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ずっと真夜中はちょっと

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 その日の夜。
 俺は仮眠から目を覚ますと、なんとなく研究室へと足を運んだ。

「ロートスか」

 部屋にはフェザールの姿があり、縛られたマクマホンを監視している。

「寝てなかったんだな」

「ああ。俺は皆ほど疲れていないからな」

 ありがたいことだ。

「マクマホンの様子は?」

「ずっと気を失っているよ。『ツクヨミ』のダメージからは回復しているから、目を覚ませば普通に意思疎通ができるだろう」

 そんな会話をしていると、マクマホンが目を覚ます。

「う……ここは……」

「よう」

 俺は床に転がったマクマホンの傍に腰を下ろす。

「ロートス様……」

 俺はマクマホンを拘束している魔法の縄を解除する。誰がかけたかは知らないけど、構わないだろう。

「拘束を解いてもよろしいので?」

「ああ。俺にとっちゃどっちでも一緒だしな」

 スキルだろうが魔法だろうが無効化できるし。
 マクマホンはゆっくりと座りこむ。

「さっきは悪かったよ。殴っちまって。なんか、イライラしてた」

「……ふがいないものですな。『尊き者』ともあろうお方が。まぁ、私とて取り乱していたのは認めますが」

 ふむ。
 俺のファーストエイドの効果か、マクマホンは精神的に落ち着いているようだった。

「そのさ。『尊き者』っての? なんなんだ、一体」

「エンディオーネ様からお聞きになっておらぬので?」

「ああ」

 神ってのは、なんでああ言葉足らずなんだろうな。
 人間だって心の全てを口にするわけじゃないけど、大切なことはちゃんと言葉で伝えてほしいもんだよ。
 マクマホンは長い溜息を吐く。

「エンディオーネ様がすべてをお伝えになっておられたら、このような面倒もなかったであろうに」

 それは本心からの嘆きのようだった。
 同感だ。

「すこし歩きませぬか。帝国と、エンディオーネ様のことも含め、お話いたします」

 俺はフェザールにアイコンタクトを送り、大丈夫だと告げる。
 一人になっても、守護隊のみんなが近くにいるだろうし。

 マクマホンに後を追って部屋から出る。
 計ったかのようなタイミングで、廊下にルーチェが現れた。

「おやおや、これはソルヴェルーチェ嬢。このような夜更けにいかがされたかな」

「あなたがロートスくんによからぬことを吹き込まないように、見張りに来ました」

「結構。しからば一緒に夜の散歩と洒落こみましょう」

 なんかあれだな。
 マクマホンの野郎。出会った時の調子が戻ってきているな。

 それはともかく、ルーチェは真剣な表情でぴったり俺の隣につく。
 そうして、真夜中の散歩が始まった。

 そういえば、カード村でもこんな感じだったな。
 つい最近なのに、かなり前の出来事のように感じる。
 いやはや。
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