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黄金の戦士サーデュークじゃん

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 黄金の戦士は隊列の進路上に立ち、こちらをじっと見つめている。

「止まるんだ!」

 先頭の騎士が叫ぶ。その号令で、全軍は速やかに停止した。
 そのタイミングで、コーネリアもやってくる。

「何事です!」

「敵だ」

 答えたのは俺。
 敵の姿を見たコーネリアは、額に汗を浮かべた。

「魔族……? そんなまさか」

 乾いた声。
 騎士団に緊張と恐怖が蔓延していく。
 黄金の戦士が身じろぎした。背負ったハルバードを取り、切っ先をこちらに向ける。

「我が名はサーデューク! 魔王様に仕えし四天王が一人!」

 大地を震わせるような口上だった。

「王女セレン・オーリスの命! ここで頂戴する!」

 サーデュークが纏う瘴気が、一気に膨れあがる。
 巨大かつ高密度の淀んだ魔力。今まで見たどんな瘴気よりも、純粋で邪悪な感じがする。

「確かにこれは……やばいな」

 魔王軍四天王。
 サニーが手傷を負ったというのも納得だ。
 戦闘力だけで見れば、こいつはアイリスをも凌駕するんじゃないだろうか。

「狙いは殿下か……!」

 コーネリアは腰の剣に手をかける。
 抜剣しようとした彼女を、俺は咄嗟に制した。

「待て。ここは俺がやる」

「何を……全員でかかっても、勝てるかどうかわからないというのに……!」

「だからこそさ。あんたはお姫様を逃がすんだ。俺が奴を引き付けているうちに」

「……死ぬ気ですか?」

「そうだ」

 コーネリアの顔が引き攣る。

「俺は死ぬ気でお姫様を守る。だからあんたも、死ぬ気で逃がせ」

 決死の覚悟というわけだ。

「他国の王女のために、どうしてそこまで」

「そんな問答をしてる暇ねーだろ。はやく行け」

「……わかりました。全軍! 王女殿下をお守りしろ――」

 コーネリアが振り返り、命令を飛ばしたのと同時に、先頭の騎士四人の首が飛んだ。

「――は?」

 サーデュークが神速の踏み込みで肉薄し、ハルバードの一薙ぎで四つの首を刈り取ったということに気付けたのは、俺だけだろう。
 だが、気付けただけで反応はできなかった。頭を失った騎士達が落馬し、土を鮮血で染めていく。

「うっそだろ!」

 すかさず居合斬りを放ち、サーデュークの動きを止める。俺の剣はハルバードの柄で止められ、鍔ぜり合いの体勢となった。

「ム? これはなかなか、使うではないか」

「そりゃどう、もッ!」

 発勁の要領でサーデュークを弾き飛ばす。
 数十歩ほど後方へと押し出したものの、如何せんダメージはなさそうだ。

「コーネリア! はやくしろ!」

「は、はいっ!」

 騎士達は戦慄しながらも馬車の守りを固め、来た道を戻っていく。

「王女を守る冒険者はもれなく死んだと聞いていたが……まさか貴様のような使い手が残っていたとはな」

 首をバキバキ鳴らしながら近づいてくるサーデューク。黄金の巨体はやたら威圧感がある。

「フム? その痣……貴様も我らの同胞か?」

「ンなわけねーだろ。俺は人間だ」

「なるほど。なりそこないといったところか」

 瘴気に侵されながら知性を保ったモンスターか。
 こりゃ確かに、厄介だぞ。
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