29 / 981
捨てられたって誰にだよ
しおりを挟む
これは一体どうしたことだ。
捨てられた神殿に来た俺達は、その戦闘の激しさに舌を巻いていた。
別に俺が戦っているわけじゃない。周りの新入生たちを見かけるたびにモンスターと凌ぎを削っているのだ。
「なんつーかあれだな。モンスターを見たら戦わないといけないルールでもあるのか?」
イキールのやつもそうだったが、どうしていちいちモンスターに突っかかっていくのだろう。逃げればいいじゃないか面倒臭い。
「みんな自分のスキルを試したいんですよ。魔法学園に入学して、初めての腕試しですからね」
「はぁ。まぁ優秀なやつらが集まっているみたいだしな。そんなもんか」
試す価値もないクソスキルの俺には無縁の話だな。
会話をしながらも、俺とサラは駆け足でダンジョンを進んでいく。モンスターを見つけても無視だ無視。構っていられるか。どうせ勝てねーし。
神殿内部は、明るい光が差し込む綺麗な建物だった。これがダンジョンというから驚きだ。まるで西洋の城のようだ。
出てくるモンスターは甲冑に翼の生えた天使型モンスター、デミエンジェル。剣と盾を装備し、真っ向からの勝負を仕掛けてくる。短時間ながら飛行もできるようで、奴らから逃げるのは骨が折れた。
「狭い通路があってよかったですね」
「ほんとにな」
入り組んだ通路を進むと、やがてデミエンジェルは追ってこなくなる。だから俺達は走るのをやめられなかった。半月の旅で体力がついたからこそできる強行軍だ。
神殿に入って一時間ほどで、俺は最深部に辿り着いた。
「ここだな。これ見よがしにでかいゲートがある」
大きな門には白い霧がかかっており、向こう側の様子は見えなくなっている。
「この奥にメダルがあるんでしょうか? でも、なんだかイヤな感じがします」
「いるんだろうな。ボスモンスターってやつが」
強欲の森林と同じだ。メダルのある場所には、相応の守り手がいるのだろう。
入りたくねぇなぁ。
俺が霧をくぐるのを躊躇っていると、後ろから足音が重なり合って聞こえてきた。
「おや、先客がいましたか」
俺は振り返る。
現れたのは十人ほどの少年少女達。新入生達がパーティを組んでいるのだろう。半分は従者のようだが、誰もが手練れっぽい雰囲気を醸し出している。
「ここが最深部のようだが、入らないのかい?」
俺に話しかけてきたのは、細い眼鏡をかけた線の細い少年だ。にこやかな笑みを顔に貼り付けているのがやけに胡散臭い。白い髪は高い魔力保有量の象徴だ。見るからに高級な衣服は、まさに貴族のいでたちだった。
「まぁ……ちょっとな」
「もしかしてビビっているのかい? 情けないねぇ」
え。なんで煽られてんの俺。
捨てられた神殿に来た俺達は、その戦闘の激しさに舌を巻いていた。
別に俺が戦っているわけじゃない。周りの新入生たちを見かけるたびにモンスターと凌ぎを削っているのだ。
「なんつーかあれだな。モンスターを見たら戦わないといけないルールでもあるのか?」
イキールのやつもそうだったが、どうしていちいちモンスターに突っかかっていくのだろう。逃げればいいじゃないか面倒臭い。
「みんな自分のスキルを試したいんですよ。魔法学園に入学して、初めての腕試しですからね」
「はぁ。まぁ優秀なやつらが集まっているみたいだしな。そんなもんか」
試す価値もないクソスキルの俺には無縁の話だな。
会話をしながらも、俺とサラは駆け足でダンジョンを進んでいく。モンスターを見つけても無視だ無視。構っていられるか。どうせ勝てねーし。
神殿内部は、明るい光が差し込む綺麗な建物だった。これがダンジョンというから驚きだ。まるで西洋の城のようだ。
出てくるモンスターは甲冑に翼の生えた天使型モンスター、デミエンジェル。剣と盾を装備し、真っ向からの勝負を仕掛けてくる。短時間ながら飛行もできるようで、奴らから逃げるのは骨が折れた。
「狭い通路があってよかったですね」
「ほんとにな」
入り組んだ通路を進むと、やがてデミエンジェルは追ってこなくなる。だから俺達は走るのをやめられなかった。半月の旅で体力がついたからこそできる強行軍だ。
神殿に入って一時間ほどで、俺は最深部に辿り着いた。
「ここだな。これ見よがしにでかいゲートがある」
大きな門には白い霧がかかっており、向こう側の様子は見えなくなっている。
「この奥にメダルがあるんでしょうか? でも、なんだかイヤな感じがします」
「いるんだろうな。ボスモンスターってやつが」
強欲の森林と同じだ。メダルのある場所には、相応の守り手がいるのだろう。
入りたくねぇなぁ。
俺が霧をくぐるのを躊躇っていると、後ろから足音が重なり合って聞こえてきた。
「おや、先客がいましたか」
俺は振り返る。
現れたのは十人ほどの少年少女達。新入生達がパーティを組んでいるのだろう。半分は従者のようだが、誰もが手練れっぽい雰囲気を醸し出している。
「ここが最深部のようだが、入らないのかい?」
俺に話しかけてきたのは、細い眼鏡をかけた線の細い少年だ。にこやかな笑みを顔に貼り付けているのがやけに胡散臭い。白い髪は高い魔力保有量の象徴だ。見るからに高級な衣服は、まさに貴族のいでたちだった。
「まぁ……ちょっとな」
「もしかしてビビっているのかい? 情けないねぇ」
え。なんで煽られてんの俺。
36
お気に入りに追加
1,202
あなたにおすすめの小説
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
幼馴染み達が寝取られたが,別にどうでもいい。
みっちゃん
ファンタジー
私達は勇者様と結婚するわ!
そう言われたのが1年後に再会した幼馴染みと義姉と義妹だった。
「.....そうか,じゃあ婚約破棄は俺から両親達にいってくるよ。」
そう言って俺は彼女達と別れた。
しかし彼女達は知らない自分達が魅了にかかっていることを、主人公がそれに気づいていることも,そして,最初っから主人公は自分達をあまり好いていないことも。
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
追放?俺にとっては解放だ!~自惚れ勇者パーティに付き合いきれなくなった俺、捨てられた女神を助けてジョブ【楽園創造者】を授かり人生を謳歌する~
和成ソウイチ
ファンタジー
(全77話完結)【あなたの楽園、タダで創ります! 追放先はこちらへ】
「スカウトはダサい。男はつまらん。つーことでラクター、お前はクビな」
――その言葉を待ってたよ勇者スカル。じゃあな。
勇者のパワハラに愛想を尽かしていたスカウトのラクターは、クビ宣告を幸いに勇者パーティを出て行く。
かつては憧れていた勇者。だからこそここまで我慢してきたが、今はむしろ、追放されて心が晴れやかだった。
彼はスカルに仕える前から――いや、生まれた瞬間から決めていたことがあった。
一生懸命に生きる奴をリスペクトしよう。
実はラクターは転生者だった。生前、同じようにボロ布のようにこき使われていた幼馴染の同僚を失って以来、一生懸命に生きていても報われない奴の力になりたいと考え続けていた彼。だが、転生者であるにも関わらずラクターにはまだ、特別な力はなかった。
ところが、追放された直後にとある女神を救ったことでラクターの人生は一変する。
どうやら勇者パーティのせいで女神でありながら奴隷として売り飛ばされたらしい。
解放した女神が憑依したことにより、ラクターはジョブ【楽園創造者】に目覚める。
その能力は、文字通り理想とする空間を自由に創造できるチートなものだった。
しばらくひとりで暮らしたかったラクターは、ふと気付く。
――一生懸命生きてるのは、何も人間だけじゃないよな?
こうして人里離れた森の中で動植物たちのために【楽園創造者】の力を使い、彼らと共存生活を始めたラクター。
そこで彼は、神獣の忘れ形見の人狼少女や御神木の大精霊たちと出逢い、楽園を大きくしていく。
さらには、とある事件をきっかけに理不尽に追放された人々のために無料で楽園を創る活動を開始する。
やがてラクターは彼を慕う大勢の仲間たちとともに、自分たちだけの楽園で人生を謳歌するのだった。
一方、ラクターを追放し、さらには彼と敵対したことをきっかけに、スカルを始めとした勇者パーティは急速に衰退していく。
(他サイトでも投稿中)
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる