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準備は整ったが問題発生だよ

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 とりあえずアイリスの服は用意した。

 学園では生活に必要なものはなんでも揃う。敷地内にあらゆる商店があるからだ。
 もちろんブティックもある。俺はプレゼント用と言って、女性専門のブティックに突入して服を選んだ。無論下着も。

 アイリスには青系が似合うと勝手に思ったので、水色のワンピースを贈ることにした。上品な色合いとデザインは、彼女の品のある可憐さを十分に引き立たせてくれるだろう。
 そして実際、そうなった。

「マスター。このお洋服、とっても洒落乙ですわね」

 人気のない建物の陰でこっそり着替えたアイリスは、自分の姿を見て嬉しそうな笑みを浮かべた。

「そうだな。よく似合ってる」

「これで堂々とこの姿でいられます。感謝いたしますわ、マスター」

「いいってことよ。サラに比べたら全然安物だ」

「ふふっ。値段ではありませんわ。心こそ大切です」

「その通り」

 細身のシルエットだからか、アイリスの豊満な胸がことさら強調されている。長袖かつハイネックなので肌の露出は少ないが、それでこそ魅力も高まるというものだろう。
 アイリスはその場でくるりと一回転。くるぶしまであるワンピースの裾がふわりと舞い躍る。

 ちなみに下着は上下とも青と白の縞々にしておいた。いわゆる縞パンというやつだが、これは完全に俺の趣味に違いなかった。

「じゃあ、サラを迎えにいくか。お前のことを説明しないといけないしな」

「はい。この姿をみたら、サラちゃんきっと驚きますわ」

 そうだろうな。未だに俺も驚きの衝撃が消えないもんなぁ。

 二人で『てぇてぇ亭』まで歩く。

 すれ違う男達が皆アイリスの方を振り返っていることに気付いて、俺は何となく優越感に浸り、そして目立っていることに気付いて眉を下げた。
 こんな美少女を連れていたら目立つに決まっている。どうして気付かなかったんだ。

 サラもものすごい美少女ではあるが、獣人であるという理由で常にフードを被っている。そのおかげで顔がよく見えず目立ちはしなかったが、アイリスはそうもいかない。

 俺の視線を感じてか、アイリスが首を傾げ、何故か頬を染めた。

 むむむ。

 まぁしかし、スライムの姿でいられるよりはまだマシか。モンスターより美少女の姿でいてもらえる方が目立ち度は少ないかもしれない。
 よくよく考えたら目立っているのは俺じゃなくてアイリスだから、何の問題もないような気がしてきた。

 よし。

 そして『てぇてぇ亭』についた俺達。

「あれ?」

「マスター? どうされました?」

 店の前にサラを発見したが、どうやら一人ではない。

「あれは……エレノア?」

 サラの手を握ってなにやら喋っているのは、幼馴染のエレノアであった。
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