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あ~再会するんじゃ~&そいつ敵でしょ

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 というわけで救護室にきた俺は、ベッドに横たわるウィッキーとその傍に座るアデライト先生を見つけた。

「ロートスさん」

 入室した俺に気付いた先生は、少しだけ疲れた表情だ。

 俺は先生に手招きされ、ベッドへと近付く。

「寝てるんですか」

「気を失っているんです。あなたに棒で叩かれたことで脳震盪を起こしたんでしょうね。検査をしましたが後遺症はなさそうです。本当によかった」

「よかったって……こいつは殺し屋でしょう? そんな情けなんかかけなくても」

「私にとっては、今でもかわいい後輩なんです」

 先生は感傷的な声を漏らす。

 なんとも暢気な話だ。昔の後輩が刺客として命を狙いに来たというのに、そんな奴の心配をするなんてな。

 俺はベッドで寝息を立てるウィッキーを改めて見る。

「あれ……こいつ、獣人なのか」

 彼女の頭には猫みたいな耳がついていた。癖のある赤い髪に白い肌。

「先生こいつ、マルデヒット族ですか?」

「ええそうです。あなたの従者と同じ種族ですよ」

「……サラが獣人だと気付いてたんですね」

「私は『千里眼』がありますから。強欲の森林で、ローブを脱いだところも見ていました」

 なんて便利なスキルなんだ。俺もそのスキルで色々なところを覗きたいぜ。

 しかし、獣人か。サラは実験台だったというし、ウィッキーは刺客。ヘッケラー機関がどういうところかますます分からなくなってきたな。

「こいつが使った『ツクヨミ』とかいう技。あれはスキルのような気がしたんですが」

「獣人はスキルを持ちません。しかしこの子は特別なんです」

「ヘッケラー機関は獣人にスキルを与える研究をしているらしいですね。それとなにか関係が?」

 アデライト先生は目を見開いて俺を見た。

「本当に……あなたは一体何者なんです。ヘッケラー機関の存在は王国でも極秘中の極秘。貴族ですら内情を知らない者も多いというのに……」

 どうやらヘッケラー機関は秘密結社だったようだ。俺はてっきり世間に周知されている組織だとばかり思っていた。

「そこまで知っていてただの新入生なんて通用しませんよ。試験でメダルを三枚手に入れたこともそうですけど、あまり隠す気もありませんよね? いいかげん正体を明かしてください」

「そんなこと言われても」

 紛れもなくただの『無職』なのに。
 というか目立ちたくない一心で立ち回ってきたはずなのに、どうしてこうも勘繰られるようなことになるのか。これが運命というやつなのか。逃れられぬカルマなのか。

「う……うぅん……」

 ウィッキーが声を漏らす。
 そして、目を開いた。

「はれ……ここは……」

「おはよう、ウィッキー」

「せんぱい……? あ~これ、夢っすか~」

「夢じゃないわ。ここは魔法学園の救護室。あなたは気を失って運ばれたの」

「まほう、がく……えん」

 曖昧だった意識が徐々に覚醒し、

「ああっ! そうっす!」

 ウィッキーは勢いよく状態を起こした。

「痛っ……」

 直後に頭を押さえて背中を丸めた。

「無理をしないで。治癒魔法はかけたけど、まだ痛むはずよ」

 アデライト先生がウィッキーの肩を撫でる。

 うーむ。今のうちにとどめを刺した方がいいんじゃないのかこいつ。
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