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ロートス、拡声

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「むー。ご主人様はやっぱり大きいおっぱいがお好きなんですね」

「そうだよ」

 今はおっぱいの話をしてる場合じゃないだろ。

「戦いが激しくなってる。巻き添えにならないようにこいつらを端っこに運ぶぞ」

 このままじゃ気を失ったパーティメンバーが危ない。
 俺とサラは、白髪頭を含めた全員を聖堂の隅に引きずって行く。

「これでよし」

 その間ものじゃ美女と石像の熾烈な戦闘は続いている。圧倒的にのじゃ美女が優勢だ。石像の攻撃はかすりもしない。どんどん石像の体積が小さくなっていく。

「見てるだけってわけにはいかねぇな」

 俺は石像に向かって歩き出す。

「ご主人様? 危ないですよ!」

「全部あの子に任せっきりってのは、男としてどうかと思ってな」

 俺はスキルを発動する。

「いくぞ」

 クソスキル『ちょいデカボイス』。

「頑張れーッ! のじゃ美女ーッ!」

 俺の大音声が、聖堂全体に響き渡った。

「すごい……! 声が少し大きくなった……!」

 『ちょいデカボイス』は、使用者の声量を四十パーセント増加させるスキルだ。
 俺の声援は、大きな戦闘音にかき消されることなくのじゃ美女に届いていることだろう。

「のじゃ美女とな。言い得て妙じゃのう」

 彼女の貫手が、石像の頭部を完全に破壊した。

「いいぞ! そこだ! やっちまえーッ!」

 今や石像の頭はなく、片腕も失われていた。砕かれた石が床に散らばっている。

「うおお! 強いぞのじゃ美女! 勝てる! 勝てるよーッ!」

「うっさいのう」

 のじゃ美女、跳躍からの踵落とし。石像の腕がさらにもがれる。

「神様ビビってる! ヘイヘイヘイ!」

「わしは神じゃからビビっとらんよ」

 頭を失っているのに喋るのかこの石像は。まさしくモンスターといったところだな。

 サラがフードの上から耳を塞いでいた。

「これで最後じゃ!」

 のじゃ美女の体が輝かしい光に包まれた。
 あれは、魔法の光。

「まさか……肉体強化系のスキルに、身体強化魔法の重ね掛けを?」

 サラが驚いている。
 なんだかよくわからんが、めっちゃ強そうだなそれ。

 遥か高い天井まで跳んだのじゃ美女は、裂帛の気合で急降下する。

「冥途の土産にとっておけい! わらわの『断罪砕牙』じゃ!」

 眩い光の塊となった彼女は、そのまま石像に直撃する。
 その一撃で、石像は木っ端微塵に砕け散った。

 やべぇ。

 舞い上がる破片。一帯は砕かれた石像と床の粉塵に包まれ、何も見えなくなっていた。

 やがて、それが落ち着く。

 その場には、少女の姿に戻ったのじゃロリの背中が佇んでいた。

「いっちょあがりじゃな」

 ボスモンスター討伐完了。
 俺達の勝利だ。
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