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再会じゃあ

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「ともかく、まずはこの騒ぎをなんとかしよう」

 俺が動こうとした、その瞬間。

「ハァッッッッ――!」

 鼓膜を揺るがす裂帛の気合と共に、頭上から墜落してきた影があった。
 その衝撃たるや凄まじく、落下点を大きく抉って瓦礫と砂塵を巻き上げる。

「なんですか!」

 レオンティーナが腰の剣に手をかけた。
 彼女の表情は一気に引き締まっていた。たった今落ちてきた人物の、強大な気配を感じ取ったからだろう。
 俺にも分かる。こいつは、只者じゃない。
 立ち上る土煙に、大柄な人影が浮かび上がる。そいつはゆっくりと歩を進め、砂塵の外へと出てきた。

「久しいですな……ロートス・アルバレス!」

 しわがれた声が聞こえ、その姿が明らかになる。鉄の兜をかぶり、立派な髭を蓄え、剥き出しの腕は丸太のように太い。

「お前は……」

「『激震』のエルゲンバッハ……! なぜこんなところに……?」

 レオンティーナが息を呑む。
 王国の大英雄であり、クーデターを起こした逆賊でもある。たしか、親コルト派とかいう組織に属していたはずだ。

「まさか、この暴動はお前の仕業か?」

「なにをバカなことを。某のせいではないと、もはや分かっておられるだろう」

「なに?」

 エルゲンバッハは、いやらしい笑みを浮かべている。

「我ら親コルト派、王国を守るためなら手段は厭わぬ。帝国に属するこの国は、直ちに破壊することとしたのだ」

「なんだと?」

「ドーパ民国だけではないぞ。帝国に与する国家は、すべて地図から消滅させる。そして一つ余さず王国の領土となるのだ」

「そのために、メイさんを使ってこの国の男達を魅了したのか」

「いやそれは違う。あの娘は、自らの欲望からこの惨状を作り出したのだ。我らはその背中を軽くしたに過ぎぬ」

 まじかよ。まさか親コルト派が裏で手を引いていたなんてな。
 さしもの俺もそこまでは見抜けなかった。

「主様。魅了を解いて回るには数が多すぎます。ここは大元であるスキルの使い手を探しだし、魅了の効果を消させるしかありません」

「ああ。わかってる」

 その瞬間、エルゲンバッハの拳がレオンティーナを吹っ飛ばした。

「そうさせないために、某が出てきたというわけよ」

 レオンティーナは咄嗟に剣で防御していたものの、エルゲンバッハのパンチの威力を殺すことはできず、大通りの端まで転々と転がっていった。

「てめぇ……!」

 不意を突いたとはいえ、守護隊の一員であるレオンティーナをああも簡単に打ち飛ばすなんて。
 エルゲンバッハ。二年前より格段に強くなってやがる。

「某の『激震』。今再び御覧じろ。ロートス・アルバレス!」

「しゃらくせぇ!」

 俺は右腕に瘴気と『ものすごい光』を纏わせ、エルゲンバッハに叩き込む。
 エルゲンバッハも同じく、『激震』の力をこめた拳で、迎え撃ってきた。
 拳と拳が、激突する。
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