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夢の液体
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「いてっ」
ジョッシュが放った手刀には、ファルトゥールの神性がたんまりと込められていた。
その威力たるや、海を割り山を砕き、天を衝くほどだ。
さすがの俺もなんともないというわけにはいかなかった。
首筋が、ちょっと赤くなっていた。
「なにしやがる」
頭にきた。
人が手加減してやっていたら図に乗りやがって。
「今のを喰らって、無傷じゃと……! バカな! 聞いていた話と違う……」
「うるせぇ」
ジョッシュに腹パンを打ち込む。
「ぐえあ」
今度はわりと強めに、というより女神の神性を貫通する性質のパンチを使ったため、ジョッシュは一撃で悶絶した。
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
可憐な見た目からは考えられない雄叫びをあげて膝をつくジョッシュ。そしてゲロを吐く。
壮絶な光景だった。
「女神ファルトゥールの力が……! なぜじゃ……!」
「すまないが、俺にとっちゃ女神に分けてもらった力なんざ屁でもない。女神そのものでもなけりゃ、怖くもなんともないな」
「む、無念……」
そしてジョッシュは、自分の吐いたゲロの上に倒れて気絶した。
内郭には、静寂が訪れる。
「ば、ばかな……我らが主君であるジョッシュ殿が……!」
「ありえぬ! そんなこと!」
「何かの間違いで候!」
外野が何か言っているが、ジョッシュが負けたことに驚いている場合かな。
「次はお前らだぜ」
俺の眼光を受けて、侍たちは立ちすくんだ。
蛇に睨まれた蛙とは、まさにこのことだ。
「こうなったら、一か八かで候!」
侍の一人が刀を構えると、他の数十人もそれに倣った。
「そうだ! 我らは修羅よ!」
「死んでもともと! 戦に出る前に、とうに葬式は済ませておるわ!」
「かかれぇい!」
士気旺盛だった。
武士達の意気込みは、燃え盛る炎のように熱かった。
俺は迎撃すべく剣の柄を握る。
その時だった。
「お待ちなさい」
城郭の上に、月を背に立つ一つの影があった。
背の低い太ったシルエット。
「ここは死に場所ではありませんよ。今夜は小手調べだと、散々言ったはずでしょう?」
この声は。
「お前……たしかイーグレット・キャッスルで会ったな。親コルト派の統領だったか」
「憶えて頂けるとは恐悦至極」
その男の、脂ぎった顔が露わになる。
「お久しぶりですねロートスさん。ティエス・フェッティでございます」
かつて会った時とは雰囲気が違う。
冴えない中年男のイメージから、まがまがしい悪魔のようなオーラを纏っている。
ティエスは俺の足元に倒れたジョッシュを見下ろし、ふっと息を漏らした。
「残念だなティエス。お前の盟友は俺に負けたぞ。お前も降参したらどうだ?」
「勘違いなされては困ります。ジョッシュ殿は、親コルト派五星天の中で最弱……そのような者を倒していい気になるとは……恥を知りなさい」
「なんだと」
五星天だと。なんだそれは。
「敗者は必要ない。ジョッシュ殿は煮るなり焼くなりお好きになさい」
「仲間を見捨てる気か?」
「仲間だなんてとんでもない。我々はお互いただの協力者にすぎません」
こいつ。一体何を考えてやがる。
「さぁ、撤収しますよ。敵の戦力はわかりました。偵察はここまでです」
「逃がすと思うか?」
「頑張って逃げますとも」
ティエスは両手を広げる。
「『ドリーム・リキッド』」
スキル名を唱えると、その股間あたりから白濁の液体が大量に飛び散った。
それらは侍達に降り注ぎ、彼らの全身を白く染めていく。
「おお!」
「これは!」
「ついに我らも……!」
信じがたい光景だった。
髭面で汚らしい外見だった侍達が、一瞬にして清潔感の溢れる美幼女、あるいは美少女に変化していったのだ。
話には聞いていたが、これがティエスのスキル『ドリーム・リキッド』の力か……!
ジョッシュが放った手刀には、ファルトゥールの神性がたんまりと込められていた。
その威力たるや、海を割り山を砕き、天を衝くほどだ。
さすがの俺もなんともないというわけにはいかなかった。
首筋が、ちょっと赤くなっていた。
「なにしやがる」
頭にきた。
人が手加減してやっていたら図に乗りやがって。
「今のを喰らって、無傷じゃと……! バカな! 聞いていた話と違う……」
「うるせぇ」
ジョッシュに腹パンを打ち込む。
「ぐえあ」
今度はわりと強めに、というより女神の神性を貫通する性質のパンチを使ったため、ジョッシュは一撃で悶絶した。
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
可憐な見た目からは考えられない雄叫びをあげて膝をつくジョッシュ。そしてゲロを吐く。
壮絶な光景だった。
「女神ファルトゥールの力が……! なぜじゃ……!」
「すまないが、俺にとっちゃ女神に分けてもらった力なんざ屁でもない。女神そのものでもなけりゃ、怖くもなんともないな」
「む、無念……」
そしてジョッシュは、自分の吐いたゲロの上に倒れて気絶した。
内郭には、静寂が訪れる。
「ば、ばかな……我らが主君であるジョッシュ殿が……!」
「ありえぬ! そんなこと!」
「何かの間違いで候!」
外野が何か言っているが、ジョッシュが負けたことに驚いている場合かな。
「次はお前らだぜ」
俺の眼光を受けて、侍たちは立ちすくんだ。
蛇に睨まれた蛙とは、まさにこのことだ。
「こうなったら、一か八かで候!」
侍の一人が刀を構えると、他の数十人もそれに倣った。
「そうだ! 我らは修羅よ!」
「死んでもともと! 戦に出る前に、とうに葬式は済ませておるわ!」
「かかれぇい!」
士気旺盛だった。
武士達の意気込みは、燃え盛る炎のように熱かった。
俺は迎撃すべく剣の柄を握る。
その時だった。
「お待ちなさい」
城郭の上に、月を背に立つ一つの影があった。
背の低い太ったシルエット。
「ここは死に場所ではありませんよ。今夜は小手調べだと、散々言ったはずでしょう?」
この声は。
「お前……たしかイーグレット・キャッスルで会ったな。親コルト派の統領だったか」
「憶えて頂けるとは恐悦至極」
その男の、脂ぎった顔が露わになる。
「お久しぶりですねロートスさん。ティエス・フェッティでございます」
かつて会った時とは雰囲気が違う。
冴えない中年男のイメージから、まがまがしい悪魔のようなオーラを纏っている。
ティエスは俺の足元に倒れたジョッシュを見下ろし、ふっと息を漏らした。
「残念だなティエス。お前の盟友は俺に負けたぞ。お前も降参したらどうだ?」
「勘違いなされては困ります。ジョッシュ殿は、親コルト派五星天の中で最弱……そのような者を倒していい気になるとは……恥を知りなさい」
「なんだと」
五星天だと。なんだそれは。
「敗者は必要ない。ジョッシュ殿は煮るなり焼くなりお好きになさい」
「仲間を見捨てる気か?」
「仲間だなんてとんでもない。我々はお互いただの協力者にすぎません」
こいつ。一体何を考えてやがる。
「さぁ、撤収しますよ。敵の戦力はわかりました。偵察はここまでです」
「逃がすと思うか?」
「頑張って逃げますとも」
ティエスは両手を広げる。
「『ドリーム・リキッド』」
スキル名を唱えると、その股間あたりから白濁の液体が大量に飛び散った。
それらは侍達に降り注ぎ、彼らの全身を白く染めていく。
「おお!」
「これは!」
「ついに我らも……!」
信じがたい光景だった。
髭面で汚らしい外見だった侍達が、一瞬にして清潔感の溢れる美幼女、あるいは美少女に変化していったのだ。
話には聞いていたが、これがティエスのスキル『ドリーム・リキッド』の力か……!
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