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謎の女やん

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「収まったようだな……まったく、一体なんなのだ」

 フィードリットが溜息交じりに呟く。

「アデライト女史。どう思う?」

「そうですね。おそらくですが……サラちゃんに反応したのではないかと」

「やはりそう考えるか」

「もちろん偶然ということもありえます。けれど、この出現の仕方は無関係とは思えません」

 サラに関係あるってんなら、調べないわけにはいかないな。
 そうでなくとも、近くで異変が起きたっていうなら、それが脅威になるか否か分かっておいた方がいい。

「よし。守護隊はその塔を調べてきてくれ」

「御意。数名を向かわせます」

「用心しろ」

「はっ」

 そして守護隊は動き出す。
 こういう時、すごい役に立ってくれるから最高だ。

「ねぇロートス。私も見に行ってきてもいいかしら」

 エレノアがそんなことを言い出した。

「ダメだ」

「なんでよ」

「安全が確認できてからだ。何があるかわからない」

「あの人たちには行かせたのに?」

「あいつらは諜報とかの専門家だ。俺達とは違う」

「それはわかるけど」

 どうにも納得できないらしい。

「なんだよ。少しくらい待てないのか」

「そういうわけじゃないわ。でも、なんだか呼ばれてる気がするのよね」

「呼ばれてる?」

 あの塔にか。
 視界の端で先生の眼鏡がキラリと光った気がした。

「エレノアちゃん。先ほど女神ファルトゥールが夢に出てくると言ってましたね」

 先生の問いに頷くエレノア。

「でしたら、出現した塔はファルトゥール由来のものかもしれません。あの子たちの報告を待てば、それもはっきりするでしょう」

 なるほど。ファルトゥール由来のものか。
 女神的パワーを秘めたものなら、地中に埋まっていてもおかしくはない。サラに反応して地上にこんにちはしたのも頷ける。

「なんであれ、今は待ちましょう。街での戦闘はほとんど終わっているようですし」

「そうなんですか?」

 それは朗報だ。

「スキルも魔法も使えなくなった影響で、両軍とも戦意を喪失したようです。親コルト派は撤退。王国軍も追撃はしていません」

 まぁ、いきなり力を失ったら慎重にもなるか。
 ある意味、俺のチートは戦争を止めたことになるのかな。
 なんか光明が見えてきたぞ。この調子で信頼と実績を積み重ねよう。

「ですが喜んでばかりもいられません。一部まだ戦闘を続けている者もいます。ウィッキーとシーラ、エレノアちゃんの従者の方も。今も死天衆最後の一人と戦っています」

「まじですか」

 確か『体力』のミーナだったっけ。
 やっぱり、全てを超越しているってのは伊達じゃないってことかよ。

「マホさん。大丈夫かしら」

「安心して。苦戦はしていないようです。善戦しているとも言えないけど……」

 まぁ、攻撃が通らないんじゃあな。

「泥仕合って感じですかね」

「そうですね……」

「ウィッキーには『ツクヨミ』もあるんじゃないですか?」

「それも効いていないようですね。体力だけでなく、精神力も並外れているのかもしれません」

 いよいよやばいな、そのミーナってやつは。
 いったい何者なんだ。
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