それにヴィルテローゼは、はぁと大きなため息をついた。
…バカなのかこの皇太子は……と。
皇太子が聞けば皆自分の身を案じて答えるものなどいないと。
「見た」と答えれば正確な証言が必要となり、もしその証言に少しでも偽りがあれば公爵令嬢であるヴィルテローゼを陥れようとした可能性に問われ、立場が悪くなる。

だがそうしてくれた方がヴィルテローゼには好都合である。
「……誰もいないようですが。」
「皆お前が公爵令嬢であるから何も言えんのだ。
そんなことも、わからんのかっ!」

周りが皇太子を白い目で見ていることにいい加減気づいてもいいころだ。それを分かっていながら何故周りにじゃあ聞くのだとツッコミを入れたいところだが、黙っていることにした。

「では何故周りにお聞きになったのですか?
…その前に、何か証拠があるのでしょうか?
アオイ様だけの証言では何とも言えないのではないですか。」
「ぐっ…」

よし、完全にこちらのペースだと震える肩を落ち着かせた。
……にしても、そろそろ遺跡が反応してもいい所だと遺跡をじっと見上げる。
「おいっ衛兵っ!!こやつを捕らえろっ!!」

それはもうヴィルテローゼに皇太子は反撃できないと言うことを表しているのと同じ行為であるというのに、なんと理不尽なことか。

「それは出来かねます、皇太子殿下。」

……しまった、とヴィルテローゼは唇を噛んだ。
この乙女ゲームの攻略対象は12人の剣聖と、皇太子と騎士団長。

このシャティエル帝国には12人の剣聖と呼ばれる聖剣に選ばれた12人がいる。その剣聖と呼ばれる者たちは騎士のトップであり、
神器を扱う。

その剣聖は異世界転移して来たヒロインが何かしらの刺客ではないかと監視に着くのだが、アオイの純粋さや優しさを知り、
国王に「刺客だという可能性はない」と報告するちょろい連中である。

剣聖は今どうでもいいのだが、予想外に騎士団長が登場してしまった。ヴィルテローゼが言っていることが正論で皇太子の命には従えないということでそれを口にしてくれたのだろうが、
所詮は攻略対象。イコールヒロインの味方である。

「皇太子である私の命令に逆らう気か!!」

騎士団の者が1番に優先するのは国王や剣聖の命であって、皇太子の命ではない。そんなことも知らないのだろうか。

「大体、何の罪があってヴィルテローゼ嬢を捕らえるのですか。」
「こやつは私を愚弄したであろうが!!王族侮辱罪だ!」
「皇太子殿下…それはあまりにも…」

と騎士団でありヒルデ公爵家の次男、ユーシアス・ヒルデが呆れた顔を見せた時だった。
聖女の遺跡が光る。
……思ったより遅かった。

「……これはっ、聖女反応!?
まさかアオイが…。異世界から転移してきたアオイであれば有り得る……!!はははっ!おいユーシアス!!聖女を虐めたとあればそこの公爵令嬢であれど重罪であろう!!捕らえよ!!」

これで騎士団長がヴィルテローゼを取り押さえてしまえば、
ゲーム通り追放されるかもしれない。
聖女は国の宝。それも何百年も国に現れていないことからアオイは大層大切にされるだろう。

「……恐れながら皇太子殿下。
この遺跡はヴィルテローゼ嬢に反応しています。」

『は………?』

皆の目と口が点と点とまるになった。
「はいはぁい、解散ー、 解散っ!」

柔らかい声がした方に、皆の注目が集まる。
「け、剣聖だ……!」
「嘘っ、シアン様!?」

ゲームの攻略対象の1人、剣聖、No.1の
シアン・ゼロ・エクスカリバー。
剣聖のトップであり、なんとオネェ設定。

「し、シアン……!来てくれたの!?」
アオイが嬉しそうにぱあっと顔を明るくし、シアンに駆け寄り、
抱きしめようとする。

「あらやだ、呼び捨てにしないでってお願いしたわよね?
悪いけど気安く触らないでちょうだい。」

ヴィルテローゼは何が起きているか理解出来なかった。
シアンが初めにアオイの監視につく。
そして言うはずなのだ。
『シアンって呼んでちょうだい、アオイちゃん。
私はあなたのこと刺客だなんて思っていないから。』…と。

なのに目の前にいるシアンは飛びついてこようとしたアオイの手を払い、冷たい態度を取っている。

「え…?ど、どうしたのシアン…」
ヒロインのアオイはシアンを見上げ、青い顔をしている。

何が何だか分からずヴィルテローゼはその場にペタンと座り込んでしまう。
「だ、大丈夫かヴィルテローゼ嬢……」
騎士団長がヴィルテローゼに触れようとするが、それをシアンが制した。

「久しぶりぃユーシアスちゃん。悪いけどその子新しい剣聖だから触れないでくれるかしらぁ。」
「はっ……?」

にこりと笑ってシアンが座り込んだヴィルテローゼの手を取る。
そして、手の甲に口付ける。

「初めましてヴィルテローゼ・ネージュ公爵令嬢。
いや、ローアン・ゼロ・ブリューナク。あなたは聖剣、ブリューナクに選ばれました。これから剣聖のお仲間ね、よろしく。」

ヴィルテローゼは口をパクパクさせ、1度唇をぎゅっと噛む。

「……どういうこと、でしょうか第一の剣聖、シアン様。
剣聖は12人いらっしゃいますよね?どなたかがお亡くなりになられたのでしょうか?」
「いやぁん物騒なこと言わないで頂戴よォ。誰も亡くなっていないわ。」
「……シャティエル帝国の剣聖は12人だけですよね?
それは、いつの時代にも同じだったはず…。
そうなると私が十三番目の剣聖、ということになってしまいますが」
「ええそうよォ。あなたは第十三の、No.13の剣聖。
あなたを選んだのは聖剣ブリューナク、与えられた名はローアン・ゼロ・ブリューナクよ。詳しい説明はここでない所でしたいの。
ご同行願えるかしら?…っていっても、腰が抜けちゃってるかしら。」

ヒョイとヴィルテローゼは抱き抱えられる。
「え!?ちょっ、シアン様……!」
「シアンでいいわ、ローアン。仲良くしましょ?」

美形フェイスに微笑まれる。それにもっと体が硬直した。
何がどうなっているというのか。

ヒロインが聖女であると遺跡が光るはずが、
悪役令嬢であるヴィルテローゼが遺跡を光らせ、それも十三番目の剣聖だといきなり言われてしまったのである。
そして今…、No.1…、第一の剣聖に抱き抱えられている。

聖剣にえらばれ、剣聖になると剣聖としての名が与えられ、
「ゼロ」と選ばれた聖剣の名前も付く。

ローアン・ゼロ・ブリューナク……、ヴィルテローゼ・ネージュではなく、これからその名を名乗って生きていかなければならない…、
もう頭が痛かった。
全然ゲーム通りではないのだから。

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!
何かの間違い…、そうよ、何かの間違いだわっ!!
さっきの遺跡は私が聖女だってことに反応したのよ!?」

その言葉に、シアンがピタリと足を止めた。
「……ユーシアスちゃぁん、剣聖に無礼な口をきくその女を捕らえてちょうだい。」
「承知。」

騎士団長のユーシアスがアオイを地面に押さえつけた。
「離しなさいユーシアスっ!」
「剣聖の命だからな。大人しくしてないと怪我するぞ。」
「あー、なんなら刺客じゃないかの拷問を始めてもいいわよォって国王からの伝言~。じゃあねん。」

ぎゃあぎゃあと叫ぶアオイが遠くなっていくのを、ヴィルテローゼはポカンと見つめていた。
……拷問、何て物騒な……。
ゲームでは剣聖全員がアオイは刺客ではないと国王に報告し、
正式に聖女と認定されたアオイは選んだ相手とくっつくのだが……。



「ただいまぁ~。」
「遅かったな」
「おかえりぃ、しーちゃん。」

学院から出て、馬車に乗った。
乗り込むと、2人の男女が座っていた。

「あ、ローアン。この子達はあなたのお仲間、同じ剣聖の子達よ。」

え?と声が漏れる。
……剣聖は男しかしないはずだ。…ゲームの中では。

「ローアン、だっけ?
初めまして、私はNo.9の剣聖、シュリ・ゼロ・バリテアーク。
女の子同士仲良くしてね。」
「は、はぁ……」

「俺はNo.5の剣聖、ハヤテ・ゼロ・アルデアン。
まぁうるさくない程によろしく。」
「ど、どうも……。」

全力の愛想笑いをしたところで馬車が走り出す。
……ハヤテ・ゼロ・アルデアンは攻略対象の一人だった。
だが女性の剣聖が存在するということは、いないキャラがいるのだろうか。だが前世のことなのでキャラ全員を覚えているわけではなかった。

「そういえばアンちゃんっていくつなの?」

ヴィルテローゼは「アンちゃん?」と首を傾げる。
No.9の剣聖、シュリと名乗った少女がそう呼んだのだ。

「あー、めんご。私あだ名で呼ぶ派だから。
ローアンだからアンちゃん。だめ?」
「か、かまいませんけど……。」
「やった。じゃあアンちゃんね。」
「ええと、いくつか、でしたっけ。」

ヴィルテローゼはまだ高等部の2年生だった。
皇太子とは1つ違いのヒロインと同い年。

「16……です。」
「あぁ?16だあ!?」
「ひっ……!?」

16と口にした瞬間、ハヤテが怒鳴り声を出す。
それにビクリと肩を震わせた。

「こらーハヤヤン。アンちゃんがびっくりしてるじゃん!」
「ハヤヤンって呼ぶんじゃねぇ~……。
お前、16ってことは……、1年か2年生だったんじゃねぇのか。
今日は卒業式って聞いてたが……。」
「あ、はい……。私は2年生です。」
「……学院中退ってことになっちまうのか。
剣聖になれば学院なんざには通えないからなぁ~……」
「そう、ですよね……。」

だが、シュリもハヤテも自分と歳がそう離れているようにも見えない。そんなに驚かれることだったのだろうか。

「皆さんはおいくつなんですか?」
「……緊張しすぎよォ。その愛想笑いをやめなさいっ!」

と、ほっぺたをツンとつっつかれた。
「んむっ」
「大丈夫よ。怖くないから。ね?」
「……はい。」

結局3人が何歳か知らないまま、着いたのは王城だった。
「さ、降りて降りて~。ローアンも皇太子の婚約者だったから来るのは初めてじゃないわよね?」
「あ……はい。」
「あらごめんなさい。あんなクソ野郎のこと思い出したくなかったわよね。」

皇太子をクソ野郎と呼んだことに目をパチクリさせた。
そして、プッと頬が緩む。
「く、クソ野郎って……!ふふっ、あははっ……」

皇太子はかなり生意気で学院では誰も逆らえる者はいなかった。
もちろんそれはヴィルテローゼも同じで、気に入らないとか何とかで、ぶたれたりすることは少なくなかった。
それをシアンは「クソ野郎」と軽々と口にした。
それで力が抜けたのか、笑ってしまった。

「そうよォ。あんなクソ野郎のことなんて忘れちまいなさい。
さ、行きましょうか。あなたを選んだブリューナクが待ってるわ。」

その言葉にゴクリと喉を鳴らす。
まさか、悪役令嬢の自分が騎士のトップになるなんて……。
もう嫌だ……とヴィルテローゼは顔をしかめた。

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