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固有の結界的なアレ
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跳躍して平原を駆け抜けると、正面から横陣で突撃してくる軍勢を捉えた。
先頭で軍を率いているのは、屈強そうな壮年の男。兜から流れる蒼い髪が特徴的な騎士である。
あれは誰だ。指揮官はセレンじゃないのか?
わからないが、とにかく奴らの前進を止めないと。このままじゃえらいことになる。
俺はたった一人で、迫る数万の大軍にたちはだかることとなった。
「止まれ!」
一応叫んでみるが、軍は減速する気配すら見せない。そりゃそうだ。向こうは奇襲を仕掛けてきているのに、敵に止まれと言われて止まるわけがない。
「しゃあねぇ」
俺は剣を握り締めると、スキル『ものすごい光』を発動。その輝きを刀身に纏わせた。聖女の光とは違う、目が痛くなるような強烈な輝きだ。LEDの光り方によく似ている。
この『ものすごい光』がどういうスキルなのか。単に威力の高い攻撃スキルというだけじゃない。神性を孕み瘴気を打ち消すことができるだけでもない。それはこのスキルの一側面に過ぎない。
では、このスキルの真価は一体なんなのか。それを今お見せしよう。
『ものすごい光』を最大まで凝縮させ、刀身に圧縮して封じる。
「大軍を止めるには、これしかない」
俺は剣を掲げる。
グランオーリスの軍から矢やら魔法やらスキルやらが飛んでくるが、意に介さない。
「目ん玉ひん向いて刮目しやがれ! 『ものすごい光』!」
俺の声に合わせて、極限まで圧縮された光が解放された。
そして、信じられないほど眩しい光が、グランオーリスの軍に照射される。
その輝きが、新たな世界を作り上げていく。
どこまでも続く純白の無垢なる大地と、吸い込まれそうな青々とした空。それはまるで純粋な心を持つ俺の心象風景のようだ。
光に包まれて塗り替えられていく空間が、軍勢を呑み込みこんでいった。
「停止する! 全軍速度を落とせ!」
ある意味で異様な事態に直面した軍勢であったが、先頭の指揮官による明瞭な命令によって陣形を崩壊させることなく突撃を停止。
俺とグランオーリス軍は、ちょうど十歩ほどの距離を空けて対峙することになった。
グランオーリスの指揮官は、まず俺の姿を確認し、それから周囲に作り上げられた世界を見回した。
「これは驚いたな……時空を創造するスキルとは。まさに神の所業だ」
指揮官の騎士は、馬の上から俺をじっと見据える。
「ジェルドにこのような神スキルの持ち主がいたか」
そうじゃないと否定したいところだが、マジックアイテムによって変えられた俺の姿はアナベル以外はどうやっても解除できない。それほど強力な力によって作られているらしいのだ。
一応俺の仲間達には伝えてあるけど、この指揮官にまで伝わっているとは限らない。このままジェルドの巨乳美少女として振る舞うしかないか。
「我が名はヘリオス・レイ・オーリス! グランオーリスの王だ!」
指揮官が勇ましい声で名乗りをあげる。
なんと、セレンの親父さんだった。
先頭で軍を率いているのは、屈強そうな壮年の男。兜から流れる蒼い髪が特徴的な騎士である。
あれは誰だ。指揮官はセレンじゃないのか?
わからないが、とにかく奴らの前進を止めないと。このままじゃえらいことになる。
俺はたった一人で、迫る数万の大軍にたちはだかることとなった。
「止まれ!」
一応叫んでみるが、軍は減速する気配すら見せない。そりゃそうだ。向こうは奇襲を仕掛けてきているのに、敵に止まれと言われて止まるわけがない。
「しゃあねぇ」
俺は剣を握り締めると、スキル『ものすごい光』を発動。その輝きを刀身に纏わせた。聖女の光とは違う、目が痛くなるような強烈な輝きだ。LEDの光り方によく似ている。
この『ものすごい光』がどういうスキルなのか。単に威力の高い攻撃スキルというだけじゃない。神性を孕み瘴気を打ち消すことができるだけでもない。それはこのスキルの一側面に過ぎない。
では、このスキルの真価は一体なんなのか。それを今お見せしよう。
『ものすごい光』を最大まで凝縮させ、刀身に圧縮して封じる。
「大軍を止めるには、これしかない」
俺は剣を掲げる。
グランオーリスの軍から矢やら魔法やらスキルやらが飛んでくるが、意に介さない。
「目ん玉ひん向いて刮目しやがれ! 『ものすごい光』!」
俺の声に合わせて、極限まで圧縮された光が解放された。
そして、信じられないほど眩しい光が、グランオーリスの軍に照射される。
その輝きが、新たな世界を作り上げていく。
どこまでも続く純白の無垢なる大地と、吸い込まれそうな青々とした空。それはまるで純粋な心を持つ俺の心象風景のようだ。
光に包まれて塗り替えられていく空間が、軍勢を呑み込みこんでいった。
「停止する! 全軍速度を落とせ!」
ある意味で異様な事態に直面した軍勢であったが、先頭の指揮官による明瞭な命令によって陣形を崩壊させることなく突撃を停止。
俺とグランオーリス軍は、ちょうど十歩ほどの距離を空けて対峙することになった。
グランオーリスの指揮官は、まず俺の姿を確認し、それから周囲に作り上げられた世界を見回した。
「これは驚いたな……時空を創造するスキルとは。まさに神の所業だ」
指揮官の騎士は、馬の上から俺をじっと見据える。
「ジェルドにこのような神スキルの持ち主がいたか」
そうじゃないと否定したいところだが、マジックアイテムによって変えられた俺の姿はアナベル以外はどうやっても解除できない。それほど強力な力によって作られているらしいのだ。
一応俺の仲間達には伝えてあるけど、この指揮官にまで伝わっているとは限らない。このままジェルドの巨乳美少女として振る舞うしかないか。
「我が名はヘリオス・レイ・オーリス! グランオーリスの王だ!」
指揮官が勇ましい声で名乗りをあげる。
なんと、セレンの親父さんだった。
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