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デルニエール攻防戦 魔王軍サイド② 上
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デルニエール上空で始まった飛空戦を見て、ソーニャは飛行の速度を上げた。
敵の術士一人一人は木っ端に過ぎない。けれど人数には数倍の差がある。孤立した味方が囲まれたら多少の脅威にはなるだろう。まずは、敵の数を減らすべきか。
前方に五人一組となって飛ぶ術士を発見。一直線にこちらに向かってきている。
「あいつだ。火力を集中しろ!」
中央の分隊長が号令をかけると、術士達はソーニャめがけて無数の炎弾を撃ち出した。適度に拡散させることで、命中率を上げているようだ。
「ばーか」
ソーニャは体をスピンさせながら、炎弾を隙間を縫うように通過した。大きく軌道を変えることもない。
「あはっ。やっと始まったってカンジ!」
ソーニャの手に漆黒の炎が渦巻く。
「いっくわよー!」
急加速し、彼我の距離を一気に詰める。
術士達はソーニャの驚異的なスピードに目を見開く。明らかな動揺だった。
「障壁急げ――」
間に合うものか。
ソーニャの蠱惑的な笑みが分隊長の眼前に到達した瞬間。猛る黒炎が五人の隊列を呑み込んだ。
それは魔力が生んだ破壊のエネルギー。彼らは何を感じるまでもなく一息で消し飛ばされた。黒き炎が舞った後には、僅かな灰が残るのみ。
「ざんねーん。もたもたしてるからぁ」
ソーニャは心底楽しそうに呟き、旋回しつつ空の乱戦に突入する。
「さーて。今日も思いっきり楽しませてもらいましょーか!」
戦いは楽しむものだ。楽しんでこそ意気揚々とし、果ての勝利に繋がる。彼女にとって勝利こそが至高の愉悦なのだ。
空には色とりどりの炎が飛び交い、ところどころで爆炎を生んでいる。空気を震わせる轟音、魔力の余波が四方八方から迫りくる。
まさしく戦争だ。ソーニャの顔が喜悦で満ちた。
「よーしっ!」
彼女は一つの分隊に目をつける。その分隊だけ、他とは魔力の質が違っていた。
彼らは他の分隊とは一線を画す速度で、自在に宙を斬り裂き、魔族を一人また一人と屠っていた。機動性だけではない。連携は巧みで、攻撃魔法による集中砲火を的確に命中させている。
魔族はそれぞれが孤立していた。一つの敵に気を取られている間に、他の分隊からの直撃を受けるのだ。いくら魔族の魔力耐性が強いとはいえ、障壁なしに集中砲火を浴びれば致命傷は避けられない。
「へぇ。なかなかやるじゃない」
人間らしく数の利を活かした戦術だ。おそらく目の前の分隊を率いる青髪の青年こそ、この術士隊の長に違いない。ソーニャの目星は正しく、まさしく彼がデルニエール術士隊を率いるメイホーンであった。
敵の術士一人一人は木っ端に過ぎない。けれど人数には数倍の差がある。孤立した味方が囲まれたら多少の脅威にはなるだろう。まずは、敵の数を減らすべきか。
前方に五人一組となって飛ぶ術士を発見。一直線にこちらに向かってきている。
「あいつだ。火力を集中しろ!」
中央の分隊長が号令をかけると、術士達はソーニャめがけて無数の炎弾を撃ち出した。適度に拡散させることで、命中率を上げているようだ。
「ばーか」
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「あはっ。やっと始まったってカンジ!」
ソーニャの手に漆黒の炎が渦巻く。
「いっくわよー!」
急加速し、彼我の距離を一気に詰める。
術士達はソーニャの驚異的なスピードに目を見開く。明らかな動揺だった。
「障壁急げ――」
間に合うものか。
ソーニャの蠱惑的な笑みが分隊長の眼前に到達した瞬間。猛る黒炎が五人の隊列を呑み込んだ。
それは魔力が生んだ破壊のエネルギー。彼らは何を感じるまでもなく一息で消し飛ばされた。黒き炎が舞った後には、僅かな灰が残るのみ。
「ざんねーん。もたもたしてるからぁ」
ソーニャは心底楽しそうに呟き、旋回しつつ空の乱戦に突入する。
「さーて。今日も思いっきり楽しませてもらいましょーか!」
戦いは楽しむものだ。楽しんでこそ意気揚々とし、果ての勝利に繋がる。彼女にとって勝利こそが至高の愉悦なのだ。
空には色とりどりの炎が飛び交い、ところどころで爆炎を生んでいる。空気を震わせる轟音、魔力の余波が四方八方から迫りくる。
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「よーしっ!」
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「へぇ。なかなかやるじゃない」
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