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青春と部活は紙一重
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「しかし、職員室に向かうならどうしてこんなところにいるんだ。正面玄関から入ったとしたら、まったく逆の方向だぞ」
「そうなのか?」
「そうだ。館内マップを見なかったのか?」
「見たんだけどな」
アイリスが。
当のアイリスはにこにこしながら後ろをついてくる。なんとも反省の色がない。
「まあいい。十分もあればつくだろう」
同じ建物内なのに十分もかかるとは、やはり広いんだなぁ。
俺の後ろにはサラとアイリス。イキールの後ろにはリッターが無言でついている。
「ところで、イキールはどうして本棟に? 何をしてたんだ?」
イキールは俺の言葉に眉を歪めた。変な顔で俺を見てくる。
「平民に呼び捨てにされる日がくるとはな……まぁ、この学園では身分の差などあってないようなものか。すべては実力主義らしいからな」
なんだ。そんなこと気にしてたのか。
咳払いを漏らすイキール。
「僕はクラブ活動の見学をしていたんだ」
「クラブ活動?」
「うむ」
驚いた。魔法学園にも部活というものがあるのか。
「よさそうなクラブはあったのか?」
「僕は剣術を極めたいと思っている。だから、そういったところに入るつもりだったんだが……」
「何か問題が?」
「問題というか……なんというかな……」
どうしたのだろうか。もっと物事をハッキリ口にするタイプかと思っていたけど。
ていうか、魔法学園にきたのに剣術を極めるとはどういうことだ? 剣術を習いたいならそっち方面の学園なり道場なりにいけばいいのに。
それとも剣術の役に立つ魔法を重要視しているのだろうか。身体強化とか、エンチャント魔法とか。どちらにしろ魔法学園である必要はなさそうだけど。
「僕のことはいい。キミはどうなんだ」
「俺か? クラブ活動なんて考えてもなかったなぁ」
俺はサラとアイリスに振り返る。
「二人はどう思う?」
「そうですねぇ」
サラが顎を押さえて思案する。
「ご主人様の気質を考えると、あまり華やかなところは避けるべきですね。ありていに言って地味というか、細々とやってるクラブがいいんじゃないでしょうか」
その通りだな。
アイリスがぽんと手を叩く。
「それなら、冒険者クラブはいかがでしょう? 最大手でメンバーもたくさんいますし、ギルドで依頼を受けて収入にも繋げられます」
「なにがそれならだ。めちゃくちゃどでかいじゃねぇか」
「いえ、いいかもしれません。ご主人様も仰ってたじゃないですか。木を隠すなら森の中って。言いえて妙だと思います」
確かにそんなこと言った気がするな。異世界で日本のことわざを褒められるとは。
しかしながら、どうしてアイリスがそんなクラブのことを知っているのかはさて置いて、その他大勢の中に埋もれるのはなかなか理にかなっている。
「冒険者クラブか。いいんじゃないか。僕もおすすめする。変な噂のないところだしな」
「イキールお墨付きってわけだな。じゃあそうするか」
「ご主人様。そんな簡単に決めてしまってもいいんですか?」
「いいんだよこういうのは適当で」
どこにも所属しないのも逆に目立つしな。
しばらく歩くと、エントランスに戻ってきた。やはり広い。
「ここまで来たらすぐだ。こっちだ。いくぞ」
イキールが広いエントランスを突っ切る。
俺がその後をぴたりとついていっていると、
「あ! ご覧くださいなのじゃ若様! 家臣のロートスがいますのじゃ!」
どこからかのじゃロリ、もといアカネの声が聞こえてきた。
「しかもガウマン家の子息と一緒なのですじゃ。これは一大事なのじゃ!」
なんだと? どういうことだ。
「ロートス!」
エントランスに駆け込んできたのは、ヒーモの奴だった。
「吾輩のパーティメンバーでありながらガウマン家なんかとつるむとは……一体何を考えているんだよ!」
突如現れたヒーモは、すごい剣幕で俺とイキールを怒鳴りつけた。
「そうなのか?」
「そうだ。館内マップを見なかったのか?」
「見たんだけどな」
アイリスが。
当のアイリスはにこにこしながら後ろをついてくる。なんとも反省の色がない。
「まあいい。十分もあればつくだろう」
同じ建物内なのに十分もかかるとは、やはり広いんだなぁ。
俺の後ろにはサラとアイリス。イキールの後ろにはリッターが無言でついている。
「ところで、イキールはどうして本棟に? 何をしてたんだ?」
イキールは俺の言葉に眉を歪めた。変な顔で俺を見てくる。
「平民に呼び捨てにされる日がくるとはな……まぁ、この学園では身分の差などあってないようなものか。すべては実力主義らしいからな」
なんだ。そんなこと気にしてたのか。
咳払いを漏らすイキール。
「僕はクラブ活動の見学をしていたんだ」
「クラブ活動?」
「うむ」
驚いた。魔法学園にも部活というものがあるのか。
「よさそうなクラブはあったのか?」
「僕は剣術を極めたいと思っている。だから、そういったところに入るつもりだったんだが……」
「何か問題が?」
「問題というか……なんというかな……」
どうしたのだろうか。もっと物事をハッキリ口にするタイプかと思っていたけど。
ていうか、魔法学園にきたのに剣術を極めるとはどういうことだ? 剣術を習いたいならそっち方面の学園なり道場なりにいけばいいのに。
それとも剣術の役に立つ魔法を重要視しているのだろうか。身体強化とか、エンチャント魔法とか。どちらにしろ魔法学園である必要はなさそうだけど。
「僕のことはいい。キミはどうなんだ」
「俺か? クラブ活動なんて考えてもなかったなぁ」
俺はサラとアイリスに振り返る。
「二人はどう思う?」
「そうですねぇ」
サラが顎を押さえて思案する。
「ご主人様の気質を考えると、あまり華やかなところは避けるべきですね。ありていに言って地味というか、細々とやってるクラブがいいんじゃないでしょうか」
その通りだな。
アイリスがぽんと手を叩く。
「それなら、冒険者クラブはいかがでしょう? 最大手でメンバーもたくさんいますし、ギルドで依頼を受けて収入にも繋げられます」
「なにがそれならだ。めちゃくちゃどでかいじゃねぇか」
「いえ、いいかもしれません。ご主人様も仰ってたじゃないですか。木を隠すなら森の中って。言いえて妙だと思います」
確かにそんなこと言った気がするな。異世界で日本のことわざを褒められるとは。
しかしながら、どうしてアイリスがそんなクラブのことを知っているのかはさて置いて、その他大勢の中に埋もれるのはなかなか理にかなっている。
「冒険者クラブか。いいんじゃないか。僕もおすすめする。変な噂のないところだしな」
「イキールお墨付きってわけだな。じゃあそうするか」
「ご主人様。そんな簡単に決めてしまってもいいんですか?」
「いいんだよこういうのは適当で」
どこにも所属しないのも逆に目立つしな。
しばらく歩くと、エントランスに戻ってきた。やはり広い。
「ここまで来たらすぐだ。こっちだ。いくぞ」
イキールが広いエントランスを突っ切る。
俺がその後をぴたりとついていっていると、
「あ! ご覧くださいなのじゃ若様! 家臣のロートスがいますのじゃ!」
どこからかのじゃロリ、もといアカネの声が聞こえてきた。
「しかもガウマン家の子息と一緒なのですじゃ。これは一大事なのじゃ!」
なんだと? どういうことだ。
「ロートス!」
エントランスに駆け込んできたのは、ヒーモの奴だった。
「吾輩のパーティメンバーでありながらガウマン家なんかとつるむとは……一体何を考えているんだよ!」
突如現れたヒーモは、すごい剣幕で俺とイキールを怒鳴りつけた。
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