576 / 981
ボタンひとつでやり直し
しおりを挟む
「世界を、リセット? 文明を崩壊させるってことか?」
『いいや。そういった比喩じゃない。文字通り純粋な意味で、リセットをするつもりらしい』
突拍子もない話かもしれないが、女神の力ならそれができる。
まさか、世界をリセットとはな。背筋が凍るぜ。
「けど、教皇とエレノアの利害が一致してるってのはどういうことだ? あいつはそんなこと願うような女じゃないと思うが」
『そこまではわからない。僕が入手できたのは教皇の野望だけだ』
ろくでもない野望だな。まったく。
「わかった。エレノアの方も、早めになんとかしないといけないな」
『僕は引き続き内偵を続ける。また何か分かったら連絡するよ』
「ああ。頼む」
通話終了。俺は肩の力を抜いて、ソファに座りなおした。
はぁ。
頭が痛い。
「何の話っすか?」
ウィッキーが興味深そうに俺を見ていた。
「エレノアのことだ。知らない間に帝国の聖女様になってやがった。なにか聞いてるか?」
「いや。ここにいると外の情報はあんまり入ってこないっすからね」
「なら、一応話しておく。情報共有だ」
俺はエレノアの現状と、なんやかんやの事柄を説明した。
帝国で俺と一戦交えたことや、俺のことを憶えていたこと、そしてエンディオーネの神格を奪ったことも含めて。
「やばいっすね」
それがウィッキーの感想だった。
「同感だ。やばいんだよ」
「それ、放っておいていいんすか? けっこう重大な問題に思えるんすけど」
「わかってる。けど俺には、時間がないと思ってたから」
そろそろ行かなあかんなーとは思ってるんや。
「ここでの検査が終わったら、帝国へ向かおうかな」
「それがいいっすよ。取り返しがつかなくなる前に」
だな。
ウィッキーは椅子の上で足を組みなおした。
黒いタイツに包まれた脚線美が、俺の劣情をこの上なく刺激する。
こいつ、おっぱいだけじゃなく、脚まで魅力的とは。俺を脚フェチにする気か。
もうなってるよ。
「どこ見てるっすか」
「脚」
「正直に言えばいいってもんじゃないっす」
ウィッキーの溜息。
「実はな。エレノアのことももちろん重要だが、他にも気になってることがある」
「なんすか?」
「アデライト先生から聞いてないか? スキルのこと」
「……コッホ城塞で、スキルを手に入れるって話なら聞いたっす」
「そうだ。お前の『ツクヨミ』の例があるからな。先生は可能だと考えてる」
「スキルを付与するだけならできるだろうっすよ。けど、それで世界があんたのことを思い出すかは未知数っす」
「かもな」
とはいえ、可能性が一パーセントでもあるなら試さずにはいられないだろ。
『いいや。そういった比喩じゃない。文字通り純粋な意味で、リセットをするつもりらしい』
突拍子もない話かもしれないが、女神の力ならそれができる。
まさか、世界をリセットとはな。背筋が凍るぜ。
「けど、教皇とエレノアの利害が一致してるってのはどういうことだ? あいつはそんなこと願うような女じゃないと思うが」
『そこまではわからない。僕が入手できたのは教皇の野望だけだ』
ろくでもない野望だな。まったく。
「わかった。エレノアの方も、早めになんとかしないといけないな」
『僕は引き続き内偵を続ける。また何か分かったら連絡するよ』
「ああ。頼む」
通話終了。俺は肩の力を抜いて、ソファに座りなおした。
はぁ。
頭が痛い。
「何の話っすか?」
ウィッキーが興味深そうに俺を見ていた。
「エレノアのことだ。知らない間に帝国の聖女様になってやがった。なにか聞いてるか?」
「いや。ここにいると外の情報はあんまり入ってこないっすからね」
「なら、一応話しておく。情報共有だ」
俺はエレノアの現状と、なんやかんやの事柄を説明した。
帝国で俺と一戦交えたことや、俺のことを憶えていたこと、そしてエンディオーネの神格を奪ったことも含めて。
「やばいっすね」
それがウィッキーの感想だった。
「同感だ。やばいんだよ」
「それ、放っておいていいんすか? けっこう重大な問題に思えるんすけど」
「わかってる。けど俺には、時間がないと思ってたから」
そろそろ行かなあかんなーとは思ってるんや。
「ここでの検査が終わったら、帝国へ向かおうかな」
「それがいいっすよ。取り返しがつかなくなる前に」
だな。
ウィッキーは椅子の上で足を組みなおした。
黒いタイツに包まれた脚線美が、俺の劣情をこの上なく刺激する。
こいつ、おっぱいだけじゃなく、脚まで魅力的とは。俺を脚フェチにする気か。
もうなってるよ。
「どこ見てるっすか」
「脚」
「正直に言えばいいってもんじゃないっす」
ウィッキーの溜息。
「実はな。エレノアのことももちろん重要だが、他にも気になってることがある」
「なんすか?」
「アデライト先生から聞いてないか? スキルのこと」
「……コッホ城塞で、スキルを手に入れるって話なら聞いたっす」
「そうだ。お前の『ツクヨミ』の例があるからな。先生は可能だと考えてる」
「スキルを付与するだけならできるだろうっすよ。けど、それで世界があんたのことを思い出すかは未知数っす」
「かもな」
とはいえ、可能性が一パーセントでもあるなら試さずにはいられないだろ。
0
お気に入りに追加
1,202
あなたにおすすめの小説
ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。
子供の頃、僕は奴隷として売られていた。
そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。
だから、僕は自分に誓ったんだ。
ギルドのメンバーのために、生きるんだって。
でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。
「クビ」
その言葉で、僕はギルドから追放された。
一人。
その日からギルドの崩壊が始まった。
僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。
だけど、もう遅いよ。
僕は僕なりの旅を始めたから。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
追放?俺にとっては解放だ!~自惚れ勇者パーティに付き合いきれなくなった俺、捨てられた女神を助けてジョブ【楽園創造者】を授かり人生を謳歌する~
和成ソウイチ
ファンタジー
(全77話完結)【あなたの楽園、タダで創ります! 追放先はこちらへ】
「スカウトはダサい。男はつまらん。つーことでラクター、お前はクビな」
――その言葉を待ってたよ勇者スカル。じゃあな。
勇者のパワハラに愛想を尽かしていたスカウトのラクターは、クビ宣告を幸いに勇者パーティを出て行く。
かつては憧れていた勇者。だからこそここまで我慢してきたが、今はむしろ、追放されて心が晴れやかだった。
彼はスカルに仕える前から――いや、生まれた瞬間から決めていたことがあった。
一生懸命に生きる奴をリスペクトしよう。
実はラクターは転生者だった。生前、同じようにボロ布のようにこき使われていた幼馴染の同僚を失って以来、一生懸命に生きていても報われない奴の力になりたいと考え続けていた彼。だが、転生者であるにも関わらずラクターにはまだ、特別な力はなかった。
ところが、追放された直後にとある女神を救ったことでラクターの人生は一変する。
どうやら勇者パーティのせいで女神でありながら奴隷として売り飛ばされたらしい。
解放した女神が憑依したことにより、ラクターはジョブ【楽園創造者】に目覚める。
その能力は、文字通り理想とする空間を自由に創造できるチートなものだった。
しばらくひとりで暮らしたかったラクターは、ふと気付く。
――一生懸命生きてるのは、何も人間だけじゃないよな?
こうして人里離れた森の中で動植物たちのために【楽園創造者】の力を使い、彼らと共存生活を始めたラクター。
そこで彼は、神獣の忘れ形見の人狼少女や御神木の大精霊たちと出逢い、楽園を大きくしていく。
さらには、とある事件をきっかけに理不尽に追放された人々のために無料で楽園を創る活動を開始する。
やがてラクターは彼を慕う大勢の仲間たちとともに、自分たちだけの楽園で人生を謳歌するのだった。
一方、ラクターを追放し、さらには彼と敵対したことをきっかけに、スカルを始めとした勇者パーティは急速に衰退していく。
(他サイトでも投稿中)
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる