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お子さんが集まりの時に離席してしまうことへの相談の話

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「お子さんが集まりの最中に離席し、歩き回ってしまいます」

といったご相談をいただきました。年中さんのようですね

以前私は、放課後デイで働いている人のツイートに食って掛かったことがあります

ツイートの全文は忘れてしまいましたが、集まりの際に絵本を見ずに、好き勝手しているお子さんが許せない旨のツイートだったと記憶しています

基本的にお子さんへの関わりを考えるときに、「子どもの責任」をベースとするやり方は失敗します

いわゆる「この子がもっと力をつければいい」という考え方です

なぜなら、お子さんはまだ気持ちも、身体も、考え方も未熟です。成長途中です。また、様々な特性に振り回されている可能性もあります

そのような状況にあるお子さんに変化を求めるのはキャパシティオーバーです

ならば、人生をその子の数倍生きている「大人」が周囲の関わりや環境を調整することが、「道理」であると考えます


仕事全般に言えますが、自分の無力さを相手に押し付ける行為をせず、分からないことを素直に、純粋に他者に聞けることはとても素晴らしいことだと思っています

私もそうですが、プライドが邪魔をして「聞きたいことが聞けない」なんてことはままあるのです

できる限り以下に関わりやどんな対応が考えられるかを記述していきたいと思います。お役にたてれば幸いです

どのような視点でお子さんを見るか




前庭覚的な視点でみる


「集まりに参加できない、離れてしまうといった行動」をお子さんの前庭覚をベースに捉えると

・注意を向けたい方向に焦点を合わせられない(前庭覚がしっかりしていると、無意識に自分の見たいもの、注目したいものに焦点を合わせてくれます)

・姿勢を保っていらずに身体のバランスを保つために立ち歩く(前庭覚がしっかりしていると、揺れを調整し、固有覚と連動し、姿勢を保ちます)

といったことが起こりえます

例えば、

絵本の読み聞かせの最中に、絵本を注視したいのに、部屋に飾ってあった興味を引かれる物を注視してしまい動いてしまう

本当は絵本が読みたいのに、姿勢を保つことができず、動いて姿勢を保とうと動き回ってしまう

といった行動につながります




固有覚的な視点で見る


固有覚は人間の筋肉を収縮させ、力加減や適切な筋緊張で身体を支える感覚です

例えば座っている時に、この感覚はどのような連動をしているかを解説していきたいと思います

座っている状態でも無意識に筋肉をは動いています。重力に逆らない姿勢を保持している状態は筋緊張で支えられているのです

では、ちょっと左右に揺れてみましょう。倒れませんよね?これは前庭覚が揺れる感覚を脊髄反射で受け取り、固有覚に伝えることで、適切な筋緊張で身体を支えているからです

固有覚が育っていないと、やはり、姿勢の安定性を欠いて歩き回ってしまったり、べたっと寝転がってしまうような行動がみられます

また、力加減が難しく、動きが落ち着きなく乱暴になることもあるので、それが離席につながっているケースもあります



興味・関心の幅が狭い


お子さんの中には興味・関心の幅が狭いお子さんがいます

特にASD・自閉的な傾向・特性をもつお子さんは、自分の興味のあるものに強く引き付けられ、他のことに注意が向かなくなることもあります

この特性と上記の前庭覚、固有覚の視点が合わさると

姿勢が安定しない、集まりに興味がない状態で、視線が泳ぎ、自分の興味のあるものが目に入り、そこに注視し、焦点が固まってしまい姿勢を安定させる意味も含めて離席し移動する

といった複合的な行動をとり、これが結果として「あつまりの際に歩き回る」といった事象にみえることが多いです

複合的でなくても、いずれかの力が偏ったり、成長していないだけでこの行動につながります

ではどのような対応が必要になるのか

・集まりの見直し

私も失敗したことがあるのですが、「いままで自分の経験したイメージ通りの集まり」をやろうとすると失敗するのです

上手くいくこともありますが、この集まりは、お子さんの特性や、集団の特徴に合わせて替えることが大切なのです

順番としては

①「全体が楽しめる共通の何か」をまず提示すること

②お子さんは意欲的に参加し、参加する中でその意味を知っていくこと

になります

そして、見落としがちなのは、「この集まりは本当に必要か」という視点です

関わる大人がお子さんの調整できない環境の中で無理に「枠にはまった集まり」をしようとすると、大人にも子どもにも負担がかかります

今、何が目の前のお子さんに必要で、必要ないのかを見極めることも重要です

・環境の調整

お子さんの注意をそらすものが部屋の中にあることで注意がそれてしまうのであれば、まずはそれをなくすか、視線に入らない環境の工夫が必要です

よく学校で目にする様々な掲示物が貼られている光景をイメージしていただければと思うのですが、あれが良くない典型的な例です

療育の現場で私がよくやっていたのは、

活動の空間は掲示物を貼らない、

注意が向きそうなものには棚、もしくは布などをかぶせておく

といったことをしていました

子どもだましのような「何かをかぶせる」といったことでも、劇的に変わることもあります

また、リーダースタッフ、補助のスタッフがいるなら、そのスタッフの動き、言葉、目線もお子さんの刺激になり、行動を誘発される物であるという意識を持つことが大切です

お子さんが集中している時に、立って見ていたり、声を出しているだけで、それがお子さんの注意をそらし、活動に参加できない要因を生む出す結果になることがあります




まとめ


集まり という枠組みに無理やり参加させようとするよりも、大人がお子さんに合わせて「それ」を作り変えることが重要です

そして、集まり に参加したいと考えるなら、お子さんの感覚を成長させる、調整する視点が極めて重要です

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