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締めくくりにはいるやーつ
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「ヘッケラー機関!」
リュウケンが声を荒げた。
「あのいかがわしい秘密結社アルか!」
「我がヴリキャス帝国でも、その組織の存在は認識しています」
ダウト。てめーら帝国は亜人戦争の時にヘッケラー機関と手を組んでやがったじゃねーか。忘れたとは言わせねーぞ。と、言いたいのを堪える。
「ふむ。ヘッケラー機関なら俺も知っているよ。うちの国でもトップシークレットではあるけどね」
「余はあんまり知らないかなー」
ネルランダーとアルドリーゼがそれぞれ口にした。他の首脳達も、知っているだの知らないだのどっちでもないだの言い合っている。
「数百年前、ヘッケラー機関は最高神エストの真実に辿り着きました。エストは意思を持つ神ではなく、ただノームの運命を縛りつけるだけの法則。理であると。それまでエストは、その時代の文化風習によりて様々な方法で人の運命を縛ってきました。そしてヘッケラー機関は、現王国の文化圏を中心に能力至上主義という思想を定着させた。やがて世界中にその思想が広まり社会通念になった時、エストは運命の中にある個人の才能をスキルという形で強制的に開花させた。努力を伴わず潜在能力を解放し、人生の選択肢を絞らせるために」
そうだ。いつか俺がアカネに聞いた話だ。
「ヘッケラー機関の目的は、エストのはたらきを利用してスキルそのものを発現させることでしたが、そのせいでエストの威勢はさらに強まってしまった。かように便利な力をいとも容易く得たことで、我々は結局思い出せずにいるのです。自身の中に、運命を切り開き、人生と世界を変革する力があることを」
先生はどこか辛そうに話している。かつて機関の研究員だったことを悔いているのだろう。そりゃ、罪悪感はあるに違いない。
「以上が、数百年前から続くスキルの真実です」
ついに会場はしんと静まり返ってしまった。
誰もが、あまりの衝撃に言葉を失っている。俺はこの世界の真実についてちょくちょく聞かされていたから驚かないが、他の奴らは違うだろう。
そう考えると、俺がいかに世界について造詣が深いのかがわかる。
やっぱり俺って、すごい人物なんだなぁ。しみじみと思う。
「さて、ここまでは過去のお話でした。ここからは、現在のことをお話しいたします。先程までのお話は、これから話題の予備知識といってもよいでしょう」
先生はさらに続ける。
「魔王と瘴気について」
この場の全員の顔色が変わった。
遠い過去のことより、つい先日まで直面していた問題に興味があるのは、当然だ。
「端的に言えば、魔王アンヘル・カイドは古代人の生き残りです。女神マーテリアを信奉する神代の人。そしてマーテリアの神性をその身に宿した女神の化身であり代弁者です。我々が瘴気に対してほとんど為す術がなかったのは、あれが大いなる女神の権能だからです」
もはや驚く者はいない。驚きが続き過ぎて、とにかく最後まで聞こうという姿勢だった。
「魔王と女神はイコールの存在。そしてまた、最高神エストと女神マーテリアは同一の概念です。つまり、人類の滅亡は神の意志ということになります」
アデライト先生は、会場の首脳達を見渡す。
「あなた方がありがたく信仰している神こそ、他ならぬ人類の敵なのです!」
な、なんだってー!
そこかしこからそんな声が聞こえてきそうな気がした。
気がしただけで、実際には聞こえてこなかったけど。
リュウケンが声を荒げた。
「あのいかがわしい秘密結社アルか!」
「我がヴリキャス帝国でも、その組織の存在は認識しています」
ダウト。てめーら帝国は亜人戦争の時にヘッケラー機関と手を組んでやがったじゃねーか。忘れたとは言わせねーぞ。と、言いたいのを堪える。
「ふむ。ヘッケラー機関なら俺も知っているよ。うちの国でもトップシークレットではあるけどね」
「余はあんまり知らないかなー」
ネルランダーとアルドリーゼがそれぞれ口にした。他の首脳達も、知っているだの知らないだのどっちでもないだの言い合っている。
「数百年前、ヘッケラー機関は最高神エストの真実に辿り着きました。エストは意思を持つ神ではなく、ただノームの運命を縛りつけるだけの法則。理であると。それまでエストは、その時代の文化風習によりて様々な方法で人の運命を縛ってきました。そしてヘッケラー機関は、現王国の文化圏を中心に能力至上主義という思想を定着させた。やがて世界中にその思想が広まり社会通念になった時、エストは運命の中にある個人の才能をスキルという形で強制的に開花させた。努力を伴わず潜在能力を解放し、人生の選択肢を絞らせるために」
そうだ。いつか俺がアカネに聞いた話だ。
「ヘッケラー機関の目的は、エストのはたらきを利用してスキルそのものを発現させることでしたが、そのせいでエストの威勢はさらに強まってしまった。かように便利な力をいとも容易く得たことで、我々は結局思い出せずにいるのです。自身の中に、運命を切り開き、人生と世界を変革する力があることを」
先生はどこか辛そうに話している。かつて機関の研究員だったことを悔いているのだろう。そりゃ、罪悪感はあるに違いない。
「以上が、数百年前から続くスキルの真実です」
ついに会場はしんと静まり返ってしまった。
誰もが、あまりの衝撃に言葉を失っている。俺はこの世界の真実についてちょくちょく聞かされていたから驚かないが、他の奴らは違うだろう。
そう考えると、俺がいかに世界について造詣が深いのかがわかる。
やっぱり俺って、すごい人物なんだなぁ。しみじみと思う。
「さて、ここまでは過去のお話でした。ここからは、現在のことをお話しいたします。先程までのお話は、これから話題の予備知識といってもよいでしょう」
先生はさらに続ける。
「魔王と瘴気について」
この場の全員の顔色が変わった。
遠い過去のことより、つい先日まで直面していた問題に興味があるのは、当然だ。
「端的に言えば、魔王アンヘル・カイドは古代人の生き残りです。女神マーテリアを信奉する神代の人。そしてマーテリアの神性をその身に宿した女神の化身であり代弁者です。我々が瘴気に対してほとんど為す術がなかったのは、あれが大いなる女神の権能だからです」
もはや驚く者はいない。驚きが続き過ぎて、とにかく最後まで聞こうという姿勢だった。
「魔王と女神はイコールの存在。そしてまた、最高神エストと女神マーテリアは同一の概念です。つまり、人類の滅亡は神の意志ということになります」
アデライト先生は、会場の首脳達を見渡す。
「あなた方がありがたく信仰している神こそ、他ならぬ人類の敵なのです!」
な、なんだってー!
そこかしこからそんな声が聞こえてきそうな気がした。
気がしただけで、実際には聞こえてこなかったけど。
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