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神と神
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やめだやめだ。
やっぱりイメージできない自分を演じようとするもんじゃないな。
そんなんじゃ勝てるもんも勝てない。
想像力ってのは大切だ。なりたい自分をより具体的にイメージする。それが成長の秘訣だし、一番の近道でもある。
胴体に受けた傷をファーストエイドで治す。一瞬で完治だ。
この一瞬の間にも、数百の敵は迫ってきている。
ちょっと距離を取らせてもらおう。パーソナルスペースってのは大切だ。
俺は剣を床にぶっ刺した。
「いらね」
俺の中での強者のイメージといえば、やっぱりアイリスかな。
己の拳足のみを武器として並み居る強敵を打倒してきたあいつの勇姿にあやかろう。
「いくぜ」
直後、俺は風になった。
迫っていた敵の隙間を縫うように駆け抜け、殴り、蹴り、投げ、打ち、払い、突き、ぶちのめす。
こうなれば敵の連携なんかあってないようなものだ。圧倒的な個の武力の前には、半端な集団など無力。
俺はアイリスの動きを模倣したのではない。そんなものは知らない。だってほとんどなんとなくしか見たことがない。速すぎて目で追えなかったりしたからだ。
俺が真似たのは、アイリスの持つ強さという概念そのもの。
自分の中にある強いアイリスの姿を自分に当てはめただけ。
それができるなら剣もうまく扱えるんじゃないかと聞かれればそういうわけじゃない。明確なイメージができるのとできないのでは、その結果には天と地ほどの差が表れる。
まさに今のようにな。
「ふぅ……」
すっきりしたぜ。
数百人の敵を一瞬にして無力化したからな。
「馬鹿な! ありえんこんなことは!」
たった一人残った指揮官が、逆上している。目の前の現実を受け入れられないようだ。
「アルバレスの御子は失敗作ではなかったのか! これでは……まるで……」
「まるで、なんだ?」
「ぐっ……!」
「その続きを言ってやろうか。まるで、神のようだ。そう言おうとしたんだろ?」
「ちょっと違うが、大体そんな感じだ……!」
ちょっと違うのかよ。はずかし。
ちなみに俺が無力化した構成員たちは全員死んではいない。
現代日本的な感覚の俺からしてみれば、殺しはご法度だからな。そこだけは一応譲れない部分でもあるのだ。一度はその禁を破りかけただけに、もう二度と同じ過ちは犯さないと決めている。
「それで? どうすんだ? あんた一人になっちまったが」
「甘く見るな。任務は遂行する」
「どうやって?」
「貴様は自らの力に酔い、注意を怠ったな。もう手は打った」
「なんだと?」
「スキルや魔法が使えずとも関係ない! 我らヘッケラー機関には独自の技術があるんだぁっ!」
指揮官は剣を逆手に持ち、自らの心臓を貫いた。
自殺だと? いや、これは。
「ククク……マシーネン・ピストーレ五世に栄光あれ―っ!」
全身を輝かせ、指揮官は巨大な光の塊となってふくれあがった。
その光は徐々に形を定まらせ、ついにその真の姿を露わにした。
巨大な石像。見覚えのあるデカブツ。
「わしが、神じゃよ」
クラス分け試験の時、捨てられた神殿でボスモンスターとして君臨していた、あの石像だった。
やっぱりイメージできない自分を演じようとするもんじゃないな。
そんなんじゃ勝てるもんも勝てない。
想像力ってのは大切だ。なりたい自分をより具体的にイメージする。それが成長の秘訣だし、一番の近道でもある。
胴体に受けた傷をファーストエイドで治す。一瞬で完治だ。
この一瞬の間にも、数百の敵は迫ってきている。
ちょっと距離を取らせてもらおう。パーソナルスペースってのは大切だ。
俺は剣を床にぶっ刺した。
「いらね」
俺の中での強者のイメージといえば、やっぱりアイリスかな。
己の拳足のみを武器として並み居る強敵を打倒してきたあいつの勇姿にあやかろう。
「いくぜ」
直後、俺は風になった。
迫っていた敵の隙間を縫うように駆け抜け、殴り、蹴り、投げ、打ち、払い、突き、ぶちのめす。
こうなれば敵の連携なんかあってないようなものだ。圧倒的な個の武力の前には、半端な集団など無力。
俺はアイリスの動きを模倣したのではない。そんなものは知らない。だってほとんどなんとなくしか見たことがない。速すぎて目で追えなかったりしたからだ。
俺が真似たのは、アイリスの持つ強さという概念そのもの。
自分の中にある強いアイリスの姿を自分に当てはめただけ。
それができるなら剣もうまく扱えるんじゃないかと聞かれればそういうわけじゃない。明確なイメージができるのとできないのでは、その結果には天と地ほどの差が表れる。
まさに今のようにな。
「ふぅ……」
すっきりしたぜ。
数百人の敵を一瞬にして無力化したからな。
「馬鹿な! ありえんこんなことは!」
たった一人残った指揮官が、逆上している。目の前の現実を受け入れられないようだ。
「アルバレスの御子は失敗作ではなかったのか! これでは……まるで……」
「まるで、なんだ?」
「ぐっ……!」
「その続きを言ってやろうか。まるで、神のようだ。そう言おうとしたんだろ?」
「ちょっと違うが、大体そんな感じだ……!」
ちょっと違うのかよ。はずかし。
ちなみに俺が無力化した構成員たちは全員死んではいない。
現代日本的な感覚の俺からしてみれば、殺しはご法度だからな。そこだけは一応譲れない部分でもあるのだ。一度はその禁を破りかけただけに、もう二度と同じ過ちは犯さないと決めている。
「それで? どうすんだ? あんた一人になっちまったが」
「甘く見るな。任務は遂行する」
「どうやって?」
「貴様は自らの力に酔い、注意を怠ったな。もう手は打った」
「なんだと?」
「スキルや魔法が使えずとも関係ない! 我らヘッケラー機関には独自の技術があるんだぁっ!」
指揮官は剣を逆手に持ち、自らの心臓を貫いた。
自殺だと? いや、これは。
「ククク……マシーネン・ピストーレ五世に栄光あれ―っ!」
全身を輝かせ、指揮官は巨大な光の塊となってふくれあがった。
その光は徐々に形を定まらせ、ついにその真の姿を露わにした。
巨大な石像。見覚えのあるデカブツ。
「わしが、神じゃよ」
クラス分け試験の時、捨てられた神殿でボスモンスターとして君臨していた、あの石像だった。
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