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明かされし真実

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「なんだ? 答えろよ」

 リーダーらしき女戦士は、言いにくそうに眉を顰める。

「聖母さまを巻き込むリスクがあったからだ……」

「なに?」

「聖母さまは我らジェルド族にとって大切なお方だ。万が一ということがあってはならない」

「どういうことだ」

「アナベル様はもちろんのこと、その母君を擁しているということは、他の部族に対して大きなアドバンテージとなる。だから女王は、我らに聖母さまをお守りするよう命じられていたのだ」

「けどアルドリーゼは、もう出て行ってもいいって言ってたじゃねぇか」

「貴様がいるという前提ではな」

「なんだと?」

「貴様がいれば、アナベル様は神の子ではなく人の子ということになってしまう。聖母さまも同じく、神の子ではなく人の子を孕んだだけ。都合が悪いだろう、それは」

「何が言いてぇ?」

「簡単だ。貴様が死ねば、全てが丸く収まるということだッ!」

 刺客達が動き出す。
 その瞬間。
 リーダー格の一人を除く全員が、その場に倒れた。

「な、なに? 何が起こった!」

 すごい慌てふためている。
 そりゃそうだ。
 常人の肉眼では捉えきれない速度で動いた俺が、一息のうちに全員気絶させてやったからな。

「腑に落ちないことがある」

 次の刹那には、音もなく抜いた剣を、刺客の首筋に突きつける。

「お前らの腕は見ればわかる。立ち方構え方、目つきとかそういったところからな。その気になれば、たとえ情事の最中でも俺だけを正確に狙えたはずだ」

「なにを……」

「俺は嘘が嫌いなんだ。誠実じゃないだろ? そういうのは」

 刃が、刺客の首に触れた。

「正直に言ったらどうだ? 本当の理由を。その綺麗な喉が使い物にならなくなる前にな」

 お、なんか今の俺って悪役っぽいな。
 まぁ、たまにはこういうのもアリだな。アリよりのアリだ。

「ほら。言えよ」

「……わかった」

 どうやら刺客は観念したようだった。
 そりゃそうだ。仲間は全員気を失い、自身も無力化されている。
 そして、刺客はとうとう口を開いた。

「お二人のまぐわいがあまりにも激しかったせいで、みんな夢中で見入っていた……真実は、そういうことだ」

「は?」

 なんじゃそりゃ。

「とんだむっつりスケベだな」

「し、仕方ないだろう! 我らは皆そういったことに疎いのだ! 興味があって何が悪い!」

「だからって人のセックスを覗くなよ」

「うっ……」

 痛いところを突いてやったぜ。
 というか。

「ジェルド族はアナベルのおかげで覇権取ったんだろ? だったら男なんか他民族から選り取り見取りじゃねぇのか?」

 そこで、オルタンシアが俺の袖をちょいちょいと引っ張った。

「種馬さま……今この国では産児制限が、敷かれているんです。男性との、その……性的接触は、許可された者でないとできないんです」

「なんでまたそんなこと。ぽんぽん人口増やした方が国力上がるだろ?」

「一時的には、そうです。でも、急激な出生率の増加は、世代間に大きな人口差を生みます。長期的に見れば、デメリットも大きいんです」

「なるほどな。なんとなく分かる気がするが」

 人口ピラミッドを綺麗に作りたいってことか。確かに元の世界でも、少子高齢化社会とか問題になってたもんな。
 アルドリーゼの奴、そういう政策的なところはちゃんと考えているってことか。
 刺客は、がっくりと膝をつく。

「聖母さまの仰る通りなのだ。だから私達は、未だに全員が処女のまま。せっかくエロいことをする男女を見る機会に恵まれたのだ。少しくらい覗いても罰は当たらんだろうがッ!」

「いや、そんな開き直られても」

 まったく。男子中学生じゃねぇんだからよ。
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