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俺一人ならあの宿にしたかったんだけどなぁ

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「立て込んでるから邪魔しないように行け、だって」

 戻って来たジェシカさんが通行の許可をくれた隊長の代弁をする。こんな事、あのジェーンですら自分で決められるのに。あれ?もしかしてジェーンって有の……無いな。

「良かったね~ゲイン~」

「そだね~。だがなあ、アレが突破して来たら門前でまた同じ事が起こるのか…」

「そんなヘマしないわ!」

「まだ馭者しか見えてない状況で、中にどんな強者が居るか分からないじゃないか。俺ならすぐにでも火矢とか射かけて、火傷くらいのハンデはもらうけどね」

「そんなの用意してないし!」

「見たら分かるよ。移動させないために、乗ったままの馭者を降ろして馬を外す。それくらいかな」

「な、なるほど…」

 それを聞いてた他の門番が隊長に進言してる。あ、実行するみたい。槍でつついて馭者を無理矢理降ろしてる。

「お忍びの貴族なら大変よね」

「ちょ!」

「職務ですから問題ないかと」

 カウモアよ、あんた、抜剣してたよな?だが、箱馬車の中からは貴族の気配も強者の気配もしないのである。箱馬車の中には箱。その中には悲しみや苦しみ、そして恐怖や痛みの感情が察知出来た。

 そう。これは茶々である。

「抵抗せず出て来い!」

 門番の誰かが大声をあげる。

「開けても大丈夫だよ。ジェシカさん、開けておいで」

「何で大丈夫だなんて分かるのよ!?」

「探知と察知のスキルだよ。冒険者でなくても持ってると便利だぞ?」

「金持ちかよ…」

「安く買うんだよ。ほれ開けれ開けれ。きっと違法な奴隷とかだぞ~」

「んーっ!隊長ーっ!」

 考える事を辞めたな?走って泣き付きに行ってしまったので俺達は先を急ごう。門番達の端を通って門を抜けた。急に走ると怪しまれるので早足で移動するよ。

「メロロアさん、依頼受けてたの?」

「ああ、これ私の最後の仕事です」

「ギルドで1つ、仕事をして…ってヤツね?」

「はい。なので辞めてはいますがまだギルド職員を名乗れる訳ですよ」

「成りすましじゃなかったのか」

「微妙なトコですけどね。そろそろ走りましょ。夕方は混むので」

 ギルドの事だな。俺達は先に宿を取る事にして、メロロアは報告書の提出をすると言う事で、話をまとめて走り出した。


 途中、何組かの冒険者パーティーを追い越して、何とか日が落ちる前にミーミンガイの街に入る事が出来た。

「私、先にお風呂に入りたいわ」

「同意です」

「ゲインさぁ~ん…」

「分かったよ。宿を取ったらギルド前に迎えに行くから。その後で、みんなで風呂に行こう」

「ああ、胸がキュンキュンします!なるはやで行ってきますっ!」

 そしてメロロアは消えた。まあ壁際に建つ冒険者ギルドに行ったのだろう。

「さて、宿を探すかね」

「ねぇゲイン?どやって探すの?」

「スキルを使うのさ」

「宿を探知するのかしら」

「宿泊者の感情を察知しても良さそうですね」

「人の間隔が広ければ早い部屋かも知れんし、食堂に客が多いなら美味いのかも知れん」

「それならあたいは、鼻に聞いた方が早いかも?」

 獣人は身体能力が高い。筋力だけでなく、目耳鼻も利くと聞いた事がある。なのでタララの前ではオナラもできない。そんなタララは感知系スキルに増して身体能力で探すようだ。

「ゲイン様、あそこ等はいかがでしょう?」

 まず初めに探し当てたのは牛。食堂と思しき1階の空間には人が多く居るようで、動かないのは座ってる?動いてるのはウェイトレスかな?イライラしてるのが分かる。

「いー匂いしな~い」

 却下のようだ。鼻から数に入れてないみたい。鼻だけに。

「ならあそこならどう?外観はそれなりよ?」

「部屋は…いや、ダメだな」

 通りの奥にある宿を見付けたのはアリ。だが却下だ。人の入ってる部屋の中は、そのほとんどが2人なのだが、そのどれもが片方は気持ち良さを、もう片方はほぼ無感情でくっ付いている。多分だが、あれは俺しか楽しめない。

「アントルゼ、あれでは日当たりが良くありません」

「それは嫌ね」

 上手いこと言ったなぁ。

「そ、そうだな。湿ったベッドじゃダニと一緒に寝る事になりそうだよな」

「ゲイーン、あそこがい~」

 タララが空気を切り裂いて、飯が美味い事に特化した宿を見つけ出したようだ。のしのし歩くタララの後ろを着いてくと、総木造で三階建ての宿に行き着いた。

「見た目は普通ね」

「中は…問題ないかと」

「それならここに決めよう」

 宿の玄関を開けるとすぐ右にカウンターがあり、店員だろう若い娘が笑顔で対応してくれた。

「いらっしゃい!4人なら素泊まり1泊3600ヤンだよ!」

「もう1人来るから5人で」

「なら大部屋の方が安上がりだけど…静かにお願いね?」

 酔っ払って騒ぐようなら縛り上げて吊るすしかない。

「いくらなのよ?」

 ずいっと前に出るアントルゼに身構える娘。気持ちは分かる。

「え、アリ…?被り物なの?」

「ダンジョン産よ。良いでしょー」

「ティアラ、キレイね…。あ、大部屋は6人用で4800よ」

「高く付くじゃない」

「その代わり広いから損はしないわ」

「300ヤンで広さが増すなら安いもんだな」

「ねね、ご飯、いくら?」

「えーと、ピンキリだけど、焼肉とスープとソーサーで700。お酒は飲む?」

「品物次第ね」

「飲むならそれなりにかかるけど…」

「そんなには飲まないよ」

「飲んで1000から1500って所かな」

「あたいここで良い」

 熊の一声で決定。4800ヤンを支払って部屋の鍵を預かる。三階の角部屋だそうだ。

「確かに、6人部屋相当の広さね」

「ねね、ベッドくっ付けよーよ」「了解です」

 部屋に入ると早速ベッドがニコイチにされた。残ったベッドも部屋の端にニコイチにされて、真ん中に広い空間が出来たよ。確かにベッド6つ置けるだけの広い部屋だが、2×3で置かれていては寝る事しか出来ん。収納したらもっと広くできそうだが、泥棒扱いされたくないので止めておこう。

 風呂に行くのに金属鎧は重いので、4人それぞれベッドに陣取り皮鎧に着替える。それぞれとは言ったが、タララとカウモアは俺の隣で着替えてる。

「汗くちゃい」

「そう思うならなぜ俺の近くで着替えるんだ?」

「見せてんの」

「ゲイン様なら匂って頂いても構いません」

「俺は良い匂いの方が好きだぞ?」

 そそくさと離れて行く2人。

「アホね」

 やれやれと言った仕草でアントルゼがボヤく。俺もそう思う。

 着替えたら3人を置いてギルドに向かう。入口では既にメロロアが待っていた。

「あ、ゲインさぁ~ん」

「待たせたな。で、ソイツ等は?」

「ナンパですね」

 メロロアの周りに5人の男が屯って、ナンパをしていたらしい。

「よくナンパなんて出来るな…」

「はぁあ!?舐め腐ってると言わすぞ!?」

 何を言わされるのやら。

「そんなヒョロいのより俺達の方が良い思い、させてやるゼッ!」

「くふっ、ショッボイ皮鎧だなお前。そんな稼ぎの奴より俺達の方が稼いでっし、優良物件だぜ?」

「ママんトコに帰んな。アッハッハッ」

「まあ待て。あまり大きな声では言えんが…、そいつ、暗殺者だぞ」

「んもー、ゲインさんったらぁ、か弱い女の子を捕まえて変な事言わないで下さいよぉ。ほら、行きますよ?今夜は朝までなんですから、ね?」

 俺の小声をかき消すように、べったりくっ付き腕を取ってギルドを離れるメロロア。5人のナンパ君達は俺の一言で動けなくなったようで、追いかけては来なかった。

「ゲインさん、あんまり変な事言わないで下さいね?」

 メロロアが耳元で囁く。

「ウソってのはな、真実を混ぜる方が信じられるんだ」

「ほぼ事実ですよね…」

「ビビっただけでどうせ信じてないさ」

「んもう…。後で…いや、明日」

「明日?」

 なんだろう?明日は買い出しするけれど、お高いお茶でも買わせるつもりか?

「期待してて下さいねっ!所で、宿はどこですか?」

「すぐそこだよ」

「へー、誘いいざな の洞窟亭、ですか」

 ここそんな名前だったのか。洞窟感全く無いのだが。取り敢えず宿に着いて3人と合流。カウンターの娘に公共浴場の場所を聞き、いざ風呂へ。
 大通りを教会まで行って、向かいの通りに入って高い壁に囲まれた建物。ここが公共浴場のようだ。俺は男湯、女達は女湯へ。
 全員分の金を払って脱衣場に入ると、そこはマッチョの園。また大胸筋で会話しないといけないのか…。俺は無言で服を脱ぎ、浴室で体を洗って湯に浸かる。目を瞑って時間を過ごし、終始無言で風呂上がり。

「ゲインー、どう?いー香り?」

 俺より先に出ていたタララが寄って来て身体を震わせる。

「なんだろう?香辛料みたいな匂いだな」

「そーなのっ!疲れを癒すんだって!」

「男湯は普通に濁ったお湯だったな」

「なにそれ、薬湯じゃないの?」

「マッチョ野郎の汗と汚れは溶け込んでそうだったけどな」

 それから暫くして湯上りの3人が出て来た。

「ゲインさん、髪型変えてみました。色っぽいでしょ?」

 髪を上げて纏めたメロロアは、色っぽい服をでも着ていればきっと色っぽいのだろう。皮鎧では茶色にしか見えない。

「後で色っぽいトコ見せてくれ。さあさあ飯飯」

「だね!お腹空いた~」

 宿に帰り、まずは夕食。メニューは無いので女将に聞くと、焼肉と焼き魚が各300ヤン、肉と豆、魚とマタルのスープが各200ヤン。ソーサー3枚200ヤンで、1杯無料水だそうだ。

「女将さん、お酒はどんなのがありますか?」

「エールに果実酒、ミードもあるよ。どれも300ヤンさ」

「果実酒ってなんです?」

「果物を蒸留したエールにじっくり漬け込んだモノさね。強いけど飲みやすい酒だよ」

「では私はエールと果実酒で。皆さんはどうします?」

「食い物も頼めよ。俺は焼き魚と肉豆スープとソーサー。水もね」

「あたい焼肉2つと肉豆スープ。それとソーサーとお水~」

「焼肉と…、魚スープにしようかしら。ソーサーと水もお願い」

「私はこの子と同じのを」

「あ、私焼肉と焼き魚追加で」

 飯が揃い、4100ヤン支払って、みんな揃っていただきます。

「果実酒、これだけなんですね…。あ、うんまっ」

 小さなカップに注がれた果実酒を啜って味に納得してるメロロアだ。

「300ヤン分って事なんだろ。果実も使った強い酒がエールと同じ量で300なんて有り得んからな」

「これは300出しても損しませんよ!ははっ」

 焼き魚は筒切りにされた切り身を焼いた物で、皮がパリパリして身はギュッとして脂多め。この油が美味い。ソーサーに付けて食う。そしてスープは肉が凄く煮込まれて柔らかくなってる。長い時間をかけて煮込む料理はほとんど無いので珍しいし美味い。

「にく、んま」

 良かったねぇ。

「魚スープに使われている魚は何なのでしょう?丸い塊になっていて想像もつきません」

「美味しい魚よ」

 アントルゼ達が食べてるするには丸い塊が入ってて、これが魚らしい。人の食ってるのを見ると美味そうに感じるが、美味いと言ってるしきっと美味い。明日はそれにしよう。

「あ、そうだゲインさぁん」

「ん?」

「お風呂代と食事代、出しますね」

「なら後で良いぞ。食事代とかの雑費を一括で払えるようにいくらか納めてもらいたい」

「了解ですっ。ちなみにぃ、おいくら万ヤン…ですか?」

「食べるだけ~」

「好きなだけね」

「お気持ちで」

「あ~い~ま~い~!」

「なら25万ヤンで」

「お~た~か~め~!」

「食費に宿代、生活費を全部そこから出すから少し多めだ」

「ゲインさん達はギルド証にお金入れてないんですもんね…。明日下ろして来ます」

「出来れば銀銅多めで両替しといて欲しい」

「あ、はい。わっかりま~した~」

 メロロアがエールを2杯おかわりし、タララより大食らいになった所で部屋に戻る。歩けるくせにおんぶをせがむな。せがむならせめて鎧を脱げ。

 部屋に着いて寝巻きに着替え、毛布を被って横になる。ゴネにゴネるメロロアは気持ちよく酔って寝てしまったので、タララとカウモアが挟んで来た。

「はい、ゲイン」「ゲイン様、私も」

「静かに寝てよね?おやすみ」

「おやすみ」「おやすみ~」「お休みなさいませ」

 横を向くとタララのおっぱい。反対側ではカウモアが背中にくっ付き待っている。いつの間に脱いだんだ?上側にあるのを手で寄せて口に含む。柔らかくて、温かくて、良い匂い。

「ん…」

 頭を抱きしめられて息が苦しい。もがいてみても熊の腕力には勝てず、腕を動かし助けを求め、なんかもふもふした物に触れた。なんだこれ?

「んぁ、そこは…」

 力が緩んだ隙に顔を出し、空気を吸い込んだ。

「タララ…、息…、出来ない」

「あう、ごめん…」

「ゲイン様…こちらへ」

 背後のカウモアが肩を引き、仰向けになった俺の顔に柔らかい物を押し付けた。こちらも良い匂いだな。体の片方はタララが抱きつき、脚と腕を絡ませる。もう片方はカウモアが脚を絡め、おっぱい枕された。動けないけど心は落ち着く。少しだけ赤ちゃんみたいな事をして眠りについた。

 目が覚めて、アントルゼが見詰めてた。

「おはよう。昨夜は楽しめたのかしら」

「ん…、おはよう…。寝返り打てないのってキツいんだぜ」

「そう、こっちもキツそうね」

「話題に出さないよう頼む」

「今朝ね、私夢を見たの」

「へぇ」

「夢の中で、あんたの硬いのをじっと見てたのよ」

「見なかった事にしてよ」

「そうね、じっとは見ないわ。だから少しだけ見せなさいよ」

 そう言うとベッドに乗り込み、俺のズボンを躊躇いなくずり下ろした。俺は声を殺す。下手に騒ぐとみんなが起きる。声を出さずに口パクで仕舞うよう懇願した。

『頼む!仕舞って!』

「?」

 こくりと頷きにじり寄り、天衝くアイツを捕まえた!それを捻ってズボンに仕舞う…。意思は伝わった。伝わったけどさぁ…。

「あんたのソレ、温かいのね。おチンチンじゃなきゃ抱いて寝たいわ」

「はあっ!?」「何と!?」

 俺の体を固定していた2人が飛び起きる。もう少し早く起きて欲しかった。

「アントルゼちゃん、ナニ、してたの?」

「さあね。早起きはするものよ?ゲイン、トイレ行くから一緒に行きましょ」

 ベッドを降りたアントルゼがマントを羽織ってマスクを被る。俺も熊皮を羽織ってトイレへと向かった。


 トイレを済ませ、部屋に戻るが未だにメロロアは寝はがしていた。着替えを済ませたタララ達も困り顔だ。

「お腹すいたよぉ、ゲイン~」

「金棒で殴りかかれば起きるかもな」

「ゲインやってよ~」

「はいはい。起きたらおっぱい揉んでやるぞー」

「…うぅ…。ふちかよいでしゅ…。あんちぽいじゅん、くらさい…」

「大人しく寝てたのは潰れてたのか」

「しーましぇーん」

 持ってて良かったダンジョンドロップ。唇を突き出してん~ん~唸るメロロアを背中側から抱き起こし、アンチポイズンの栓を抜いて持たせる。

「いけじゅ…」

「起きたからな。ちょっとだけだぞ?」

「んっ、いきありっ」

「早く飲んで治せ。予定あるんだろ?」

「ん、飲み終わるまで、しててくらはい…」

「いーなー」

「多分果実酒だろうが、メロロアですら潰れる酒だぞ?止めとけ止めとけ。先に行って席取っといてくれるとありがたい」

 タララが恨めしそうな目でこちらを見ていたが、空腹には敵わずカウモアと共に降りて行った。

「ねえ、おっぱい大きくなったの?」

 アントルゼは食事よりそちらに興味があるようだ。

「ん…、毎日の、積み重ね…れすよ」

「本当に大きくなるのか?デカい人は何もしなくても大きくなるだろ?」

「ゲインはんは、あっ、乙女心が分かってまへんね~」

「男だもん」

「私のも揉んでよ。少しでも成長したいのよ」

 向上心旺盛な元貴族様だが、鎧の上からは揉みたくないな。

「今夜もここに泊まるならな」

「決まりね」

 そう言うと食堂へと向かって行った。メロロアよ、早く飲み干せ。飯が遅れる。

 パパッと着替えたメロロアと食堂に向かうと、熊牛アリの3人の周りには広い空間が空いていた。不気味なマスクもたまには役に立つんだな。

「お待たせしてしまい申し訳ありませんでした」

「ゲイン、今夜も泊まるんだって?」

「あ、それは私から。今日の予定をこなしたらもう1泊します。予定の詳細はお部屋でする事にして、先にご飯にしましょう」

「最初から2泊するんだったの?」

「はい。多分、今日は疲れると思うので」

「「「?」」」

 3人はハテナ顔してるが、俺もその輪に加えて欲しい。

 取り敢えず朝食を摂り、宿代を払って部屋に戻る。

「皆さん、今日の予定を発表します」

 すっかり二日酔いの癒えたメロロアが、音頭を取って話し出す。まずは干し肉作りと、あるなら洗濯。次にギルドで、クソッタレな村と、襲って来た野盗の報告にランク上げやらゴミの売り払い。そして消耗品の買い増しと馬や客車を見に行く。その後女達は教会に行くので俺はフリーになると言う。

「俺は特に意見は無いけど、教会に何しに行くの?」

「避妊魔法をかけてもらいます」

「やったわねゲイン。好きなだけみだらな事が出来るわよ?」

「アントルゼ嬢、それはそれで嬉しいのですが、本来の目的とは違います」

「どゆこと?」

 タララの質問に答えるメロロア。これから先、不意の事故で苗床にされた時、産まないためだそうだ。

「俺が死んでもしっかり生き残ってくれよな」

「その時は私が守りましょう。力及ばすの時は頑張って下さい」

「最悪、私が何とかしますのでその時は私から離れないようにお願いしますね」

「私、守られる立場なのね?」

「あたいもなんかそれっぽい事言った方がい?」

「言っとくが、タララも守られる側だからな?」

「え?盾持ちなのにぃ」

「ダンジョン特化なタララには外の戦いは厳しかろう?」

「ん~、囲まれたらヤバいと思うけどさ」

「ダンジョンでは後ろにしっかり遠距離中距離が控えてる。だからタララは強いんだ。外では前にカウモアが出る事もある。分かるな?」

「しっかり守って守られるよ」

 良い返事だ。前衛が倒れ、後衛が1人倒れたら、このパーティーは終わりなのだ。


 今日の予定も決まった所で干し肉作りに洗濯だ。アントルゼの出した板に漬け込んだ肉を伸して、俺とタララのデリートウォーター。程良き硬さの干し肉となった。1枚タララにしゃぶられて86枚出来た。洗濯は女達だけ。俺の下着は川で洗われたからな。

 洗濯が終わり、宿を出てギルドに向かう。少し混んでる屋内だが、メロロアの顔が利いてるので待つ事無く個室へ案内された…って、また尋問室か。
 4脚ある椅子の2つにメロロアとアントルゼを座らせて待つ事しばし。ノックをして入って来たのはさっき案内してくれた受付嬢とマッチョハゲ。多分だが、どちらかがギルマスだ。

「おいエーデリ、椅子くらい用意してやれ」

「は、はいっ」

「俺はミーミンガイ冒険者ギルドの長をやってるアントールだ」

 入って来たばかりの受付嬢を追い出して、壁に凭れるマッチョハゲ。もとい、ギルマスのアントール。

「俺はスタンリーガイから来た冒険者のゲインだ」

「タララだ」

「カウモアだ」

「アントルゼよ…だ」

「メロロアですだ」

「知っとるわ。口調を真似んでも良い。まあ、話は椅子が来てから詳しく聞かせてもらおうか」

 しばらく待って、受付嬢が2人で椅子を持って来て全員が座る。アントルゼ達の対面は筆記用具を用意した受付嬢が2人座る。椅子は足りてるのにギルマスは壁にくっ付いたままだった。

 まずは夜襲をかけて来た村の話をした。これは後で警備隊と話し合い、上とかけ合って処分を決めると言う。普通なら村人が街に駆け込んで泣き言を言えば、冤罪で俺達が捕まってしまうのだそうで、メロロア先輩の信用度の高さでお咎めなしになった。

 次に野盗に関する処理。マジックバッグからそれぞれ排出すると、程よく柔らかくなった死体が力無く横たわった。

「顔を照合しろ」「はいっ」

 紙と死体を交互に見ながら照合をしてる受付嬢を横目に、カウモア、アントルゼ、メロロアの貢献度の確認がされた。結果、カウモアとアントルゼはCランクに上がり、メロロアは特例でCランクとなった。

 それに伴いパーティーランクがDとなる。パーティー依頼は1つ上のランクまでやれるので、Cランクパーティー依頼が受けられる。

「とくれー、いーなー」

「ゴブリン、野盗を平気で殺せる女だぞ?」

「あー、確かに~」

 ギルマスの言葉に納得のタララ。

「か弱い女の子なんですけどね?」

「あ、要らないゴミはどこで売ったら良い?ここで買い取ってくれるとありがたいんだけど」

「ゲインさん、酷い」

 受付嬢の白い目が刺さるのだが、なぜだ?ゴブリンや野盗の落し物を出すと、ああ~って顔された。

「買い物するから全部現金で頼むよ」

「承りました」

 眼鏡をかけて物を見て、板にサラサラ書いて行く。死体検めをしていた受付嬢は、みんなのギルド証を処理してくれた。

「ああ、ゲインだったな。その死体は別の場所に持って行くから1度仕舞ってくれ」

「分かった。タララ、半分頼むわ」

「あいよ~」

「ゲインさん、買取価格が出ましたよ」

 死体を仕舞って振り向くと、メロロアが板を見せてくれる。全部で2140ヤンだって。ゴネる時間も惜しいので即決した。

 用事が済んで、ギルマスは仕事に戻る。メロロアは両替に、俺達は受付嬢の1人に解体場へと連れられて、死体を置いたら外に出てメロロアを待つ。

「お待たせしました。では次に行きましょう」

 買い物しながら街を散策する。地の利が無いから散策しないと目的の店が見つからないのだ。もちろん現地民にも道を聞く。食料品店は大通りの北側の裏手、通称日陰通りにあると聞き、食料品店が並んで建ってるのに驚いた。店ごとに置いてる物が少しずつ違ってて、値段も隣同士で違ってる。買い物上手なら安い店だけで買うのだろうが、多少高くても一気に買った方が手間がないと言う考えの者もいるようで、あそこはもっと安いだの、それを買うからこれまけろ、なんて言葉が至る所から聞こえて来る。それはそれで手間だと思うがなぁ。

 取り敢えず、通りの店を全部見て、マタル粉を10ナリ、調味料をいろいろ買って15000ヤン。魚の干物がタララに食べられたがっていたので仕方なく12枚、2400ヤンでお迎えした。

「ゲインさん、お酒買いましょうよ」

「今夜飲み切って二日酔いしないなら良いけど」

「いえ、傷の洗浄用です」

「ウォーターじゃダメなのか?」

「…それでも良いですけどぉ」

 やはり飲む用か。野外で飲むのはダメだと念を押し、料理用に1本だけ買ってやった。量り売りで2ナリ瓶2000ヤン中身4000ヤン!1ナリ瓶で良いだろうとゴネたが、大きくても瓶が同じ値段だと屁理屈をゴネ返されて諦めた。よろしい、飲んだら折檻だ。

 大通りに戻ってギルドとは反対方向へ一直線。南側の門まで進むと、いつか嗅いだ懐かしい香りが臭って来る。

「馬くちゃい」

「死んだ馬はもっと臭いぞ」

 鼻の効くタララを宥めて進むと目的地のヒントが見えた。馬のクソ置き場だ。馬糞は集めて肥料にされるので、大なり小なりどこにでもあるのだ。俺が寝泊まりしていた厩の近くにもあった。

 カートを引っ張り馬糞置き場に向かう人がいる。あれは間違い無く馬関係者だ。カートを押して、馬車馬を売ってる所を聞いてみると、売ってる店を教えてくれたよ。お礼を述べて馬屋に向かう。

「ギルドに聞けば早かったのでは?」

「かもな。けど馬は馬屋だよ」

「あっちから馬の匂いがするよ」

 匂いは聞いた方角からと言うが、俺にはまだ分からない。少し進んで嘶きを聞いて分かった。

 木の壁に覆われた建物の中から馬達の嘶きが聞こえる。馬の首が描かれた看板だ。

「こんにちはー。お客でーす」

「お客?ああ、いらっしゃいませ。ここは馬を扱っておりますが、何をご用意しましょう?」

 カウンターに座ってた女の人が少し驚いた様子で聞いて来る。

「まだ客車を買ってないのだけど、馬車馬を見せてもらいたくて来たんだ」

「承りましたが、何故馬から?」

「箱を先に買ったら俺が曳かなきゃいけないじゃん」

「あたいも頑張るよ?」

 よしよし。撫でてやる。

「馬が良ければ箱も買えるしね」

「そうですね。駄馬は居ないと自負しております。ではこちらへどうぞ」

 店員さんは俺の言葉の意味が分かったようで、ドヤ顔で中庭に案内してくれた。

「ねね、ゲイン。ゲイントコの村の馬も居るのかな?」

「どうかな。新しい馬なら多少判るが…」

「お客さん、馬産地のお生まれですか?」

「ツデータ村長の村だけど、分かるかなぁ」

「はい、存じております。そちらの馬もおりますよ」

「ブヒッ!ヒヒーン!」「ヒヒー!」

「ゲイン、呼んでるわよ?」

 アントルゼ、よく分かったな。馬房柵を蹴り飛ばして突っ込んで来れば嫌でも分かるか。目の前で立ち上がる馬にみんなが逃げ惑う中、俺は前脚をすり抜けて後脚の横に回り込む。下がって避けると突っ込んで来るからな。

「久しぶり、セイコー」

「ヒヒヒー!ブヒー!」

 首に抱き着き撫で散らす。離れると髪の毛を毟られる。落ち着くまでは離れちゃいかん。

「お、お知り合い、のようですね…」

 店員さんも引いている。暴れ馬に抱き着いていなす奴なんてそう居ないもんな。

「家が卸した馬だよ。よく覚えてたね、よしよしよーしよし」

「お買い上げ?」

「…箱売ってる店、紹介してくれる?」




現在のステータス
名前 ゲイン 15歳
ランク C/D
HP 100% MP 96%
体力 D
腕力 E
知力 E
早さ D-
命中 E-
運 D

所持スキル
走る☆☆ 走る☆☆ 走る 走る 走る
刺突☆☆ 刺突
硬化☆☆ 硬化 硬化
投擲☆☆ 投擲
急所外物理抵抗☆☆
飛躍☆ 飛躍
木登り☆
噛み付き☆☆ 噛み付き 噛み付き
肉体強化 肉体強化☆ 肉体強化☆
腕力強化☆ 腕力強化 腕力強化
脚力強化☆ 脚力強化☆ 脚力強化
知力強化☆
体力強化☆ 体力強化 体力強化
ナイフ格闘術☆ ナイフ格闘術
棒格闘術☆
短剣剣術☆ 短剣剣術☆
避ける☆
魅力☆
鎧防御術
察知
探知
マジックバッグ
マジックボックス

鑑定☆ 鑑定
魅了
威圧
壁歩き

水魔法☆ 水魔法
|├ウォーター
|├ウォッシュ
|└デリートウォーター
├ウォーターバレット
├ウォーターウォール
└ボーグ

土魔法☆
├ソイル
├サンド
└ストーン

火魔法
├エンバー
├ディマー
└デリートファイヤー

所持品
革製ヘルメット
革製肩鎧
革製胴鎧
皮手袋
皮の手甲
混合皮のズボン
皮の脚絆
水のリングE
水のネックレスE

革製リュックE
├草編みカバン
├草編みカバン2号
├紐10ハーン×9 9ハーン
└布カバン
 ├冊子
 ├筆記用具と獣皮紙
 ├奴隷取り扱い用冊子
 └木のナイフ

革製ベルトE
├ナイフ
├剣鉈
├剣鉈[硬化(大)]
├解体ナイフ
└ダガー

小石中☆500
小石大☆450
石大☆20

冒険者ギルド証 0ヤン

財布 ミスリル貨235 金貨11 銀貨8 銅貨9
首掛け皮袋 鉄貨74
箱中 980,435→950,947ヤン 
ミスリル貨 金貨83 銀貨110 銅貨108 鉄貨147 砂金1250粒



マジックボックス
├猪(頭・皮)燻10ナリ
├戦利品
├箱
|└シルクワームの反物×33
├未購入チップ各種箱
├医薬品いろいろ箱
├食料箱×2
├調理器具箱
├ランタン箱
|└油瓶×10 9.2/10ナリ
├竈、五徳
├蓋付きバケツ大
├テントセット
├マット×4
├毛布×4
├洗濯籠
|├耐水ブーツ
|└耐水ポンチョ
└宝石
鉄兜E
肩当E
胸当E
腰当E
上腕当E
ゲル手甲E
ゲル股当E
帆布のズボンE
脛当E
鉄靴E
熊皮のマント

籠入り石炭0
石炭84ナリ

ランタン
油瓶0.2/0.8ナリ
着火セット
服箱
├中古タオル
├中古タオル
├未使用タオル×2
├中古パンツE
├パンツ
├未使用パンツ×2
├ヨレヨレ村の子服セットE
├サンダル
├革靴
├街の子服Aセット
└街の子服Bセット

スキルチップ
ハシリウサギ 0/4521
ウサギS 0/1
ウサギG 0/1
ハシリトカゲ 0/3166
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