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強くなりすぎてしまった
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そこで目にしたのは、大柄な騎士に手首を掴まれているメイの姿。
そしてそれを取り囲む十数人の騎士団と、さらにそれを取り囲む多くの野次馬であった。
なるほどな。この騒ぎでも誰も止められないなんて、ドーパ民国と帝国の力関係が如実に顕れているな。
「おい」
下卑た笑みでメイに迫る騎士を見上げる。
「あ? あんだテメェは」
「さっきからうるさいんだわ。こっちは美味い飯を楽しみにしてんだ。迷惑だからさっさと失せろ」
「ハァ~ッ?」
鼓膜を震わせるクソでかい声だった。
「おい聞いたかオメーら! このガキ! 帝国の騎士団長であり『ソードマスター』のスキルを持つこのカマセイ・ヌーに対して、うるさいだってよ! ハッハ! えらく肝が座ったガキだ!」
騎士団長の笑いに合わせて、周囲の騎士達も笑いをあげる。
めんどくさ。
「メイさん。店の中に入って。こんな奴の相手しなくていいよ」
「あ、ああ」
「ほら、さっさとその汚い手を離せよ」
俺が言っても、騎士団長カマセイは動かない。
「はっはーん。わかったぞ。お前もメイにホの字か。だが残念だ! この女は俺の妻になると決まっているんだからな! はっは!」
「っ! 誰があんたなんかとッ!」
メイは身を捩らせて手を振りほどこうとしているが、町娘の細腕でそれは叶わない。
「なぁカマセイ団長。俺が三つ数えるうちにその手を離さないと、後悔することになるぞ」
「え~? どうなるんでちゅか~? ボクちゃん教えてほしいな~!」
煽りスキル低いなこいつ。思わず溜息が漏れる。
まぁいいや。
「さん」
俺は腰の剣を握る。
「にー」
それを察して、カマセイと周囲の騎士が武器に手をかけた。
「いち」
カマセイはメイの手首を握ったままだ。
あーあ。気の毒に。
俺は剣の柄から手を離す。
「おいおい、抜くんじゃなかったのか~? もしかしてビビっちゃったかな? ン?」
俺は何も言わなかった。
ただ、メイの手首を掴んでいたカマセイの手が、忽然と消えていた。
「あれ?」
光にも追い付かんばかりの神速で放った抜剣が、カマセイの腕を斬り落とした。否、跡形も残らず細かく斬り刻んだのだ。それはもはや、出血すら許さない。
「うわ! 俺の腕がぁ! ない!」
カマセイの叫びが起点となって、辺りは騒然となった。
「な、一体なにが起きたんだ!」
「カマセイ団長の手が、消えた……?」
「奴のスキルか? 面妖な!」
ざわざわしている。
「メイさん。今のうちに中へ」
「あ、ありがとね!」
メイが店の中に駆け入る。
カマセイが、ギロリと俺を睨んだ。
「てめぇ……俺様の腕を、よくも!」
「因果応報だな。首を落とされなかっただけありがたく思えよ」
「この……殺してやるぅッ!」
次の瞬間。
カマセイが、凄まじい圧力の斬撃を放ってきた。
「へぇ。言うだけあってそこそこ腕はいいんだな」
ちょっとしたドラゴンくらいなら致命傷を与えられるくらいの威力だ。片腕でこれを放てるのは、流石『ソードマスター』のスキルと言ったところか。
俺はそれを、指一本で止めたわけだが。
そしてそれを取り囲む十数人の騎士団と、さらにそれを取り囲む多くの野次馬であった。
なるほどな。この騒ぎでも誰も止められないなんて、ドーパ民国と帝国の力関係が如実に顕れているな。
「おい」
下卑た笑みでメイに迫る騎士を見上げる。
「あ? あんだテメェは」
「さっきからうるさいんだわ。こっちは美味い飯を楽しみにしてんだ。迷惑だからさっさと失せろ」
「ハァ~ッ?」
鼓膜を震わせるクソでかい声だった。
「おい聞いたかオメーら! このガキ! 帝国の騎士団長であり『ソードマスター』のスキルを持つこのカマセイ・ヌーに対して、うるさいだってよ! ハッハ! えらく肝が座ったガキだ!」
騎士団長の笑いに合わせて、周囲の騎士達も笑いをあげる。
めんどくさ。
「メイさん。店の中に入って。こんな奴の相手しなくていいよ」
「あ、ああ」
「ほら、さっさとその汚い手を離せよ」
俺が言っても、騎士団長カマセイは動かない。
「はっはーん。わかったぞ。お前もメイにホの字か。だが残念だ! この女は俺の妻になると決まっているんだからな! はっは!」
「っ! 誰があんたなんかとッ!」
メイは身を捩らせて手を振りほどこうとしているが、町娘の細腕でそれは叶わない。
「なぁカマセイ団長。俺が三つ数えるうちにその手を離さないと、後悔することになるぞ」
「え~? どうなるんでちゅか~? ボクちゃん教えてほしいな~!」
煽りスキル低いなこいつ。思わず溜息が漏れる。
まぁいいや。
「さん」
俺は腰の剣を握る。
「にー」
それを察して、カマセイと周囲の騎士が武器に手をかけた。
「いち」
カマセイはメイの手首を握ったままだ。
あーあ。気の毒に。
俺は剣の柄から手を離す。
「おいおい、抜くんじゃなかったのか~? もしかしてビビっちゃったかな? ン?」
俺は何も言わなかった。
ただ、メイの手首を掴んでいたカマセイの手が、忽然と消えていた。
「あれ?」
光にも追い付かんばかりの神速で放った抜剣が、カマセイの腕を斬り落とした。否、跡形も残らず細かく斬り刻んだのだ。それはもはや、出血すら許さない。
「うわ! 俺の腕がぁ! ない!」
カマセイの叫びが起点となって、辺りは騒然となった。
「な、一体なにが起きたんだ!」
「カマセイ団長の手が、消えた……?」
「奴のスキルか? 面妖な!」
ざわざわしている。
「メイさん。今のうちに中へ」
「あ、ありがとね!」
メイが店の中に駆け入る。
カマセイが、ギロリと俺を睨んだ。
「てめぇ……俺様の腕を、よくも!」
「因果応報だな。首を落とされなかっただけありがたく思えよ」
「この……殺してやるぅッ!」
次の瞬間。
カマセイが、凄まじい圧力の斬撃を放ってきた。
「へぇ。言うだけあってそこそこ腕はいいんだな」
ちょっとしたドラゴンくらいなら致命傷を与えられるくらいの威力だ。片腕でこれを放てるのは、流石『ソードマスター』のスキルと言ったところか。
俺はそれを、指一本で止めたわけだが。
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