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これもさだめか
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昼休み。
俺はてぇてぇ亭の一番奥の席に陣取り、腕を組んで水のグラスを見つめていた。
あのショタがちゃんと取り次いでくれていたら、そろそろ情報を提供してくれる人物が現れるはずだ。
「こんちゃーす」
女の子の声。
顔をあげると、そこにいたのはお団子頭の小柄な女子生徒だった。巨乳の従者を連れている。
「ヒーモ・ダーメンズの話を聞きたいって人は、あなた?」
「ああ。俺だ」
この子、見たことがあるな。確か、二年前同じクラスだった子だ。それに、教頭と揉めた時に写真撮りまくってた子でもある。
確か、名前は。
「わたしはリリィ・ディオール。よろしくって話」
「ロートス・アルバレスだ。よろしく」
リリィか。そうだ。そんな名前だったな。
彼女はにやりと笑い、肩にかけた写真機を指でなぞっていた。
俺が促すと、リリィと従者の女性は対面の席に腰を下ろす。
「何か頼むか? 奢らせてもらう」
「太っ腹って話! じゃあ、スペシャルジャンボパフェ三つで」
「三つ? いや俺はいらないけど」
「わたしが三つ食べるって話」
ああそう。甘党なんだな。いやそういう問題か。まぁいいけど。
「あんたは?」
従者の女性は、暗い表情で否定の仕草をした。
「そうか」
遠慮しなくてもいいのに。
店員に注文をしてから、本題に入ることにする。
「早速ですまないが、ヒーモのことについて教えてくれ。貴族の坊ちゃんは教えてくれなかったもんでな」
「お安い御用って話。彼の何が知りたいの?」
「そうだな。あいつ今、どこにいるんだ? 学園にいるのか?」
「んー。なかなか難しい質問だ」
リリィは白い顎を押さえる。
「一応、学籍はあるんだよ。でも、寮にはほとんど帰ってきてないって話」
「なんで?」
「彼は今、冒険者やってるからね」
「マジで? ウッソだろ」
あいつは貴族らしく冒険者をバカにしていたじゃないか。ギルドに乗りこんだ時なんかかなりひどいことを言っていたような気がするぞ。
「何があったんだ?」
「順を追って説明していきましょーか。ダーメンズ子爵家没落の歴史を」
没落とな。
そいつは穏やかじゃないな。
「詳しく聞こう」
そこでスペシャルジャンボパフェが三つ運ばれてきた。ウェイトレスは一人ひとつずつ置いてくれるが、リリィはそれをすべて自分の前に移動させる。
「おいしそーって話!」
目を輝かせて一口頬張る。幸せそうでなにより。
「一年以上前になるんだけどね。マッサ・ニャラブや帝国との戦争の中で、この国も内部分裂してたんだよ」
「派閥争い的な?」
「そうそう。そんな場合じゃないってのに、貴族ってのはどうしても権力闘争がお好きみたいでさ。主義主張の違う貴族同士で足の引っ張り合いって話」
ふざけた話だ。そりゃ王都も陥落するわな。
「ダーメンズ子爵家も例外に漏れずって感じだね。それで、政敵にぼこられて失脚しちゃったの」
かわいそうに。
「二年前まではブイブイ言わせてたんだけどねー。なんでも、それまでお家を支えてた優秀な人材がいなくなったって話」
リリィはぱくぱくとパフェを食べながらそんなことを言う。
俺はピンときた。
アカネだ。あいつは俺を追って現代日本にやってきたからな。ダーメンズ家のことはほったらかしになってしまっていたはずだ。
じゃあ、なんだ。
ダーメンズ家は俺のせいで没落しちまったってのか。直接的な原因じゃないにしても、なんか責任感じるぜ。
「ま、なんやかんやで戦争が不利なったのは全部ダーメンズ家のせいになったりして、領地も失い名ばかりの貴族になっちゃったって話」
「悲しいな」
「だね。でもこれも時代の流れっていうのかな」
盛者必衰。諸行無常。そういうことなのかもしれないな。
「でもね。重要なのはここからって話」
リリィは二つ目のパフェにスプーンを差しながら、したり顔で言った。
俺はてぇてぇ亭の一番奥の席に陣取り、腕を組んで水のグラスを見つめていた。
あのショタがちゃんと取り次いでくれていたら、そろそろ情報を提供してくれる人物が現れるはずだ。
「こんちゃーす」
女の子の声。
顔をあげると、そこにいたのはお団子頭の小柄な女子生徒だった。巨乳の従者を連れている。
「ヒーモ・ダーメンズの話を聞きたいって人は、あなた?」
「ああ。俺だ」
この子、見たことがあるな。確か、二年前同じクラスだった子だ。それに、教頭と揉めた時に写真撮りまくってた子でもある。
確か、名前は。
「わたしはリリィ・ディオール。よろしくって話」
「ロートス・アルバレスだ。よろしく」
リリィか。そうだ。そんな名前だったな。
彼女はにやりと笑い、肩にかけた写真機を指でなぞっていた。
俺が促すと、リリィと従者の女性は対面の席に腰を下ろす。
「何か頼むか? 奢らせてもらう」
「太っ腹って話! じゃあ、スペシャルジャンボパフェ三つで」
「三つ? いや俺はいらないけど」
「わたしが三つ食べるって話」
ああそう。甘党なんだな。いやそういう問題か。まぁいいけど。
「あんたは?」
従者の女性は、暗い表情で否定の仕草をした。
「そうか」
遠慮しなくてもいいのに。
店員に注文をしてから、本題に入ることにする。
「早速ですまないが、ヒーモのことについて教えてくれ。貴族の坊ちゃんは教えてくれなかったもんでな」
「お安い御用って話。彼の何が知りたいの?」
「そうだな。あいつ今、どこにいるんだ? 学園にいるのか?」
「んー。なかなか難しい質問だ」
リリィは白い顎を押さえる。
「一応、学籍はあるんだよ。でも、寮にはほとんど帰ってきてないって話」
「なんで?」
「彼は今、冒険者やってるからね」
「マジで? ウッソだろ」
あいつは貴族らしく冒険者をバカにしていたじゃないか。ギルドに乗りこんだ時なんかかなりひどいことを言っていたような気がするぞ。
「何があったんだ?」
「順を追って説明していきましょーか。ダーメンズ子爵家没落の歴史を」
没落とな。
そいつは穏やかじゃないな。
「詳しく聞こう」
そこでスペシャルジャンボパフェが三つ運ばれてきた。ウェイトレスは一人ひとつずつ置いてくれるが、リリィはそれをすべて自分の前に移動させる。
「おいしそーって話!」
目を輝かせて一口頬張る。幸せそうでなにより。
「一年以上前になるんだけどね。マッサ・ニャラブや帝国との戦争の中で、この国も内部分裂してたんだよ」
「派閥争い的な?」
「そうそう。そんな場合じゃないってのに、貴族ってのはどうしても権力闘争がお好きみたいでさ。主義主張の違う貴族同士で足の引っ張り合いって話」
ふざけた話だ。そりゃ王都も陥落するわな。
「ダーメンズ子爵家も例外に漏れずって感じだね。それで、政敵にぼこられて失脚しちゃったの」
かわいそうに。
「二年前まではブイブイ言わせてたんだけどねー。なんでも、それまでお家を支えてた優秀な人材がいなくなったって話」
リリィはぱくぱくとパフェを食べながらそんなことを言う。
俺はピンときた。
アカネだ。あいつは俺を追って現代日本にやってきたからな。ダーメンズ家のことはほったらかしになってしまっていたはずだ。
じゃあ、なんだ。
ダーメンズ家は俺のせいで没落しちまったってのか。直接的な原因じゃないにしても、なんか責任感じるぜ。
「ま、なんやかんやで戦争が不利なったのは全部ダーメンズ家のせいになったりして、領地も失い名ばかりの貴族になっちゃったって話」
「悲しいな」
「だね。でもこれも時代の流れっていうのかな」
盛者必衰。諸行無常。そういうことなのかもしれないな。
「でもね。重要なのはここからって話」
リリィは二つ目のパフェにスプーンを差しながら、したり顔で言った。
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