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グランオーリスの王都アヴェントラ
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やってきました王都アヴェントゥラ。
文明的にかなり発展している都市のようだ。王国にも負けていないくらいの発展度である。
「流石にちょっと疲れたわぁ」
ミラーラがため息交じりに呟いた。
『トリニティ』と合流してから、ここまで来るのに丸十日かかった。馬車旅とはいえ、疲れるのは仕方ない。途中に街に寄って休むなんてことなかったからな。
「まぁ、あれだけモンスターが湧いてちゃあしゃあねぇ。異常事態とはいっても、限度があらぁな」
ハドソンは太い腕をさすりながら言う。
ちなみに、道中かなりの数のモンスターと遭遇した。その全てが危険度の高い奴らで、実力派の『トリニティ』の戦闘力をもってしても簡単ではなかった。
「まぁ、無事にたどり着けたことを神に感謝しよう。あれだけのモンスターを倒したんだから、報酬もたんまりさ」
リーダーのラルスは嬉しそうだ。
「さて、ロートスくん」
「おう」
「キミはこれからどうするんだい?」
「ん? あれだろ? 牢獄に連れていくんじゃないのか?」
俺がきょとんとすると、ハドソンが豪快な笑いをあげた。
「ありゃその場しのぎの御託じゃねぁか。ほんとに捕まえようなんて思っちゃいねぇさ」
「大丈夫なのか? 俺を逃がしたりして、罪になったりとか」
「ないない。俺達は冒険者だからな」
なんだその理由は。
この国では冒険者が勝手に罪人を逃がしてもいいのだろうか。
だめだと思うけどなぁ。
「勝手に逃げたってことにすればいいのよぉ。そうすれば私達にはお咎めなしってわけぇ」
「そんな無茶苦茶な」
「ま、納得できないなら無実を証明すればいいのさ」
どういうことだ、それは。
ラルスの提案に、俺は首を傾げる。
「この国じゃ、冒険者として実績を出せば、大抵の融通は利くようになる。望めば、公式に王女に会うこともできるんじゃないかな」
「詳しく教えてくれ」
実のところ城に忍び込もうとしていた。
世界の命運がかかっているんだから、それくらいやってもいいのだけど、セレンヘの迷惑を考えればできる限り法に準じたやり方の方がいいだろう。
「簡単に言えば、ギルドに登録してS級までランクを上げればいいのさ」
「ほんとに簡単に言ってくれるな」
「まあね。そしてグランオーリスでS級になるのは、王国の十倍難しいとされている。でも大きな成果さえだせば、冒険者歴は関係ない。完璧な成果主義って感じだ」
なるほどな。
それなら都合は悪くないな。むしろ時間のない俺にとっちゃ好都合にもほどがあるぜ。
「なら、ギルドに行けばいいのか?」
「そういうことになるね。俺達も今から向かうから、一緒に行こう」
「あい。オルたそもそれでいいか?」
「自分は、種馬さまの決定に……従います」
どんどん声が小さくなっていくのは、『トリニティ』の面々がいるからだろう。
激しい人見知りを発動したオルタンシアは、ここ十日間ほとんど口を開かなかったくらいだ。
「よし。じゃあ行こう。改めて、冒険者登録をしないとってことだもんな」
「そういうことだぜ。まぁ坊主なら楽勝だろ。王国じゃドラゴンスレイヤーだもんな」
「……あの称号は辞退したよ」
あの時のクソギルド長に貰ったランクと称号は、おれにとっちゃゴミみたいなもんだ。
文明的にかなり発展している都市のようだ。王国にも負けていないくらいの発展度である。
「流石にちょっと疲れたわぁ」
ミラーラがため息交じりに呟いた。
『トリニティ』と合流してから、ここまで来るのに丸十日かかった。馬車旅とはいえ、疲れるのは仕方ない。途中に街に寄って休むなんてことなかったからな。
「まぁ、あれだけモンスターが湧いてちゃあしゃあねぇ。異常事態とはいっても、限度があらぁな」
ハドソンは太い腕をさすりながら言う。
ちなみに、道中かなりの数のモンスターと遭遇した。その全てが危険度の高い奴らで、実力派の『トリニティ』の戦闘力をもってしても簡単ではなかった。
「まぁ、無事にたどり着けたことを神に感謝しよう。あれだけのモンスターを倒したんだから、報酬もたんまりさ」
リーダーのラルスは嬉しそうだ。
「さて、ロートスくん」
「おう」
「キミはこれからどうするんだい?」
「ん? あれだろ? 牢獄に連れていくんじゃないのか?」
俺がきょとんとすると、ハドソンが豪快な笑いをあげた。
「ありゃその場しのぎの御託じゃねぁか。ほんとに捕まえようなんて思っちゃいねぇさ」
「大丈夫なのか? 俺を逃がしたりして、罪になったりとか」
「ないない。俺達は冒険者だからな」
なんだその理由は。
この国では冒険者が勝手に罪人を逃がしてもいいのだろうか。
だめだと思うけどなぁ。
「勝手に逃げたってことにすればいいのよぉ。そうすれば私達にはお咎めなしってわけぇ」
「そんな無茶苦茶な」
「ま、納得できないなら無実を証明すればいいのさ」
どういうことだ、それは。
ラルスの提案に、俺は首を傾げる。
「この国じゃ、冒険者として実績を出せば、大抵の融通は利くようになる。望めば、公式に王女に会うこともできるんじゃないかな」
「詳しく教えてくれ」
実のところ城に忍び込もうとしていた。
世界の命運がかかっているんだから、それくらいやってもいいのだけど、セレンヘの迷惑を考えればできる限り法に準じたやり方の方がいいだろう。
「簡単に言えば、ギルドに登録してS級までランクを上げればいいのさ」
「ほんとに簡単に言ってくれるな」
「まあね。そしてグランオーリスでS級になるのは、王国の十倍難しいとされている。でも大きな成果さえだせば、冒険者歴は関係ない。完璧な成果主義って感じだ」
なるほどな。
それなら都合は悪くないな。むしろ時間のない俺にとっちゃ好都合にもほどがあるぜ。
「なら、ギルドに行けばいいのか?」
「そういうことになるね。俺達も今から向かうから、一緒に行こう」
「あい。オルたそもそれでいいか?」
「自分は、種馬さまの決定に……従います」
どんどん声が小さくなっていくのは、『トリニティ』の面々がいるからだろう。
激しい人見知りを発動したオルタンシアは、ここ十日間ほとんど口を開かなかったくらいだ。
「よし。じゃあ行こう。改めて、冒険者登録をしないとってことだもんな」
「そういうことだぜ。まぁ坊主なら楽勝だろ。王国じゃドラゴンスレイヤーだもんな」
「……あの称号は辞退したよ」
あの時のクソギルド長に貰ったランクと称号は、おれにとっちゃゴミみたいなもんだ。
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