異世界転生でチートを授かった俺、最弱劣等職なのに実は最強だけど目立ちたくないのでまったりスローライフをめざす ~奴隷を買って魔法学(以下略)

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フレイムボルト・レインストーム

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 再びスライムの攻撃が迫る。
 突き出された無数の触手。三人は散開し、それぞれ回避行動をとるしかなかった。

 やばそうだぞ。助けに入った方がいいのか。
 だが、クソスキルしか持たない俺になにができるっていうんだ。
 それに助けに入ったらエレノアに見つかるし、何より目立っちまう。

「コピーってどういうことよマホさん!」

 エレノアの顔は引きつっていた。

 そりゃそうだ。今スライムと戦っている三人は、誰もが強力なスキルの持ち主だ。
 つまり、敵も同じように強くなる可能性があるということ。

「どういうこともなにもそのまんまだよ!」

 マホさんはグレートメイスを振り回し、スライムの触手をいくつも破壊していく。

「おい坊ちゃん! そのスキルはどんな効果だ! スライムにパクられそうなスキルか?」

 尋ねられたイキールも、力強く巧みな剣捌きで触手を切り捨てていく。

「僕の『剣聖降ろし』は、その名の通り過去の剣聖の剣術をこの身に宿らせる。不定形のスライムにとっては、何の意味も持たないだろう」

 イキールの言う通り、スライムは剣なんて使っていない。

「アタシの『シースルー・コンディション』も、こいつにとっちゃ興味がねぇだろうな」

 つまり、必然的にコピーされるスキルは決まってくる。

「私の『無限の魔力』をコピーしてるってこと?」

「そういうこった!」

 マホさんとイキールがどれだけ触手を破壊しても、すぐに本体に合体し元通りになってしまう。スライムとはいえあれだけ大きかったら、人間の攻撃なんて取るに足らないということなのか。

「コピーできるからってなによ! これでもくらいなさい!」

 エレノアの両手が光ると、彼女の周りに無数の火が浮かび上がる。

「フレイムボルト・レインストーム!」

 その全てが火炎の短矢となり、怒涛の勢いでスライムに飛翔した。
 まるでマシンガンのように連射されたフレイムボルトは、まさにレインストームの名に相応しい。スライムに着弾して派手な爆発を起こす様は、確かに嵐のような激しさだ。

 黒煙が舞い上がり、スライムの姿を隠す。

 エレノアの息はあがっていた。あれだけ魔法を連発したのだから、無理もないだろう。

「やったか?」

 イキールが叫ぶ。

「あれだけのフレイムボルトを撃ち込んだのよ。いくら大きくても、無事で済むはずがないわ」

 荒い息遣いで言うエレノア。

 どうしてこうフラグを立てるかね、この二人は。

 案の定と言うべきか。
 黒煙を突き破って飛来した触手に、エレノアとイキールは別々の方向に吹き飛ばされてしまった。
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