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失態じゃあ

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『マスター。さらにモンスターの大群が接近しているそうですわ。今度は南方から……いえ、西と東からも。ヴリキャス帝国の飛空艇部隊が、つぎつぎと撃破されているとのことですわ』

「対処できるか?」

『任せておくっす! ウチとアイリスがいれば問題ないっすよ。瘴気なんかもう怖くもなんともないっすから』

「そいつは心強い。頼んだぞ」

 さて。
 広場に視線を戻すと、急襲部隊と五星天の戦いが激化しているのがわかる。

 ムサシとハラシーフは互角の戦いを繰り広げているし、サニーとその仲間達はティエスを追い込んでいる。
 アデライト先生は、教皇を守る騎士を早々に無力化し、教皇とド派手な魔法バトルを展開していた。
 ヒーモとイキールに関しては、六対二で激闘を演じている。六対のフェイカーにヒーモが指示を出し、イキールとリッターは華麗な剣捌きでそれに対抗している感じだ。

 一見して、ほぼ互角。
 こちらも最精鋭をぶつけたつもりだったが、敵もなかなかやるな。

「ロートスより司令部。聞こえるか?」

『こちら司令部。どうぞ』

 セレンの声だ。

「ブランドンの方は問題ない。マーテリアの手先が襲来したが、対処できるレベルだ」

『了解。女神はみつかった?』

「いや。ブランドンにはいないみたいだ。いま守護隊が捜索している」

『わかった。あなたはすぐに脱出して。女神がいないならそこに留まる意味はない』

「待ってくれ。五星天との戦闘が拮抗してる。加勢してもいいか」

『だめ』

 俺の加勢を、セレンは許可しなかった。

『あなたがそこにいることはまだ気付かれちゃいけない。ファルトゥールがどのような動きに出るかが未知数。女神の居場所がわかるまでは待機して』

「……そうだな。わかった」

 もどかしいが、仕方ない。
 俺の役割は女神の討伐。そのタイミングが来るまでは下手に動けない。
 ここにファルトゥールがいないと分かった以上、離脱しないといけないか。

『主様。応答願います』

「レオンティーナ。どうした」

『女神の居所ですが……』

「もうわかったのか?」

『もうしわけありません。三か所とも、すでにファルトゥールが去った後でした。他の場所に向かったと思われます』

「なに?」

 他の場所か。
 俺が行ったことのあるところで、ファルトゥールが行きそうなところって。
 まさか。

『こちら司令部』

 セレンの声。

『何かが高速でこちらに接近している。あれは――光?』

 念話灯から響く轟音。
 それきり、通信が途切れた。

「おい……おいセレン!」

 どういうことだ。

「応答しろ! なにがあった!」

 呼びかけるも、返事はない。

『主様。やられました。ネオ・コルトは囮です』

「なに?」

『ファルトゥールが、グランオーリスの王都アヴェントゥラと、亜人連邦の首都アインアッカを攻撃しました。被害は、甚大です』

 俺は、言葉を失った。
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