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神を滅ぼす前夜
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「いや……」
待てよ。
仕組んだ?
そうだ。俺がこの世界に連れてこられたのは、ヘッケラー機関によるプロジェクト・アルバレスのせいだ。
マシなんとか五世はなんて言ってた? 奴の目的は? そもそもヘッケラー機関の目的はなんだ?
何度か聞いたはずだろ。思い出せ俺。
『あ。ロートスくん。ウィッキーが代わってって言って――あ、ちょっと』
『ロートス! 無事っすかー!』
念話灯の向こうからウィッキーの美声が聞こえてくる。思わず耳から離したのはうるさかったからじゃなく、耳がぞわぞわしたからだ。
「ウィッキー……久々に聞くと、やっぱりお前、いい声してるな」
『えっ、なんすか急に。嬉しいっすけど』
照れ照れしているウィッキーの姿が目に浮かぶようだ。
思わず口走った言葉だったけど、喜んでくれてるなら別にいいや。
「そんなことより、そっちはどうだ? 順調か?」
『今のとこは特に問題はないっすね。ウチとルーチェだけっすし、目立たず行動できてるっすよ。ねー?』
『ねー』
ルーチェの声も聞こえてくる。
「そうか。」
ウィッキーとルーチェは仲良くなったみたいだな。なによりだ。
「……ん? 二人だけ? シーラ達はどうした。一緒にいるんじゃないのか」
『えっ』
ウィッキーの素っ頓狂な声。
『シーラ達なら、ロートスと一緒に行くって言ってたっすけど……違うんすか?』
まじで?
俺はアイリスに目配せする。
「守護隊の皆さまなら、カード村からずっとマスターをお守りしていますわ」
「まじかよ。今もか?」
「はい。ずっと陰で守護の任にあたっておられます。冒険者に襲撃された際も、すぐに動けるよう臨戦態勢をとっておられましたわ」
アイリスのおかげで出てこなくて済んだってことだろうけど。
ということは、エレノアとの出来事もすべて見られてたってことかな。うわぁ。プライバシーとはなんだったのか。
まぁ、守護隊は影のように付き従うって言ってたし、ついてくるなと言っても隠れてついてくるということなんだろう。
「お前らのことだから心配はしてないけど、用心はしろよ。サラも連れてるんだし。マクマホンもいるんだろ」
『どっちもアイテムボックスに収納してるから平気っす』
「おい。大丈夫なのかそれは」
アイテムボックスの中で悪さをされないだろうな。
『あの中は時間が止まってるらしいっすからね。それに同じアイテムボックスの中といっても、別々の次元に収納されてるって話っす』
問題ないってことだな。フラグじゃないことを祈るぜ。
『ウチらのことより、ロートスはどうなんすか? なんか、ややこしいことになってるみたいっすけど』
「ああ。とりあえず、最高神エストを滅ぼすことになった」
束の間の沈黙。
『……とりあえずでやることじゃないっすよ』
呆然といったところかな。
無理もない。神を滅ぼすとか、どこの中二病患者だって話だもんな。
「戦争を止めるにはそれしかない。神一体の犠牲で人類が救われるなら、考えるまでもないだろう」
『そんな考え方……初めて聞いたっす』
そうだろうな。
この世界では、神とは絶対だ。ヘッケラー機関が意図的にそういう文化を作り上げたのだろう。
そんなものはクソくらえだ。
『ロートス……本当に、無事に帰ってこれるんすよね?』
不安そうな声。
「余裕だろ。こっちには神族が味方についてる。神殺しなんてなんでもねぇって」
『……心配っす』
「俺はまだお前に貰ったおっぱい揉み放題の権利を満足に行使してないからな。死んでも死にきれねぇよ」
『ふふっ。なんすかそれ』
よし、笑ったな。
「そんなわけだ。俺の心配より、サラを無事に先生のところに送り届けることに集中しろ。一息ついたら、胸のマッサージでもしながら俺の帰りを待つんだな」
『わかったっすよー。ちゃんと全身お手入れしておくっす』
「ああ。楽しみだ」
本当にな。
そんなこんなで、その日の通話は終了した。
明日には一大事が控えている。
頑張るぞ。
待てよ。
仕組んだ?
そうだ。俺がこの世界に連れてこられたのは、ヘッケラー機関によるプロジェクト・アルバレスのせいだ。
マシなんとか五世はなんて言ってた? 奴の目的は? そもそもヘッケラー機関の目的はなんだ?
何度か聞いたはずだろ。思い出せ俺。
『あ。ロートスくん。ウィッキーが代わってって言って――あ、ちょっと』
『ロートス! 無事っすかー!』
念話灯の向こうからウィッキーの美声が聞こえてくる。思わず耳から離したのはうるさかったからじゃなく、耳がぞわぞわしたからだ。
「ウィッキー……久々に聞くと、やっぱりお前、いい声してるな」
『えっ、なんすか急に。嬉しいっすけど』
照れ照れしているウィッキーの姿が目に浮かぶようだ。
思わず口走った言葉だったけど、喜んでくれてるなら別にいいや。
「そんなことより、そっちはどうだ? 順調か?」
『今のとこは特に問題はないっすね。ウチとルーチェだけっすし、目立たず行動できてるっすよ。ねー?』
『ねー』
ルーチェの声も聞こえてくる。
「そうか。」
ウィッキーとルーチェは仲良くなったみたいだな。なによりだ。
「……ん? 二人だけ? シーラ達はどうした。一緒にいるんじゃないのか」
『えっ』
ウィッキーの素っ頓狂な声。
『シーラ達なら、ロートスと一緒に行くって言ってたっすけど……違うんすか?』
まじで?
俺はアイリスに目配せする。
「守護隊の皆さまなら、カード村からずっとマスターをお守りしていますわ」
「まじかよ。今もか?」
「はい。ずっと陰で守護の任にあたっておられます。冒険者に襲撃された際も、すぐに動けるよう臨戦態勢をとっておられましたわ」
アイリスのおかげで出てこなくて済んだってことだろうけど。
ということは、エレノアとの出来事もすべて見られてたってことかな。うわぁ。プライバシーとはなんだったのか。
まぁ、守護隊は影のように付き従うって言ってたし、ついてくるなと言っても隠れてついてくるということなんだろう。
「お前らのことだから心配はしてないけど、用心はしろよ。サラも連れてるんだし。マクマホンもいるんだろ」
『どっちもアイテムボックスに収納してるから平気っす』
「おい。大丈夫なのかそれは」
アイテムボックスの中で悪さをされないだろうな。
『あの中は時間が止まってるらしいっすからね。それに同じアイテムボックスの中といっても、別々の次元に収納されてるって話っす』
問題ないってことだな。フラグじゃないことを祈るぜ。
『ウチらのことより、ロートスはどうなんすか? なんか、ややこしいことになってるみたいっすけど』
「ああ。とりあえず、最高神エストを滅ぼすことになった」
束の間の沈黙。
『……とりあえずでやることじゃないっすよ』
呆然といったところかな。
無理もない。神を滅ぼすとか、どこの中二病患者だって話だもんな。
「戦争を止めるにはそれしかない。神一体の犠牲で人類が救われるなら、考えるまでもないだろう」
『そんな考え方……初めて聞いたっす』
そうだろうな。
この世界では、神とは絶対だ。ヘッケラー機関が意図的にそういう文化を作り上げたのだろう。
そんなものはクソくらえだ。
『ロートス……本当に、無事に帰ってこれるんすよね?』
不安そうな声。
「余裕だろ。こっちには神族が味方についてる。神殺しなんてなんでもねぇって」
『……心配っす』
「俺はまだお前に貰ったおっぱい揉み放題の権利を満足に行使してないからな。死んでも死にきれねぇよ」
『ふふっ。なんすかそれ』
よし、笑ったな。
「そんなわけだ。俺の心配より、サラを無事に先生のところに送り届けることに集中しろ。一息ついたら、胸のマッサージでもしながら俺の帰りを待つんだな」
『わかったっすよー。ちゃんと全身お手入れしておくっす』
「ああ。楽しみだ」
本当にな。
そんなこんなで、その日の通話は終了した。
明日には一大事が控えている。
頑張るぞ。
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