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トライする大切さ
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とにかく、まずはロロのやつと合流しないと。
壁からジャンプし、ロロのもとへと向かう。
当のロロはというと、突然起こった様々な出来事にオロオロしていた。
そのすぐそばに、着地する俺。
「アニキ! 来てくれたんだな!」
「無事だな。行くぞ」
「おうっ!」
俺はロロを抱え、再びジャンプする。
このままもう一度壁を飛び越え、戻る。
だが。
そう簡単にはいかなかった。
「アニキ! 下だ!」
「なに?」
俺の足首が、掴まれる。
「うおっ」
見れば、エカイユのデカい手だった。鋭利な爪が食い込んで痛い。
「エカイユの戦士を舐めるなぁっ!」
俺を追って飛んできたのか。なんて跳躍力だ。最初からそのジャンプで壁を越えていたらよかったんじゃないか。
いや。そうか。
「死ねぇっ! 人間!」
燃え滾る怒りと憎しみが、こいつの力を増幅させているんだ。
人間のせいでひどい目に遭ったのだろう。家族や友人が辛い境遇になったのかもしれない。
そうじゃないと考えられない。この男の目は、純然たる殺意に染まっている。
エカイユが斧を振るう。俺とロロをまとめてぶった斬るつもりだ。
「くっ! このっ!」
ロロを庇い、斧の一撃を右腕で受け止める。
凄まじい威力だった。
ただ強いだけじゃない。そこに込められたエネルギーの質が常軌を逸している。
「これは……まさか〈妙なる祈り〉かっ……!」
怒り、憎しみが、エカイユに力を与えている。かつて俺が持っていた力と酷似している。
さすがにあの時の俺ほどのパワーはないが、本質的には同じもの。
それは、想いの力。
もし攻撃を受け止めたのが右腕じゃなかったらやばかったかもしれない。瘴気の呪いのせいで、良くも悪くも強化されている。左腕なら斬り飛ばされてたかもな。
「おら!」
俺はエカイユを蹴り落とす。同時に上昇し、壁の上に到達した。
「くっそおぉぉぉぉぉっ!」
叫び声が落ちていく。執念の塊のようだ。
「なんだよ……あいつ……」
ロロが見下ろし、悲しそうに呟いた。
「根深い問題だな。差別ってのは」
「そりゃオイラにだって気持ちはわかるけど……それにしたってエカイユの連中は異常だぜ」
「亜人連邦の為には、ああいう奴らの理解と協力を得ないといけない」
「無理だろそんなの」
「無理じゃない。無理に思えるくらい難しいってだけだ」
往々にして人は困難な事態に直面した時、最初から無理だと決めつけてしまうものだ。だが、無理であることと無理そうであることは同じように見えて天と地ほどの差がある。
「世界を救おうってんだ。国ひとつ救うくらいなんてことないさ」
言いながら、俺はどんどん近づいてくるジェルド族の軍勢を見る。
すでに数キロほどの距離まで来ている。ここに辿り着くのも時間の問題だろう。
壁から飛び降り、獣人の軍の前に着地。
「おかえりなさいご主人様」
乗り物の上で、サラがほっとした表情を浮かべる。
「サラ。ジェルド族の軍が近づいてる」
「えっ。それほんとですか」
「マジだ。今エカイユ達を刺激するのは愚策だろう。俺達で足止めするぞ。いけるか?」
「もちろんです。みなさん! これより僕達は、接近するジェルド族と接触しに行きます! 許可なく交戦しないように!」
サラが呼びかけると、獣人の兵らが一斉に声を上げる。
よく統率されている。サラすごい。
「よし。行こう」
「はい! ご主人様!」
そこに、離れた場所に隠れていたフォルティスが駆けてくる。
「最高のタイミングだな!」
俺はロロを抱えて乗馬し、ジェルド族のもとへと出発した。
壁からジャンプし、ロロのもとへと向かう。
当のロロはというと、突然起こった様々な出来事にオロオロしていた。
そのすぐそばに、着地する俺。
「アニキ! 来てくれたんだな!」
「無事だな。行くぞ」
「おうっ!」
俺はロロを抱え、再びジャンプする。
このままもう一度壁を飛び越え、戻る。
だが。
そう簡単にはいかなかった。
「アニキ! 下だ!」
「なに?」
俺の足首が、掴まれる。
「うおっ」
見れば、エカイユのデカい手だった。鋭利な爪が食い込んで痛い。
「エカイユの戦士を舐めるなぁっ!」
俺を追って飛んできたのか。なんて跳躍力だ。最初からそのジャンプで壁を越えていたらよかったんじゃないか。
いや。そうか。
「死ねぇっ! 人間!」
燃え滾る怒りと憎しみが、こいつの力を増幅させているんだ。
人間のせいでひどい目に遭ったのだろう。家族や友人が辛い境遇になったのかもしれない。
そうじゃないと考えられない。この男の目は、純然たる殺意に染まっている。
エカイユが斧を振るう。俺とロロをまとめてぶった斬るつもりだ。
「くっ! このっ!」
ロロを庇い、斧の一撃を右腕で受け止める。
凄まじい威力だった。
ただ強いだけじゃない。そこに込められたエネルギーの質が常軌を逸している。
「これは……まさか〈妙なる祈り〉かっ……!」
怒り、憎しみが、エカイユに力を与えている。かつて俺が持っていた力と酷似している。
さすがにあの時の俺ほどのパワーはないが、本質的には同じもの。
それは、想いの力。
もし攻撃を受け止めたのが右腕じゃなかったらやばかったかもしれない。瘴気の呪いのせいで、良くも悪くも強化されている。左腕なら斬り飛ばされてたかもな。
「おら!」
俺はエカイユを蹴り落とす。同時に上昇し、壁の上に到達した。
「くっそおぉぉぉぉぉっ!」
叫び声が落ちていく。執念の塊のようだ。
「なんだよ……あいつ……」
ロロが見下ろし、悲しそうに呟いた。
「根深い問題だな。差別ってのは」
「そりゃオイラにだって気持ちはわかるけど……それにしたってエカイユの連中は異常だぜ」
「亜人連邦の為には、ああいう奴らの理解と協力を得ないといけない」
「無理だろそんなの」
「無理じゃない。無理に思えるくらい難しいってだけだ」
往々にして人は困難な事態に直面した時、最初から無理だと決めつけてしまうものだ。だが、無理であることと無理そうであることは同じように見えて天と地ほどの差がある。
「世界を救おうってんだ。国ひとつ救うくらいなんてことないさ」
言いながら、俺はどんどん近づいてくるジェルド族の軍勢を見る。
すでに数キロほどの距離まで来ている。ここに辿り着くのも時間の問題だろう。
壁から飛び降り、獣人の軍の前に着地。
「おかえりなさいご主人様」
乗り物の上で、サラがほっとした表情を浮かべる。
「サラ。ジェルド族の軍が近づいてる」
「えっ。それほんとですか」
「マジだ。今エカイユ達を刺激するのは愚策だろう。俺達で足止めするぞ。いけるか?」
「もちろんです。みなさん! これより僕達は、接近するジェルド族と接触しに行きます! 許可なく交戦しないように!」
サラが呼びかけると、獣人の兵らが一斉に声を上げる。
よく統率されている。サラすごい。
「よし。行こう」
「はい! ご主人様!」
そこに、離れた場所に隠れていたフォルティスが駆けてくる。
「最高のタイミングだな!」
俺はロロを抱えて乗馬し、ジェルド族のもとへと出発した。
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