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確かめるべきこと
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まもなくして『ジェネシス』のゲート前に到着。
ダンジョンに繋がるゲート周辺には、いくつもの宿や商店が立ち並び、ちょっとした街を形成している。
『ジェネシス』がセーフダンジョンでなければ、より大規模な都市に発展していたのだろうが、所詮はセーフダンジョンだ。ここに集まる商隊は、駆け出しの冒険者と貴族の子女をターゲットにした小規模なものしかない。
それでもゲート前は活気に満ちており、若い冒険者達で大いに賑わっている。
俺達はゲートからすこし離れた宿に馬車を停め、徒歩でゲートへと向かった。護衛の騎士達はつかず離れず、ある程度の距離を置いて俺達を見守ることになっている。貴族のダンジョンデビューは家門の庇護を頼まず、自身の力を養う重要な通過儀礼であるからだ。
「行こうロートス。後の世の歴史に刻まれるであろう、吾輩達の冒険譚の始まりだぞ!」
「うぃ」
とはいえ、今さらダンジョンくらいでテンションが上がったりしない。そもそも『ジェネシス』はアルバレス公爵の管轄だしな。
そんなこんなで俺達は、『ジェネシス』のゲートまでやってきた。
「おや? 公子様ではありませんか」
俺に気づいて声をかけてきたのは、『ジェネシス』の管理人である。
「ついに公子様もダンジョンデビューをされるのですな」
恰幅の良い壮年は、父の臣下の一人だ。
「ああ。こいつも一緒にな」
俺は隣でキメ顔をしているヒーモを指さす。
「ダーメンズ子爵家のご令息ですな。公子様と親しくされていることは風の噂で聞き及んでおりますぞ」
「おお、そうか! 吾輩達の友情が、まさか世間を騒がすほどだったとは!」
「バカ言ってないでさっさと終わらせようぜ」
管理人は微笑ましく笑っていたが、急に真剣な表情になって咳払いをした。
「さて、ではこの『ジェネシス』のご説明をいたします。しかとお聞きください」
「よろしく頼む」
「ここは全五十層からなる塔型のダンジョンです。第一階層は広い空間となっていますが、登れば登るほど複雑化していき、生息するモンスターも危険なものになります。無論、ここはセーフダンジョンですので、複雑といっても、公爵家のお屋敷ほどではありません」
「そいつはありがたいな」
「フーム。公爵の屋敷は迷路のようだもんな。吾輩の家とは違って。して管理人よ。ここのモンスターはどのようなやつなんだい?」
「ケムークと呼ばれるモンスターです。見た目はまんまるで、大きさは私の腰あたりでしょうか」
「それは……意外にも大きいんだな……」
ヒーモはすこし尻込みして言う。
「ご安心を。ケムークは鈍重で、鋭い爪や牙を持ちません。臆病ですし、仮に圧し掛かられても、体が柔らかいせいでそれほど痛くはないでしょう。なにせここはセーフダンジョンですから、命に関わる狂暴性を持つモンスターはおりません」
「初めてのダンジョンとしては申し分ないわけだ」
「仰る通り」
ヒーモと管理人のやり取りを尻目に、俺は『ジェネシス』のゲートを眺める。
ふと、ゲートに入っていく一人の少女を見つけた。輝くような金髪。白い装束はいかにも高級品で、貴族の令嬢であることは間違いない。腰に提げた剣はどう見ても業物であった。見えたのは後姿だけだが、スカートから伸びる白いふとももがなんとも魅力的だった。
「おいヒーモ」
「ん? なんだい?」
「早く行こう」
俺は答えを待たず、ゲートへと歩み出す。
「お、おい。待ちたまえ! どうした。いきなりやる気を出して」
「確かめたいことがあるんだ」
管理人の説明も早々に切り上げる。どうせすでに知っている内容だし。
「確かめたいこと?」
「ああ」
新世界に転生しても、すべてを失っても、身分が変わろうと、たとえ希望を失おうと。
決して変わらないものがある。
「あの子が、どれほどのものか。確かめないと気が済まねぇ」
それはこのロートス・アルバレスが、おっぱい星人だというただ一つの真実だ。
ダンジョンに繋がるゲート周辺には、いくつもの宿や商店が立ち並び、ちょっとした街を形成している。
『ジェネシス』がセーフダンジョンでなければ、より大規模な都市に発展していたのだろうが、所詮はセーフダンジョンだ。ここに集まる商隊は、駆け出しの冒険者と貴族の子女をターゲットにした小規模なものしかない。
それでもゲート前は活気に満ちており、若い冒険者達で大いに賑わっている。
俺達はゲートからすこし離れた宿に馬車を停め、徒歩でゲートへと向かった。護衛の騎士達はつかず離れず、ある程度の距離を置いて俺達を見守ることになっている。貴族のダンジョンデビューは家門の庇護を頼まず、自身の力を養う重要な通過儀礼であるからだ。
「行こうロートス。後の世の歴史に刻まれるであろう、吾輩達の冒険譚の始まりだぞ!」
「うぃ」
とはいえ、今さらダンジョンくらいでテンションが上がったりしない。そもそも『ジェネシス』はアルバレス公爵の管轄だしな。
そんなこんなで俺達は、『ジェネシス』のゲートまでやってきた。
「おや? 公子様ではありませんか」
俺に気づいて声をかけてきたのは、『ジェネシス』の管理人である。
「ついに公子様もダンジョンデビューをされるのですな」
恰幅の良い壮年は、父の臣下の一人だ。
「ああ。こいつも一緒にな」
俺は隣でキメ顔をしているヒーモを指さす。
「ダーメンズ子爵家のご令息ですな。公子様と親しくされていることは風の噂で聞き及んでおりますぞ」
「おお、そうか! 吾輩達の友情が、まさか世間を騒がすほどだったとは!」
「バカ言ってないでさっさと終わらせようぜ」
管理人は微笑ましく笑っていたが、急に真剣な表情になって咳払いをした。
「さて、ではこの『ジェネシス』のご説明をいたします。しかとお聞きください」
「よろしく頼む」
「ここは全五十層からなる塔型のダンジョンです。第一階層は広い空間となっていますが、登れば登るほど複雑化していき、生息するモンスターも危険なものになります。無論、ここはセーフダンジョンですので、複雑といっても、公爵家のお屋敷ほどではありません」
「そいつはありがたいな」
「フーム。公爵の屋敷は迷路のようだもんな。吾輩の家とは違って。して管理人よ。ここのモンスターはどのようなやつなんだい?」
「ケムークと呼ばれるモンスターです。見た目はまんまるで、大きさは私の腰あたりでしょうか」
「それは……意外にも大きいんだな……」
ヒーモはすこし尻込みして言う。
「ご安心を。ケムークは鈍重で、鋭い爪や牙を持ちません。臆病ですし、仮に圧し掛かられても、体が柔らかいせいでそれほど痛くはないでしょう。なにせここはセーフダンジョンですから、命に関わる狂暴性を持つモンスターはおりません」
「初めてのダンジョンとしては申し分ないわけだ」
「仰る通り」
ヒーモと管理人のやり取りを尻目に、俺は『ジェネシス』のゲートを眺める。
ふと、ゲートに入っていく一人の少女を見つけた。輝くような金髪。白い装束はいかにも高級品で、貴族の令嬢であることは間違いない。腰に提げた剣はどう見ても業物であった。見えたのは後姿だけだが、スカートから伸びる白いふとももがなんとも魅力的だった。
「おいヒーモ」
「ん? なんだい?」
「早く行こう」
俺は答えを待たず、ゲートへと歩み出す。
「お、おい。待ちたまえ! どうした。いきなりやる気を出して」
「確かめたいことがあるんだ」
管理人の説明も早々に切り上げる。どうせすでに知っている内容だし。
「確かめたいこと?」
「ああ」
新世界に転生しても、すべてを失っても、身分が変わろうと、たとえ希望を失おうと。
決して変わらないものがある。
「あの子が、どれほどのものか。確かめないと気が済まねぇ」
それはこのロートス・アルバレスが、おっぱい星人だというただ一つの真実だ。
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