418 / 981
深刻やないか
しおりを挟む
翌朝からすぐに動き始めた。
十万エーンの部屋は休養という意味で十分に堪能したし、未練はない。
どうやらベッドに特殊な魔法がかけられているらしく、そこで寝ていると肉体の自然治癒力が上昇する効果があったらしい。
やったぜ。
それはともかく。
「すっげーっ! これ、アニキの馬なのか!」
フォルティスを見たロロの第一声がそれだった。
「めちゃくちゃ立派な馬じゃねぇか!」
「借り物だけどな」
ロロの言う通り、フォルティスはかなりの名馬だろう。
エルフの森からここに来るまででわかった。
速力、スタミナ、パワー、耐久力。そして賢さ。すべてが並外れている。さらには性格までいい。空気が読めるという感じか。
「最高の馬だぞ。フォルティスは」
俺が言うと、嬉しそうに鼻嵐を鳴らすフォルティス。
「よし。じゃあ行くか」
「おうっ!」
俺はロロを抱えるようにしてフォルティスに乗り込む。
「ア、アニキ。おいらが前なのか?」
「体が小さいんだからこっちの方がいいだろ」
「いや……そうなんだけどさ。なんか恥ずかしいぜ、これ」
「振り落とされるよりマシだろ。ハッ!」
ロロの控えめな抗議を一蹴して、俺はフォルティスを発進させた。
いざ、出陣じゃ。
ドボールを出て、草原を進む。
駆け抜けるフォルティスの上で、俺はこれからのことを考える。
魔法学園に行って、どうしようか。
まずはみんなが今どこにいるかを確認しないとな。
エレノアはまだ生徒として在籍しているだろう。
アデライト先生もまだ教師をやっているはずだ。
となると、ウィッキーも一緒にいそうだな。
サラとアイリスはどこに生活の拠点を置いているのか予想できない。
ルーチェもだ。ダーメンズ家のメイドに戻っているか、故郷のヴリキャス帝国に帰っているか。
セレンはまだグラン・オーリスにいるだろうか。
他にもたくさん探さないといけない人達はいるが、なによりまずアカネを見つけるべきだろう。
あいつは【座】に至った者だ。
俺のことをしっかりと憶えている上に、この世界からも忘れられていない。
アカネがいれば、スムーズに事が運ぶはず。懸け橋的な。
「なぁアニキ。これからどこに行くんだ?」
「王都ブランドンに向かう」
「へ? ブランドンはもう王都じゃないぜ」
「……なに?」
「ちょっと前に遷都したじゃねぇか? 今じゃブランドンは戦争でボロボロになって、人が住めるところじゃねぇって話だぜ?」
うそだろ?
そんなことがあるのか……。
俺の中に焦りが募っていく。
みんなは無事なんだろうか。
「戦争ってなんだ。どっかに攻め込まれたのか?」
「あれだよ。亜人戦争やらコルト戦争やらで弱ったところに、マッサ・ニャラブ共和国の連中が攻めてきたんだよ」
「マッサ・ニャラブが? あいつらは宥和政策をとってたはずだろ……?」
「詳しいことは分かんねーよ。でも、そっからはめちゃくちゃさ。他の国からも攻め込まれて、遷都してなんとか押し返して、今は休戦してる感じだな。なんだアニキ? もしかして世間知らずか?」
なんてこった。
これはうかうかしていられない。
事態は予想以上にやばいようだ。
だが今は、とにかくブランドンに向かおう。
手掛かりを探しに行くんだ。
十万エーンの部屋は休養という意味で十分に堪能したし、未練はない。
どうやらベッドに特殊な魔法がかけられているらしく、そこで寝ていると肉体の自然治癒力が上昇する効果があったらしい。
やったぜ。
それはともかく。
「すっげーっ! これ、アニキの馬なのか!」
フォルティスを見たロロの第一声がそれだった。
「めちゃくちゃ立派な馬じゃねぇか!」
「借り物だけどな」
ロロの言う通り、フォルティスはかなりの名馬だろう。
エルフの森からここに来るまででわかった。
速力、スタミナ、パワー、耐久力。そして賢さ。すべてが並外れている。さらには性格までいい。空気が読めるという感じか。
「最高の馬だぞ。フォルティスは」
俺が言うと、嬉しそうに鼻嵐を鳴らすフォルティス。
「よし。じゃあ行くか」
「おうっ!」
俺はロロを抱えるようにしてフォルティスに乗り込む。
「ア、アニキ。おいらが前なのか?」
「体が小さいんだからこっちの方がいいだろ」
「いや……そうなんだけどさ。なんか恥ずかしいぜ、これ」
「振り落とされるよりマシだろ。ハッ!」
ロロの控えめな抗議を一蹴して、俺はフォルティスを発進させた。
いざ、出陣じゃ。
ドボールを出て、草原を進む。
駆け抜けるフォルティスの上で、俺はこれからのことを考える。
魔法学園に行って、どうしようか。
まずはみんなが今どこにいるかを確認しないとな。
エレノアはまだ生徒として在籍しているだろう。
アデライト先生もまだ教師をやっているはずだ。
となると、ウィッキーも一緒にいそうだな。
サラとアイリスはどこに生活の拠点を置いているのか予想できない。
ルーチェもだ。ダーメンズ家のメイドに戻っているか、故郷のヴリキャス帝国に帰っているか。
セレンはまだグラン・オーリスにいるだろうか。
他にもたくさん探さないといけない人達はいるが、なによりまずアカネを見つけるべきだろう。
あいつは【座】に至った者だ。
俺のことをしっかりと憶えている上に、この世界からも忘れられていない。
アカネがいれば、スムーズに事が運ぶはず。懸け橋的な。
「なぁアニキ。これからどこに行くんだ?」
「王都ブランドンに向かう」
「へ? ブランドンはもう王都じゃないぜ」
「……なに?」
「ちょっと前に遷都したじゃねぇか? 今じゃブランドンは戦争でボロボロになって、人が住めるところじゃねぇって話だぜ?」
うそだろ?
そんなことがあるのか……。
俺の中に焦りが募っていく。
みんなは無事なんだろうか。
「戦争ってなんだ。どっかに攻め込まれたのか?」
「あれだよ。亜人戦争やらコルト戦争やらで弱ったところに、マッサ・ニャラブ共和国の連中が攻めてきたんだよ」
「マッサ・ニャラブが? あいつらは宥和政策をとってたはずだろ……?」
「詳しいことは分かんねーよ。でも、そっからはめちゃくちゃさ。他の国からも攻め込まれて、遷都してなんとか押し返して、今は休戦してる感じだな。なんだアニキ? もしかして世間知らずか?」
なんてこった。
これはうかうかしていられない。
事態は予想以上にやばいようだ。
だが今は、とにかくブランドンに向かおう。
手掛かりを探しに行くんだ。
0
お気に入りに追加
1,202
あなたにおすすめの小説
ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。
子供の頃、僕は奴隷として売られていた。
そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。
だから、僕は自分に誓ったんだ。
ギルドのメンバーのために、生きるんだって。
でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。
「クビ」
その言葉で、僕はギルドから追放された。
一人。
その日からギルドの崩壊が始まった。
僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。
だけど、もう遅いよ。
僕は僕なりの旅を始めたから。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。
異世界転生!ハイハイからの倍人生
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。
まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。
ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。
転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。
それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした
桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる