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最上の癒し
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とりあえずルーチェのところに帰ってきた。
ヒーモを訪ねようかとも思ったが、それどころじゃなくなってしまったからな。
エレノア邸の居間にて。
一連の流れを聞いたルーチェは、神妙な面持ちで俺の腕に刻まれた痣を見つめる。
「瘴気の呪い……」
「知ってるか?」
「聞いたことある。グラン・オーリスにある神の山から立ち上る黒い魔力、って言われてる」
「神の山だと?」
そいつは、二年前の出来事と無関係とは思えないな。
マーテリアの奴がなにかやらかしやがったのか。
「戦争が始まったくらいからかな。瘴気を纏ったモンスターが世界中に現れて、国中を荒らしまわってるんだ。マッサ・ニャラブと休戦してるのは、そのせいでお互い戦争どころじゃなくなったっていうのもあるみたいだよ」
「なるほどな」
どういう理由でそんな物騒なもんを撒き散らしているかは知らないが、戦争を止めたという点では必要悪的な感じなのかもな。ないに越したことはないが。
「この呪いの解き方ってわかるか?」
ふるふると首を振るルーチェ。
「だよな」
わかってたらこんな事にはなってないし。
「となると、発生源に向かうのが一番か」
神の山に赴き、直接マーテリアを問い詰めるしかない。
「グラン・オーリスに行くの?」
「ああ。それしかないだろ」
「でも、それにはマッサ・ニャラブを通らないといけないんだよ? 危険だよ」
「承知の上さ。どうせ待ってても呪いに殺されるだけなんだ」
「ロートスくん……」
俺は立ち上がり、部屋の窓を開ける。
「ロロ!」
「おうっ!」
フォルティスと遊んでいたロロが、いい笑顔でこちらを見る。
「明日の朝にはここを出る。準備をしておいてくれ」
「わかった!」
猶予は百日。それまでに呪いを解く手だてを見つけないとな。
「あの子を連れてくの?」
「ああ。途中でサラの国があるんだろ。亜人の国だってんならロロにとって住みやすい場所だろう」
緩衝地帯というのが気になるが、少なくとも王国で蔑まれながら生きるよりはマシなはずだ。
「じゃあ、アイリスも連れて行って」
「どうしてだ?」
「戦力になるでしょ? それに、あの子がいたらスムーズだと思うし」
サラと親友だと言っていたな。たしかに、俺だけで行くよりはよさそうだ。
「世話をかけるな」
「ううん。私は、ロートスくんのメイドだから」
そう言って微笑むルーチェが、どうしようもなく魅力的に見える。
「……綺麗になったな。ルーチェ」
「えっ?」
「見ないうちに、大人っぽくなった」
「ふふ。ロートスくんこそ」
ソファに座るルーチェを後ろから抱きしめると、華奢な肩がきゅっと固くなった。
「正直言うとな……結構へこんでるんだ。みんなが俺のことを忘れてる。思い出してくれたのは、お前だけ」
「……うん」
細い指が、俺の手首に触れる。
「部屋、いこっか」
情けない男であることは自覚している。
でもな。
女の支えがないと、男ってのは脆いんだ。
そういうもんだろ?
ヒーモを訪ねようかとも思ったが、それどころじゃなくなってしまったからな。
エレノア邸の居間にて。
一連の流れを聞いたルーチェは、神妙な面持ちで俺の腕に刻まれた痣を見つめる。
「瘴気の呪い……」
「知ってるか?」
「聞いたことある。グラン・オーリスにある神の山から立ち上る黒い魔力、って言われてる」
「神の山だと?」
そいつは、二年前の出来事と無関係とは思えないな。
マーテリアの奴がなにかやらかしやがったのか。
「戦争が始まったくらいからかな。瘴気を纏ったモンスターが世界中に現れて、国中を荒らしまわってるんだ。マッサ・ニャラブと休戦してるのは、そのせいでお互い戦争どころじゃなくなったっていうのもあるみたいだよ」
「なるほどな」
どういう理由でそんな物騒なもんを撒き散らしているかは知らないが、戦争を止めたという点では必要悪的な感じなのかもな。ないに越したことはないが。
「この呪いの解き方ってわかるか?」
ふるふると首を振るルーチェ。
「だよな」
わかってたらこんな事にはなってないし。
「となると、発生源に向かうのが一番か」
神の山に赴き、直接マーテリアを問い詰めるしかない。
「グラン・オーリスに行くの?」
「ああ。それしかないだろ」
「でも、それにはマッサ・ニャラブを通らないといけないんだよ? 危険だよ」
「承知の上さ。どうせ待ってても呪いに殺されるだけなんだ」
「ロートスくん……」
俺は立ち上がり、部屋の窓を開ける。
「ロロ!」
「おうっ!」
フォルティスと遊んでいたロロが、いい笑顔でこちらを見る。
「明日の朝にはここを出る。準備をしておいてくれ」
「わかった!」
猶予は百日。それまでに呪いを解く手だてを見つけないとな。
「あの子を連れてくの?」
「ああ。途中でサラの国があるんだろ。亜人の国だってんならロロにとって住みやすい場所だろう」
緩衝地帯というのが気になるが、少なくとも王国で蔑まれながら生きるよりはマシなはずだ。
「じゃあ、アイリスも連れて行って」
「どうしてだ?」
「戦力になるでしょ? それに、あの子がいたらスムーズだと思うし」
サラと親友だと言っていたな。たしかに、俺だけで行くよりはよさそうだ。
「世話をかけるな」
「ううん。私は、ロートスくんのメイドだから」
そう言って微笑むルーチェが、どうしようもなく魅力的に見える。
「……綺麗になったな。ルーチェ」
「えっ?」
「見ないうちに、大人っぽくなった」
「ふふ。ロートスくんこそ」
ソファに座るルーチェを後ろから抱きしめると、華奢な肩がきゅっと固くなった。
「正直言うとな……結構へこんでるんだ。みんなが俺のことを忘れてる。思い出してくれたのは、お前だけ」
「……うん」
細い指が、俺の手首に触れる。
「部屋、いこっか」
情けない男であることは自覚している。
でもな。
女の支えがないと、男ってのは脆いんだ。
そういうもんだろ?
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