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ヒントは血
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サラと亜人連邦のことはひとまず放り出すことになってしまった。
そのことについてはまことに心苦しいが、マッサ・ニャラブに入るという当初の目的が達成されたことを考えると、それなりに順調にいっている感じなのかもしれない。
ジェルドの谷を越え、砂漠を突き進む。
戦車の中はかなり広く、フォルティスが入ってもくつろげるくらいにはゆったりとしていた。ソファとか調度品とか置かれていて、戦車の中というよりは一個の部屋みたいになっている。
魔導具が空調を効かせてくれているのか、とてつもなく快適だった。魔導具ってなんでもありだな。まぁ科学みたいなもんなのかな。科学だってなんでもありな部分あるもんな。
「涼しいでしょ~? まったく帝国の魔導技術ってのは素晴らしいものだよね~」
「マッサ・ニャラブは帝国と繋がりがあるのか? 魔導具ってのは貴重なもんだろ」
「国同士じゃなくて、個人的なコネだね~。なんていうか、試作品の実験してくれって感じで貰ったんだよ~」
「なるほどな……」
まぁ、ジェルド族の女王なら、帝国とコネがあってもおかしくはないか。
いや、そんなことはいい。
「その子について聞かせてほしいんだけど」
俺はソファに腰を降ろし、向かいに座るアルドリーゼと、抱っこされている子どもを見つめる。
「うんうん。そうだろうね~。この子のパパだもんね~」
「たぶんだけどな」
「ぱぱー」
たぶんじゃなくてマジだよ、とでも言いたげなアナちゃんだ。
「この子はね~、アナベルっていうの」
「アナベル」
だからアナちゃんか。
「今で一歳半くらいかな~。かわいいでしょ~?」
「かわいいな」
おおきな目とぷくぷくとした頬は、まさに可愛らしい幼児といった感じだ。世の中には不愛想な幼児もいるが、アナちゃんはその心根の綺麗さ表れているような顔立ちだった。紫の髪と褐色の肌は、ジェルド族特有のものだ。
「オルたそによく似てる」
「そこなんだよね~。オルタンシアの子どもなのは、あの子のお腹から生まれてきたから間違いないとしても、ずっと父親がわからなかったから~。キミ~、いつの間に種付けしちゃったの~?」
「いつの間に、か。それを言われると説明が難しいな」
俺の存在が忘れられたことで、二年前のこともなかったことになっているだろう。
「前にあんたらがアインアッカ村に来たことがあっただろう。時期としてはその時になるのかな」
「あ~。あの時か~。たしかにそうなるよね~。でも、男が村に入ったりしたら絶対わかるよ~。厳重に警備してたし~」
「だな」
「だからさ~。もしかしらた余の従姉妹は、処女懐妊したんじゃないかって噂がながれたのよ~」
「まさか。そんなもんは神話の中でしかありえんだろ」
マリア様よろしくってか。
「だよね~。だけどさ~、そうとしか考えられなかったからさ。あの時は夜も見回り強化してたから、村の中で誰かが男とセックスしたらすぐわかるし~」
「プライバシーなんてあったもんじゃないな」
「だから~、ずっと疑問だったのよ~。この子の父親が誰なのかってね~」
ふーむ。
そういえば。
「なあアルドリーゼ。さっきあんた、俺の名をどこかで聞いたことがあるって言ってたな。あれはどういうことだ」
俺は素晴らしき爆乳をガン見しつつ、真面目に尋ねる。
「あ~、あれね~。余もさっき思い出したんだけど~。実は、オルタンシアがずっと言ってたんだよね~。この子の父親はロートスっていう男だって~」
「なんだと」
オルタンシアは、俺のことを憶えているのか。
そのことについてはまことに心苦しいが、マッサ・ニャラブに入るという当初の目的が達成されたことを考えると、それなりに順調にいっている感じなのかもしれない。
ジェルドの谷を越え、砂漠を突き進む。
戦車の中はかなり広く、フォルティスが入ってもくつろげるくらいにはゆったりとしていた。ソファとか調度品とか置かれていて、戦車の中というよりは一個の部屋みたいになっている。
魔導具が空調を効かせてくれているのか、とてつもなく快適だった。魔導具ってなんでもありだな。まぁ科学みたいなもんなのかな。科学だってなんでもありな部分あるもんな。
「涼しいでしょ~? まったく帝国の魔導技術ってのは素晴らしいものだよね~」
「マッサ・ニャラブは帝国と繋がりがあるのか? 魔導具ってのは貴重なもんだろ」
「国同士じゃなくて、個人的なコネだね~。なんていうか、試作品の実験してくれって感じで貰ったんだよ~」
「なるほどな……」
まぁ、ジェルド族の女王なら、帝国とコネがあってもおかしくはないか。
いや、そんなことはいい。
「その子について聞かせてほしいんだけど」
俺はソファに腰を降ろし、向かいに座るアルドリーゼと、抱っこされている子どもを見つめる。
「うんうん。そうだろうね~。この子のパパだもんね~」
「たぶんだけどな」
「ぱぱー」
たぶんじゃなくてマジだよ、とでも言いたげなアナちゃんだ。
「この子はね~、アナベルっていうの」
「アナベル」
だからアナちゃんか。
「今で一歳半くらいかな~。かわいいでしょ~?」
「かわいいな」
おおきな目とぷくぷくとした頬は、まさに可愛らしい幼児といった感じだ。世の中には不愛想な幼児もいるが、アナちゃんはその心根の綺麗さ表れているような顔立ちだった。紫の髪と褐色の肌は、ジェルド族特有のものだ。
「オルたそによく似てる」
「そこなんだよね~。オルタンシアの子どもなのは、あの子のお腹から生まれてきたから間違いないとしても、ずっと父親がわからなかったから~。キミ~、いつの間に種付けしちゃったの~?」
「いつの間に、か。それを言われると説明が難しいな」
俺の存在が忘れられたことで、二年前のこともなかったことになっているだろう。
「前にあんたらがアインアッカ村に来たことがあっただろう。時期としてはその時になるのかな」
「あ~。あの時か~。たしかにそうなるよね~。でも、男が村に入ったりしたら絶対わかるよ~。厳重に警備してたし~」
「だな」
「だからさ~。もしかしらた余の従姉妹は、処女懐妊したんじゃないかって噂がながれたのよ~」
「まさか。そんなもんは神話の中でしかありえんだろ」
マリア様よろしくってか。
「だよね~。だけどさ~、そうとしか考えられなかったからさ。あの時は夜も見回り強化してたから、村の中で誰かが男とセックスしたらすぐわかるし~」
「プライバシーなんてあったもんじゃないな」
「だから~、ずっと疑問だったのよ~。この子の父親が誰なのかってね~」
ふーむ。
そういえば。
「なあアルドリーゼ。さっきあんた、俺の名をどこかで聞いたことがあるって言ってたな。あれはどういうことだ」
俺は素晴らしき爆乳をガン見しつつ、真面目に尋ねる。
「あ~、あれね~。余もさっき思い出したんだけど~。実は、オルタンシアがずっと言ってたんだよね~。この子の父親はロートスっていう男だって~」
「なんだと」
オルタンシアは、俺のことを憶えているのか。
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