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研究室にきたわ
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向かったのは学園の研究室だった。
アデライト先生がいつも使っている教師としての根城ってやつらしい。
広い部屋だが、よくわからない実験道具や研究資料なんかが乱雑に置かれ、すごい散らかっている感が否めない。
それはそれとして。
ここにいるのは俺を含め四名だ。
エレノア。
アデライト先生。
フィードリット。
守護隊のみんなは研究室の外で周囲の警戒をしてくれている。
学園には敵が来ていないとはいえ、ここもいつ攻撃されるかわからないからだ。
「……まだ来ないのか」
王城で戦っているウィッキーとシーラとマホさんからは、連絡すらない。
死天衆三人のうち速攻で二人を倒していたから、てっきりすぐにくるもんだと思っていた。最後の一人に手こずっているのか。あるいはまた違う理由があるのか。
心配すぎる。
それに、セレンを探しに行ったルーチェとアイリスからもまだ知らせがない。学園は広いから探すもの大変だと思うけど、連絡すらないのはどういうことだろうか。
部屋は沈黙に包まれている。
しばらくすると、扉の開く音が聞こえた。
「おお。やはりここにいたか」
期待したものとは違う、男の声。
「フェザール?」
まさかあんたが来るなんて。
いやそれにしても。
「大丈夫なのか?」
煤けてボロボロになったマントを羽織っている。負傷しているのだろうか。
「ここに来るまでに親コルト派の連中とやり合うことになってな。うまく隠れていたつもりだったんだが見つかってしまった。急にスキルも魔法も使えなくなって焦ってしまったよ。だが問題ない。かすり傷だ」
それは申し訳ないことをした。やっぱり敵味方関係なく巻き込むと思わぬ影響があるな。ちょっと考えないといけない。
まぁヘッケラー機関の懲罰部隊の隊長だから、負けることはないか。
一応ファーストエイドかけとこう。
「それで、どうしてここに?」
「ああ」
フェザールはちらりとアデライト先生を見る。
おいおい。まさか裏切り者の先生を始末しに来たなんてことはないよな。
「安心してくださいロートスさん。みんなが不在の間、彼はサラちゃんを救う手掛かりをもたらしてくれたのです」
「サラを?」
「そうだ。この前話したプロジェクト・サラの件だ。機関に保管されていた研究内容を持ち出して、アデライト女史に提供していた」
「まじか」
ありがたいことではあるけど。
なんというか。
「あんたも立派な裏切り者だな」
「今更だ」
「違いない」
いくらエリクサーの恩があるとはいっても、ここまでしてくれるなんてな。
「ねぇあの人。エルフの里を襲った人じゃない?」
エレノアが俺の袖を引っ張ってくる。
「そうだぜ。でも今は協力してくれてる。このあいだ説明したろ。大丈夫だ」
俺はエレノアの頭をぽんぽんと撫でる。するとなぜか唇を尖らせる。
「時にロートス。娘はどうしている? 守護隊はいるようだが……」
「ああ。シーラとはさっきまで一緒だったんだけど、今は親コルト派の死天衆と戦ってる」
「死天衆か……そいつは、厄介だな」
「そうなのか? そんな感じには見えなかったけど」
俺の疑問に、フィードリットが答える。
「親コルト派の死天衆といえば、王国軍の日陰者だった者達だ。力を持ちながらスキルに恵まれなかったことで冷遇されていた。だがその実力は侮れん」
「うーん。暑苦しい奴と皮肉っぽい奴はすぐやられてたけど」
「そやつらは『腕力』のウッディと『脚力』のレッガンだな。ワタシが言っているのはそんな脳筋どもではない。恐るべきは『体力』のミーナという女だ」
「どういうことだよ」
「二つ名の通り、あやつの体力はすべてを超越している。スタミナ、耐久力、バイタリティはこの世のどんな生物もかなわないだろう。それがスキルによるものではないのだから、恐ろしい話だ」
なんだよすべてを超越しているって。どういう定義づけなんだよ。
そんなやばい奴だったのか。あの女。
アデライト先生がいつも使っている教師としての根城ってやつらしい。
広い部屋だが、よくわからない実験道具や研究資料なんかが乱雑に置かれ、すごい散らかっている感が否めない。
それはそれとして。
ここにいるのは俺を含め四名だ。
エレノア。
アデライト先生。
フィードリット。
守護隊のみんなは研究室の外で周囲の警戒をしてくれている。
学園には敵が来ていないとはいえ、ここもいつ攻撃されるかわからないからだ。
「……まだ来ないのか」
王城で戦っているウィッキーとシーラとマホさんからは、連絡すらない。
死天衆三人のうち速攻で二人を倒していたから、てっきりすぐにくるもんだと思っていた。最後の一人に手こずっているのか。あるいはまた違う理由があるのか。
心配すぎる。
それに、セレンを探しに行ったルーチェとアイリスからもまだ知らせがない。学園は広いから探すもの大変だと思うけど、連絡すらないのはどういうことだろうか。
部屋は沈黙に包まれている。
しばらくすると、扉の開く音が聞こえた。
「おお。やはりここにいたか」
期待したものとは違う、男の声。
「フェザール?」
まさかあんたが来るなんて。
いやそれにしても。
「大丈夫なのか?」
煤けてボロボロになったマントを羽織っている。負傷しているのだろうか。
「ここに来るまでに親コルト派の連中とやり合うことになってな。うまく隠れていたつもりだったんだが見つかってしまった。急にスキルも魔法も使えなくなって焦ってしまったよ。だが問題ない。かすり傷だ」
それは申し訳ないことをした。やっぱり敵味方関係なく巻き込むと思わぬ影響があるな。ちょっと考えないといけない。
まぁヘッケラー機関の懲罰部隊の隊長だから、負けることはないか。
一応ファーストエイドかけとこう。
「それで、どうしてここに?」
「ああ」
フェザールはちらりとアデライト先生を見る。
おいおい。まさか裏切り者の先生を始末しに来たなんてことはないよな。
「安心してくださいロートスさん。みんなが不在の間、彼はサラちゃんを救う手掛かりをもたらしてくれたのです」
「サラを?」
「そうだ。この前話したプロジェクト・サラの件だ。機関に保管されていた研究内容を持ち出して、アデライト女史に提供していた」
「まじか」
ありがたいことではあるけど。
なんというか。
「あんたも立派な裏切り者だな」
「今更だ」
「違いない」
いくらエリクサーの恩があるとはいっても、ここまでしてくれるなんてな。
「ねぇあの人。エルフの里を襲った人じゃない?」
エレノアが俺の袖を引っ張ってくる。
「そうだぜ。でも今は協力してくれてる。このあいだ説明したろ。大丈夫だ」
俺はエレノアの頭をぽんぽんと撫でる。するとなぜか唇を尖らせる。
「時にロートス。娘はどうしている? 守護隊はいるようだが……」
「ああ。シーラとはさっきまで一緒だったんだけど、今は親コルト派の死天衆と戦ってる」
「死天衆か……そいつは、厄介だな」
「そうなのか? そんな感じには見えなかったけど」
俺の疑問に、フィードリットが答える。
「親コルト派の死天衆といえば、王国軍の日陰者だった者達だ。力を持ちながらスキルに恵まれなかったことで冷遇されていた。だがその実力は侮れん」
「うーん。暑苦しい奴と皮肉っぽい奴はすぐやられてたけど」
「そやつらは『腕力』のウッディと『脚力』のレッガンだな。ワタシが言っているのはそんな脳筋どもではない。恐るべきは『体力』のミーナという女だ」
「どういうことだよ」
「二つ名の通り、あやつの体力はすべてを超越している。スタミナ、耐久力、バイタリティはこの世のどんな生物もかなわないだろう。それがスキルによるものではないのだから、恐ろしい話だ」
なんだよすべてを超越しているって。どういう定義づけなんだよ。
そんなやばい奴だったのか。あの女。
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