372 / 981
褒めるとこうなる
しおりを挟む
夕暮れ時。
俺達はこじんまりとした宿場町に到着した。
「あー疲れたな」
「あの、お疲れさまでした……種馬さま」
馬車を降りながら、オルタンシアが呟く。
半日の道のりで、俺達は数百を超えるモンスターと遭遇した。その全てが上級モンスターにカテゴライズされる種類であり、王国では滅多に見ない強力なモンスターのオンパレードだった。
そして、その全てを一撃で葬った俺の力に、『トリニティ』の三人は圧倒されるばかりだった。
「ロートスくん。キミは想像以上に凄まじい力の持ち主だったね」
ラルスが感慨深げに言う。
「俺達も冒険者のはしくれだ。実力者と言われる者達を数多く見てきたけれど、キミほどの男には未だかつて出会ったことがないよ。エストじゃないけど、まるで神様みたいだ」
「言いすぎだろ、それは」
確かに俺は強くなっている。
クソスキルしか持たないただの『無職』だった頃とは違う。
今の俺は、言うなれば神に等しき力を得ている。
だけどそれは、もともと人に備わっていた力だ。〈妙なる祈り〉は、魔法でもなければ、神の奇跡でもない。
人が本来持つ心の強さ。信じる力。
そういうものだ。
つまり俺は、異世界人でありながら、この世界の誰よりも人であるのだと思う。
だから最強なんだよ。
この世界の枠組みでは最弱でも、本当の意味では最強の座に位置している。
それは俺が、どこまでも人であるからだろう。
けれども、エストという偽物の神に傾倒してしまったこの世界の人からすれば、今の俺は神の如き存在なのかもしれないな。
「さ、宿を取ろうぜ。神の山には明日の昼頃に到着する予定だ。今夜はゆっくり休むべきだぜ」
ハドソンはさっさと宿に入っていく。
ラルスとミラーラもそれに続いた。
あの三人、部屋割りどうするんだろ?
三人一室ってことはないだろうけど。男二人と女一人だし。
まぁ分からないし、興味もないけどな。
「もちろん俺とオルたそは同じ部屋だ」
「……はい」
「行こう」
というわけで、二人して宿の部屋に転がり込む。
小さな宿場町にしては広々とした部屋だった。マッサ・ニャラブとは違い、木造建築が主流のグランオーリスの建物は、趣があるように感じた。
俺とオルタンシアは、隣り合ってベッドに腰掛ける。
「あの、種馬さま」
「ん?」
オルタンシアはおずおずと、小さな手を俺の頭の上に置いた。
「いっぱいモンスターを倒して……えらい、えらい」
そう言って、優しく撫でてくれる。
おっふ。
これは思った以上に破壊力が高い。
同年代の気弱なボーイッシュ美少女が頭を撫でて褒めてくれるというシチュエーションを体験したことのある男は、たぶん世界でも五人くらいしかいないだろうな。
俺はその五人のうちの一人だな。
五本の指に入る実力者というわけだ。
そして俺は、オルタンシアをベッドに押し倒すことに成功した。
俺達はこじんまりとした宿場町に到着した。
「あー疲れたな」
「あの、お疲れさまでした……種馬さま」
馬車を降りながら、オルタンシアが呟く。
半日の道のりで、俺達は数百を超えるモンスターと遭遇した。その全てが上級モンスターにカテゴライズされる種類であり、王国では滅多に見ない強力なモンスターのオンパレードだった。
そして、その全てを一撃で葬った俺の力に、『トリニティ』の三人は圧倒されるばかりだった。
「ロートスくん。キミは想像以上に凄まじい力の持ち主だったね」
ラルスが感慨深げに言う。
「俺達も冒険者のはしくれだ。実力者と言われる者達を数多く見てきたけれど、キミほどの男には未だかつて出会ったことがないよ。エストじゃないけど、まるで神様みたいだ」
「言いすぎだろ、それは」
確かに俺は強くなっている。
クソスキルしか持たないただの『無職』だった頃とは違う。
今の俺は、言うなれば神に等しき力を得ている。
だけどそれは、もともと人に備わっていた力だ。〈妙なる祈り〉は、魔法でもなければ、神の奇跡でもない。
人が本来持つ心の強さ。信じる力。
そういうものだ。
つまり俺は、異世界人でありながら、この世界の誰よりも人であるのだと思う。
だから最強なんだよ。
この世界の枠組みでは最弱でも、本当の意味では最強の座に位置している。
それは俺が、どこまでも人であるからだろう。
けれども、エストという偽物の神に傾倒してしまったこの世界の人からすれば、今の俺は神の如き存在なのかもしれないな。
「さ、宿を取ろうぜ。神の山には明日の昼頃に到着する予定だ。今夜はゆっくり休むべきだぜ」
ハドソンはさっさと宿に入っていく。
ラルスとミラーラもそれに続いた。
あの三人、部屋割りどうするんだろ?
三人一室ってことはないだろうけど。男二人と女一人だし。
まぁ分からないし、興味もないけどな。
「もちろん俺とオルたそは同じ部屋だ」
「……はい」
「行こう」
というわけで、二人して宿の部屋に転がり込む。
小さな宿場町にしては広々とした部屋だった。マッサ・ニャラブとは違い、木造建築が主流のグランオーリスの建物は、趣があるように感じた。
俺とオルタンシアは、隣り合ってベッドに腰掛ける。
「あの、種馬さま」
「ん?」
オルタンシアはおずおずと、小さな手を俺の頭の上に置いた。
「いっぱいモンスターを倒して……えらい、えらい」
そう言って、優しく撫でてくれる。
おっふ。
これは思った以上に破壊力が高い。
同年代の気弱なボーイッシュ美少女が頭を撫でて褒めてくれるというシチュエーションを体験したことのある男は、たぶん世界でも五人くらいしかいないだろうな。
俺はその五人のうちの一人だな。
五本の指に入る実力者というわけだ。
そして俺は、オルタンシアをベッドに押し倒すことに成功した。
5
お気に入りに追加
1,202
あなたにおすすめの小説
幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。
みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ!
そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。
「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」
そう言って俺は彼女達と別れた。
しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。
ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。
子供の頃、僕は奴隷として売られていた。
そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。
だから、僕は自分に誓ったんだ。
ギルドのメンバーのために、生きるんだって。
でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。
「クビ」
その言葉で、僕はギルドから追放された。
一人。
その日からギルドの崩壊が始まった。
僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。
だけど、もう遅いよ。
僕は僕なりの旅を始めたから。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。
異世界転生!ハイハイからの倍人生
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。
まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。
ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。
転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。
それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる