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緊迫するぜ
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草原のど真ん中。
ジェルド族の軍勢は、整然と並んだ俺達と約一キロメートルの距離を空けて進軍を停止。
剣呑な雰囲気で向き合うこととなった。
「使者を送りましょう」
サラが緊張感のある声で言う。
「まずはこちらに敵対の意思がないことを伝えないとです」
「俺が行こう」
「ご主人様……ですが、使者は危険な役目なのです」
「危険なら尚のこと俺が行くべきだろ」
「でも」
「心配するなって。まだ思い出してないのか? 俺はただの『無職』じゃない」
俺はロロをフォルティスから降ろす。
「サラ。ロロのことを頼んだぞ」
「……はい」
「ロロ。サラを姉貴分だと思って、言うことをよく聞くんだ。いいな?」
「ん」
ロロは大きな目でサラを見上げ、サラはロロににこりと微笑む。
「わかったぜ。この人がアニキの妹分で、オイラのねーちゃんってことだな」
「はは。察しがいいな。完全に、そういうことだ」
サラは乗り物の上からロロに手を伸ばす。
「さ、ロロ。乗って」
「おうっ」
モフモフの耳と尻尾がついた獣人が二人乗りっていうのは中々ロマンがある。見た目的に。
「行ってくる」
「ご主人様。気を付けて」
「アニキならジェルド族なんかへっちゃらだよな」
「ああ、任せとけ。はっ!」
フォルティスを駆り、ジェルド族までひとっ走り。
一分もかからず、ジェルド族の目の前へと到達する。
「うお。圧巻だな」
遠目から見てもかなりの数がいたが、目の前にするとさらにプレッシャーがある。
ざっと一万はいるだろうか。大軍だ。
俺は大きく息を吸い込む。
「俺はロートス・アルバレス! 亜人連邦の使者としてやってきた。そっちはジェルド族の軍勢と見受けたが、何の用でこの地にやってきた!」
大声で尋ねると、まもなく軍勢が左右に割れた。できた道の奥から、一台のでっかい戦車が進んでくる。魔法で動く鉄の箱だ。車輪はなく、地上からちょっとだけ浮いている。あれも魔導具。というより魔導兵器だな。エスニックな布飾りがあしらわれており、すごい派手だ。
よく考えなくても大将の乗り物だろう。俺の予想だと、アルドリーゼが乗っている感じなんだが。
戦車の天井の一部が開くと、そこから一人の人物が顔を覗かせる。
「ばー」
あれは、子どもか?
一歳くらいの、赤ん坊といってもいいくらいの子どもだ。
まさか、あの子どもが大将だって?
「ふわぁ~ん」
そんなことはなかった。
猫なで声を漏らしながら赤子に続いて出てきたのは、やっぱりジェルドの女王アルドリーゼ。
あの赤ん坊は、アルドリーゼが抱いているようだった。
ジェルド族の軍勢は、整然と並んだ俺達と約一キロメートルの距離を空けて進軍を停止。
剣呑な雰囲気で向き合うこととなった。
「使者を送りましょう」
サラが緊張感のある声で言う。
「まずはこちらに敵対の意思がないことを伝えないとです」
「俺が行こう」
「ご主人様……ですが、使者は危険な役目なのです」
「危険なら尚のこと俺が行くべきだろ」
「でも」
「心配するなって。まだ思い出してないのか? 俺はただの『無職』じゃない」
俺はロロをフォルティスから降ろす。
「サラ。ロロのことを頼んだぞ」
「……はい」
「ロロ。サラを姉貴分だと思って、言うことをよく聞くんだ。いいな?」
「ん」
ロロは大きな目でサラを見上げ、サラはロロににこりと微笑む。
「わかったぜ。この人がアニキの妹分で、オイラのねーちゃんってことだな」
「はは。察しがいいな。完全に、そういうことだ」
サラは乗り物の上からロロに手を伸ばす。
「さ、ロロ。乗って」
「おうっ」
モフモフの耳と尻尾がついた獣人が二人乗りっていうのは中々ロマンがある。見た目的に。
「行ってくる」
「ご主人様。気を付けて」
「アニキならジェルド族なんかへっちゃらだよな」
「ああ、任せとけ。はっ!」
フォルティスを駆り、ジェルド族までひとっ走り。
一分もかからず、ジェルド族の目の前へと到達する。
「うお。圧巻だな」
遠目から見てもかなりの数がいたが、目の前にするとさらにプレッシャーがある。
ざっと一万はいるだろうか。大軍だ。
俺は大きく息を吸い込む。
「俺はロートス・アルバレス! 亜人連邦の使者としてやってきた。そっちはジェルド族の軍勢と見受けたが、何の用でこの地にやってきた!」
大声で尋ねると、まもなく軍勢が左右に割れた。できた道の奥から、一台のでっかい戦車が進んでくる。魔法で動く鉄の箱だ。車輪はなく、地上からちょっとだけ浮いている。あれも魔導具。というより魔導兵器だな。エスニックな布飾りがあしらわれており、すごい派手だ。
よく考えなくても大将の乗り物だろう。俺の予想だと、アルドリーゼが乗っている感じなんだが。
戦車の天井の一部が開くと、そこから一人の人物が顔を覗かせる。
「ばー」
あれは、子どもか?
一歳くらいの、赤ん坊といってもいいくらいの子どもだ。
まさか、あの子どもが大将だって?
「ふわぁ~ん」
そんなことはなかった。
猫なで声を漏らしながら赤子に続いて出てきたのは、やっぱりジェルドの女王アルドリーゼ。
あの赤ん坊は、アルドリーゼが抱いているようだった。
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