上 下
39 / 53

今夜は送別会で遅くなるってさ

しおりを挟む


「納得れきまひたかぁ?」

 なぜかドヤ顔を近付いて来るメロロア。酒臭いぞ?

「なら、乗合馬車でも使うか」

「それもら~め。タダ働きのごえ~になるらけれす」

「頼りになる冒険者でも乗っててくれないと困るって訳か」

「そゆこっと~、どぅえっへ~」

ドヤ顔の次はアヘ顔でエールと俺を煽るメロロア。そろそろ終わりにしないと明日に響くな。

「今日はこれくらいにして続きは明日にしようか」

「んぇえ~、もっともみましょ~よ~」

「揉んで良いのか?」

「あ…、ゲインしゃん、りしぇいのたががはじゅれちゃいまひたかぁ?」

「かもな。部屋に行こうぜ」

 残ったエールを流し込み、メロロアに肩を貸す。

「ゲ~インひゃ~ん。こんな時はお姫ひゃまらっこれふよぉ~?」

「階段行ったらな」

 …有言実行したら脚が死んだ。酔ってやるもんじゃない!空いてるベッドに体を沈めて泥のように寝た…。


 柔らかいタマゲルを愛でる夢を見て目覚めた朝。寝ぼけているのか、いまだにタマゲルの感触が手に残っていた。

「んっ、んふ…」

「…あ?」

 目の前に酒臭い女が寝てた。俺の手はソイツの柔らかいタマゲルを撫で回していたらしい…。ゆっくり、静かに手を離そうとするが、手を掴まれて押し付けられた。脚まで絡まれ動けない。

「起きてるだろ」

「起きてます…。起きて…」

「酒臭いの何とかしてくれたらおっぱい吸ってやる」

「むりですよぉ…。けど…、どうぞ…」

 絡む脚を撫でてやると、力を抜いたので上に跨る。目の前にメロロアのおっぱい。手から少し溢れてるくらいの膨らみに手を添えて顔を近付ける……振りをしてベッドから飛び降りた。

「ゲイン、我慢できたのね」

「ゲイン様を信じておりました」

「メロロアさん…、そーゆーの良くない」

「んぐ…、ゲインさんのいけずぅ~」

 朝もはよから俺の股間を凝視してるこいつ等が、この時間に寝ているはずがない。タララが早起きになったのは良い事なんだが…。なんだが…。

「寝てる間に揉ませてたんだろ?覚えてないけどそれで納得しれ」

「良い夢見られましたか?」

「タマゲル出て来たよ。着替えて飯にしようぜ?」

 街の子セットに着替えていると、メロロアが思い出したように話しだした。

「ああ、食事の前に少しだけ。昨日話しそびれた予定に関してです」

「ちゃんと調べて来たのですね」

「これでも敏腕美女職員ですので。着替えながらで聞いてください」

 既に着替え終えたメロロアが、昨日の話を説明する。

「あの街ならここに来る時に通ったよ~」

 タララは南街道を乗合馬車に乗って来たからシュートリンガンについても少しは知っているようだ。

「シュートリンガンから更に進んで2つ先の街があたいの産まれた街だよ」

「鉱山都市シャザーネンですか?そりゃあだいぶ遠いですね」

「そそ。小銭稼ぎながら来たからシュートリンガンのギルドも知ってるよ」

「なんだ、タララは先輩だったのか」

「ふふん、ちょっとだけね~」

 これが先輩風か。風を纏ったタララを先頭に食堂へと降りて行く。円卓を囲んで朝食を食べながら、今日明日と移動の支度を整えて行こうと言う話をした。

「野営の支度は出来てると思う。後は何が足りないか、だな」

「干し肉作ってないよ?」

「それ以外は、多分だけど大丈夫だと思うわよ」

「同じく」

「私は明日で退職ですので今夜は遅くなります。先に休んじゃってください」

「馬車、買うか?」

「ゲイン様、馬の世話は…出来るのですね、失礼しました」

「買えるかどうかは分かりませんよ?ご存知かと思いますが高…買えるのでしたね。売ってるかどうかは馬屋に行かないと分かりませんね」

「馬屋かー。そう言えば見た事無いな」

「馬もそうだけど、荷車も買わないといけないよね~」

「襲われた時、馬の護衛もしないといけません」

「お尻痛くなるよね~」

「そうなの?」

「アントルゼ嬢、貴族の馬車はバネが効いてるのですよ」

「敷物が欲しいわね」

「馬を見て、馬車を見て、買えそうなら敷物を見繕う。そんな感じかな」

「だね~」

「所で、馬屋や荷車屋ってどこにあるんだ?」

「残念ながらここには無いですね」

「よその街に行って買うの?」

「ええ、買うならばそうなります。それがシュートリンガンです」

「だから馬車いっぱいいたのか~」

「それは分岐の街だからですよ。全ての門が乗合馬車の発着点になってるんです。この街の場合、三方にルートはありますが発着点は西のみです」

「厩に近いからかな?」

「門の外を移動出来るからですね」

 他の町は外周を囲う道は無いのだろうか?とにかく馬車については後回しで良さそうだ。

「カウモア、剣の予備は欲しいか?」

「確かに、刺突剣これだけでは壊れた時不安ですね」

「あ、私が預かったエリートコボルドの剣ありますよ?良かったら使ってください」

「確かに良い剣でしたね。メロロアさんが良いのでしたら使わせていただきます」

 抜き身の剣をこんな所で出すのは如何なものかと思ったが、テーブルの下でやり取りしてるので注目は集めて無いだろう。多分。

「メロロアはどうすんだ?暗殺すんのか?」

「んもー、女の武器でゲインさんをメロメロにしてあげましょうか?」

「仕事に遅刻しても良いならな」

「あ…。ではそろそろ行って来ます。私に気にせず寝てくださいねー」

 残ったソーサーを掴んで慌ただしく出て行ったメロロアを送り出し、俺達は全部食べちゃおう。今夜の分の宿賃を払って部屋に戻り、身形を整える。

「さて、干し肉作るか」

「じゃあ、あたい切るねお肉ちょうだい」

 5ナリの肉塊なら25枚程切れるハズだ。タララに肉を与えると食べてしまいそうだが、流石に生肉は食わないだろう。タララが収納を使ってスパスパと肉をスライスするのを横目に、俺は調味液を作る。水と塩と香辛料、それを大きい鍋に半分程入る程度に作った。

「ゲイ~ン、切れたよ~」

「何枚取れた?」

「30くらい」

 厚みはともかく大きさがバラバラで31枚あった。取り敢えず調味液の入った鍋に漬け込んで、後は味が染みるのを待つだけだ。収納しておこう。

「さて、暇になったがどうするか」

「チップ使わないの?それと、私の使ったチップの効果を試したいわ」

 そう言えばラージアントソルジャーのチップを確保したんだったな。99枚で148500ヤン。これは買い取らねばならんな。財布と金の箱を出して購入した。

「ミスリル貨が分ける程あるから分けておくか?」

「ゲイン様、メロロアさんの分は如何しますか?」

「んー、ザルで悪いが今回のミスリル分は俺達4人で分けよう。合流前までの報酬は払ってあるからな」

 ミスリル貨を2枚ずつ、みんなの財布に納めさせた。

「全部分けて、再度お金を集めたら良いんじゃない?」

「なるほどな。アントルゼの言葉も一理ある。けどそこまではしなくても良いかな。メロロアには働いてもらえば良いだけだし、散財してなきゃだいぶ残ってるハズだろ?」

「そうね。私達みたいに装備やチップで散財してないでしょうし」

「それよりもだ、銅貨と銀貨が10枚あったら両替させてくれないか?」

「ん?見てみるね」

3人財布をジャラジャラし、銅貨20枚と銀貨10枚を両替できた。助かる。

「じゃあ、昼飯の時間まで街をぶらぶらするか。アントルゼは外用装備な」

「私も鎧に着替えます」

 俺に背中側に隠れて着替えを始めるアントルゼと、俺の正面で着替えを始めるカウモア。
 着替えるのは良いが、パンツ一丁になる必要はあるのか?ブラを外して、大いに見せ付け、再びブラを着ける。

「カウモアさん、それはちょっとあざとくない?」

「鎧を着ける時は外しているので、どうしようかと」

「俺は着けてないから分からんが、着けたままではダメなのか?」

「蒸れますね。ですがどちらにしても蒸れるので、着けようかと」

「ん~…。じゃあ今回はノーカン。良かったね、ゲ~イ~ン~」

「そうだな」

「私もブラを外した方が良いのかしら?」

「アントルゼは防御の為にも着けたままの方が良いでしょうね」

「なら、そうするわ。残念だったわね、ゲイン~」

「そうだな」

「ゲイン、あたいも着けなきゃダメ?」

「そうだな…って、お前今ノーブラなのかよ」

「今は皮だから着けてるよ!けど、金属の時は外してるの」

「タララのは頑丈だからどっちでも良いんじゃないのか?けど汗疹で痒くなったりしたら困るよな。俺はなった事ないけど」

「そだね、極力着ける事にする」

 2人が着替えたので外に出る。目的の場所がある訳では無いが取り敢えず東に歩いていた。

「確かに軽くなったわね」

「私もです」

「そう言えばコボルドの剣、研いどくか?鞘もあれば良いが」

「多少使っていますから研ぎは必要ですね」

 そんな訳で中古武器屋に着いた。

「こんにちはー」

「また来たのか」

 珍しく髭もじゃ親父が起きていた。

「取り敢えずの武器を用意したので研ぎをお願いします。鞘が無いのですが用意出来ますか?」

「見てみんと分からんな。ほれ」

 カウモアが剣を手渡すと、なんじゃコボルドソードか、なんて言いながらフンフン言って見てる。

「ドロップする得物は鞘が付いとらん。鞘もドロップすれば良いものをのぅ。作るなら時間を貰うぞ?」

 作るとなると明日明後日には出来ないと言う。仕方ないので諦めだ。

「そんなモンより人間用の剣を買ってもらえ」

「それはいずれ。今は自分で買いたいと思っております」

 長剣はじっくり見てなかったな。憧れはあるけど使い切れないだろうし。店内に飾られたり転がってる長剣は、俺的にはピンと来なかった。

「買うならババアの店に行け。ここにあるモンは嬢ちゃんには弱過ぎる」

「私には分からないけど、またあの店主には会いたいわね」

「またお茶する?」

「では、この剣は売ってしまってもよろしいでしょうか」

「良いんじゃないかな」「5000だ」

 剣と5000ヤンを交換すると、店を出て大通りの武器屋へと足を向けた。

「いらっしゃい。前に見た子だね」

 今日も穏やかな笑顔で店番してる婆ちゃんだ。

「こんにちは。この子の長剣を見繕いに来たんだ」

「ゲイン、お茶するからアレ出して~」

「おやまあ。じゃあ私もご相伴に預かろうかね、ふふっ」

 コップやスプーン、水飴なんかを出していると店員がやって来たが、カウモアがいろいろ注文を出してバックヤードに追い返していた。

「お湯はあるからちょっと待っておいで」

 お茶用だろうポットに葉っぱを入れて、カウンターの下から取り出したヤカンのお湯を注いでる。それどこで沸かしてたんだ?カウンターの下は秘密でいっぱいだ。

 お茶をしながら水飴舐めて、女達が話に花を咲かせていると、箱いっぱいの武器を抱えて店員が帰って来た。

「お待たせしました。注文に合いそうな物を持って来たつもりです」

「拝見します」

 カウモアが1本1本手に取って、軽く振ったり眺めたりしだした。何本か交換してるのを見ていた婆ちゃんが、薄板に何やら書き込んでる。

「ファーンや、これを持っておいで」

「え?はい…。え?これですか?」

「御託は良いよ。早くおし」

 ぶつくさ言いつつ再びバックヤードに消えて行く店員さん。おやつを持って来る訳では無いだろうが、気になるな。

「ふふっ、持って来れば分かるよ」

 だって。俺もお茶飲んでカウモアが武器を振り回すのを見ていよう。そしてしばらくして、店員さんが2本の剣を持って来た。パッと見だけど良い鞘だ。

「お嬢さん、ソイツを振ってごらん?気に入ったら買ってくれると嬉しいねぇ」

「…良い物ですね」

「あんなのに比べりゃぁねぇ」

2本の剣は、白い鞘のブロードソードと、黒い鞘のツーハンドソードだ。白い方は大きさ的にも今使ってる刺突剣に斬撃を付加した感じ。黒い方は全長がカウモアの身長程もある、デカい剣だった。黒い方は振り回せないので軽く上下に揺らしてるよ。

「どちらも手放すには惜しい物ですね」

「私、武具には明るくないけど、錆びてるわよね?」

「研いだら良くなるな」

「ねえお婆ちゃん。これいくらなの?」

「ブロードソードが28万、ツーハンドソードが40万です」

 婆ちゃんの代わりに店員さんが答えた。

「悩みますね…」

「足りないなら足してやるから2本共買っちゃえよ」

「ですが、私の手は二つしか無いので三本も要りませんよ?」

「黒いのは外でしか使えなそうじゃん?けどしばらくダンジョンには行かないし、今のカウモアなら使えるだろ。白いのは普段使いにして、街用のを刺突剣にしたら良い。すぐに出し入れ出来るから使い分けたらどうだ?」

「では、少しだけ工面して頂けると…」

 俺の財布からミスリル貨を4枚、カウンターに乗せた。

「おやまあ、太っ腹じゃないか。しっかり稼いで良い子だねぇ」

「だろ?」

「ゲイン様。これは借りておきます。ゲイン様に頂く剣は、敵を殺すのには惜しい物でありたいのです」

「なら包丁の良いヤツだな」

「ゲイン、あんたさすがにそれは無いわよ?」

「冗談だよ。グェッテルラントで良いのを買ってやるよ」

「ゲイン様の包丁で手料理を食べさせる…。それはそれで、良いかと」

「おや、お前さん達、グェッテルラントに行くのかい」

「長旅よ」

「1ヶ所に留まってると冒険譚がつまらなくなるからね」

「そうかい。お前さん達の冒険譚がこっちまで届くのを期待してるよ」

 カウモアが残りの金を払い、刺突剣と黒いのを収納して白いのを装備した。

「嬉しそうね」

「新しい武器は心躍ります。早速研ぎに行きましょう」

 残ったお茶を頂いて、婆ちゃんの店を後にする。また髭もじゃの店に行くのか。だがカウモアが嬉しそうなので何も言うまい。

「また来たか。どうやら掘り出しモンがあったみたいだな」

「はい。研ぎをお願いします」

「ん」

 さっきの今で寝てる事はなかった髭もじゃ親父が、カウモアから受け取った剣をふんふん言いながら見てる。ツーハンドソード片手持ちするのかよ…。

「ガントレットは鉄か?」

「はい」

「金を用意して待っとれ。600だ」

 なぜガントレットの事を聞いたのだろう?思案顔してる俺を見てカウモアが答えてくれた。

「剣は時にブレードを持って、ガードやボンメルで殴ったり引っかけたりするのですよ」

「初耳だな。冒険者の戦ってる所は何度か見た事あるけど、そんな事してるの見た事ないよ」

「武器を持つ人型の敵には有効なのです。それに、持つ時も、ブレードを持ったり、手を添えて構える事があるのですよ」

「へえ。いろんな使い方があるんだな」

「なんで冒険者はそれしないの?」

 タララの質問はもっともだが、あまり使う必要がないってのが答えだろうな…って思っていたら、カウモアはそう言う使い方を知らないからでは?と答えてた。それもまたもっともだ。少なくとも皮装備ではちょっと出来ない芸当だ。

 シュリーーンとした音が消え、髭もじゃ親父が戻って来た。

「研ぎ上がったぞ。金を払って振り回して来い」

 カウモアが支払いをして店を出る。向かうは東門を抜けた空き地だ。正確には集団で討伐に行く時とかに集まったり、門前での野営時に煮炊きをしたりする所なのだが、この時間なら門番さんが見てるだけだ。

「ゲイン、お腹空かない?」

「みんなはどうだ?」

「まだ平気よ?」「問題ありません」

 太陽はまだてっぺんじゃないし、さっきお茶して水飴食ってたろ?タララには少しだけ我慢していただこう。

 ブロードソードをスラリと抜いて、じっと刃を見るカウモア。すごく様になってるな。そしてブンブン振り回す。さっき言ってた鍔で殴るのはどうした?ひとしきり斬ったり突いたりして鞘に収める。

「どんな感じだ?」

「ええ、振りやすいですね。バランスはそれなりに合っていると思います」

 ブロードソードを収納し、今度はツーハンドソードを取り出し抜き放つ。さすがに長い事片手で持つのはしたくないみたい。刃を見て、構えて、縦横斜めと振っていく。横や斜めはスムーズだが、縦の斬り下しは止めるのが大変そうで2~3度試してチョイスから外していた。

「ふう~…。少し慣れが必要ですね」

「重いとか?」

「それもありますが、剣戟の隙が多過ぎます」

 そう言って、左手で刃を掴む構えを取った。槍を持つ構えだな。

「そう持つと私のと変わらないわね」

「そうですね。切り払う範囲が違うだけですね。ですがアリは刃を持って殴らないでくださいね。グローブが切れてしまいますから」

「そうならないように立ち回るわ」

 刃を掴む構えから、突いたり鍔で殴ったりとしているのを見ると、ブロードソードより間合いが狭くなったように見える。持ち変えれば3つの間合いで戦えると言う訳か。

「ゲ~イン~」

 タララのお腹は限界らしい。朝飯あんなに食ったのに。カウモアの素振りが終わったので、武器を持ち替え街に戻った。そしてギルドの脇道に入り、ギルド直営宿の食堂へ。


 昼飯にはまだ少し早めなので、席は結構空いていた。円卓に陣取り飯にする。

「明日なのね…」

 ソーサーを千切り食うアリが独り言ちた。明日から野宿もあると思うと俺も緊張するな。外にはゴブリンやオオカミ、猪や熊が出る。寝ている俺に鎧着たまま抱き着いて来る熊も出るだろう。

「できる事をやって行こうな」

「楽しみでもあります」

 国をまたげば追っ手も減るだろうし、本当の意味での自由を手に入れられるのが嬉しいと言うカウモア。

「そうね、その考えの方が気が楽よね」

 命の危険は逆に増えるんだけどな。早いうちに2人には野盗を狩らせておきたい。

「あ、ゲインさん。今日はここですか」

「こんにちは。しばらくですね」

 食事も終わりに近づいて、昼休みになったメロロアが現れた。マーローネも一緒だ。円卓に合流して注文を始めた。

「ゲインさん。明日から街を離れるようですが、どちらに向かわれるのですか?」

 マーローネが聞くが、メロロアは教えてないのか?

「メロロアが言わないなら秘密にしといた方が良いのか?」

「そうですね。秘密にすべきでしょう」

「だそうだ。なんでか分からんがな」

「街に着けば分かるでしょうから今は聞かない事にします。旅の無事を願っていますね」

 Cランク以上の冒険者は強制依頼があり、各街の冒険者ギルドでは所在の確認が義務化されている…、と冊子に書いてあった。きっと何らかの方法で情報を共有出来るのだろう。
 メロロア達の料理が揃うのを見て俺達は食堂を出る事にした。

「ゲインさぁ~ん、行かないで~ん」

「混んで来たからな。いつまでも居ると女将さんに悪いだろ」

「あたいまだまだ食べられるよ?」

「残って食ってっても良いが、宿に戻って昼寝したら干し肉作りするぞ?」

「私とアントルゼで挟みますので、悪しからず」

「たまには良いわ。こいつ変な事しないし。されてはいるみたいだけど」

「ぐぬぬ…」

「ねえゲイン、抱き着かれて寝るのってどんな気分?私でも平気かしら」

「ゲインさん…。あまり大っぴらな場所でそのような…」

 俺は何も変な事は言ってない。言ってるのはアリと牛だ。目を閉じたマーローネの眉間にシワが寄ってるが、それ冤罪だろ。

「タララ、足りなかったら宿の食堂で食べたら良いだろ?」

「あ、そだねっ。宿に帰ろ」

 食に盲目なタララは、食い物の事になるとこんな事も思い付かなくなるのだ。こっそり注いだ魔法の水を飲み干すと、メロロア達と別れて宿へと帰った。

「さて、干し肉でも作るとするかね」

「ゲイン、寝るんじゃ無かったの?」

 部屋に戻った俺達は、アントルゼの板をベッドに敷いて、干し肉作りをしようかと準備する。寝ないならなんか食べて来る、と言ってタララは1人で食堂に降りてってしまったが、俺は寝ないとは一言も言ってない。

 調味液に漬け込んである肉を、水分を軽く切って板にみっちり隙間なく乗せて行く。アントルゼとカウモアが成形を手伝ってくれた。脱水は、31枚なので2回に分ける事にした。端まで敷き詰める事はできるが、そうすると汁がベッドに流れてしまうかも知れんのだ。

「デリートウォーター」

「相変わらず威力が高いわね。喉が渇くわ」

 ヤカンに水とコップを出して、好きに飲んでくれ。木のナイフでキレイに剥がすと1枚の大きい片干し肉となった。タララが見たら喜びそうだな。一旦片干し肉を仕舞い、2枚目の生肉を敷いて行く。これも片干し肉にしたら2枚並べた。

「アントルゼ、1回頼むわ」

「分かったわ」

 アクセサリーを貸し与え、アントルゼのデリートウォーターが肉の水分を抜いて行く。表面はカサカサになったな。ナイフで端を切って食ってみる。…タララにやらせた時よりは硬いか?日持ちさせたいからこれで良しとする。大きめにバラして食料品箱に仕舞っておこう。

「はい、アクセ返すわ。で、お昼寝するの?」

「するぞ?」

「準備は出来ております」

 カウモアはいつの間にか寝間着に着替えてた。まあ、金属鎧だったからな。分からなくもないが、アントルゼは鎧のままなんだぜ。

「私も着替えるわ」

「俺もだな。鎧で寝るのは外だけにしたい」

 2人並んで着替え出す。脱いだ鎧を収納し、ヨレヨレに着替えて横になると、すかさずカウモアが片方の腕を占有した。そこに寝間着になったアントルゼが加わった。

「……誰が布団かけるんだよ」

「それに狭いわ」

「それはそれで、ですがベッドを寄せましょう」

 一応だが、毎朝ベッドの位置は戻してるんだ。いつ出て行く事になるか分からないからな。食後に宿賃払ってるので、追い出される事は無いけどさ。

 カウモアの力は今の所これにしか役立ってない気がする。ベッドを押し付け俺は真ん中、左右にアリと牛が寝そべった。マスク、外せよ…。

「あんたの腕、暖かいわね」

「それより布団かけてくれよ。もしくは腕を離せ」

「仕方ありませんね、しばしお待ちを…」

 渋々と言った感じで毛布を取って、俺とアントルゼにかけていく。そしてしれっと俺の毛布に入って来る。

「毛布」

「カウモア、おいたが過ぎると機嫌を損ねるわよ?」

「つい甘えてしまいました。申し訳ございません」

 一番甘えてるのはお前だぞ?くっ付いてから微動だにしてないじゃないか。俺は移動したから微動だにしてるし…なんて言ったらこいつもか。

「たまにはくっ付いて寝るのも良いわね。暖かいし」

「心を豊かにします」

「もしかして、ゲインが暖かいから2人はくっ付いてたの?」

「…そうです」

 違うのか。熱出して冷ましてもらったっぽいから強くは言えん。大きくて柔らかいのと、大きくなくて柔らかいのが腕を包み、とっとと寝息を立て始めやがった。もう良いや。俺も寝よ…。

「ゲイ~ン、あ~けて~」

 寝かせて貰えなかった。部屋の外では暴食したであろうタララがドアを叩く。

「離せ。ドアを壊されたら高く付く」

「…仕方ありませんね」

 カウモアが折れて俺から離れ、ドアを開けてくれた。

「あ!お昼寝してる!?」

「寝ないとは言ってないからな?肉を干すなんて10リットもかからないんだから」

「あ、あたいも寝るんだからっ」

「着替えて寝てくださいね。明日からは嫌でも鎧で寝るのですから」

「ぐえ…」

 タララが着替える隙をつき、俺の横をキープするカウモアであった。

「あたいの場所が無~い~」

「たまには私に譲りなさいよね?暖かくて良いわねコレ」

 俺はコレか。タララは諦めて他のベッドに潜り込んでしまった。

 夕方まで昼寝をしてゆっくり過ごし、風呂に入って夕飯食べて部屋に戻って来た。ベッドに座ってチップでも千切ろうかとする俺の膝を枕にするタララは少し邪魔だ。髪をくしゃくしゃしながらアリのチップに噛み付いた。

スキル : 肉体強化 肉体強化☆ 肉体強化☆

肉体強化 : 肉体に関わる能力を強化するスキル。体力、腕力、脚力、が僅かに増し、更に少し増し、更に少し増す。

 300枚分が100枚で済むのでとても効率的。普通なら極僅かからだから3000枚分だな。

「強くなったぁ?」

「今ならお姫様抱っこできると思うぞ?やってやるから頭を下ろしてくれ」

「うん…」

太ももから頭を下ろし、膝を立てるタララに腕を差し込んで力を込めた。

「…上がんないね」

「腕力が少し上がった程度じゃダメみたいだな。トータルでは極大まで上がってるはずなんだが」

「姿勢が悪いのかと。もっと密着して抱え上げるべきでしょう。タララ様も、腕をゲイン様の方に回す感じで」

「こ、こうか?」

「ゲイン、近いよ」

「赤くなるなよ。こっちまで恥ずかしくなって来る」

「怪我等して歩けなくなった者を搬送する時に、そんな事言ってはいられませんよ?」

「そう言う時は、おんぶしたいぜ…。タララ、行くぞ?」

「ん、うんっ」

 力を込めて持ち上げる。中々の質量だが密着したからかなんとか上げられた。

「なんか怖いよぉ」

「俺もだ。降ろすぞ」

 慎重にタララを降ろす。とは言え高々30ドン程度の高さなんだがな。しかし、ベッドに降ろした反動で、おっぱいに顔を埋めてしまった。

「ゲイン、そっちが目的?良いけど…」

「すまん。降ろすのも慣れないと難しいのな」

「では次は私が。私の方が背が高いので持ち上げ辛いかと思いますが、どうぞよろしくお願いします」

「カウモアさん、まさかそれが目的?」

「緊急時の搬送方法は知っていて損は無いと思いますよ?」

「ん~。じゃあ交代する~」

 口車に乗せられたな。




現在のステータス
名前 ゲイン 15歳
ランク C/E
HP 100% MP 97%
体力 D
腕力 E
知力 E
早さ D-
命中 E-
運 D

所持スキル
走る☆☆ 走る☆☆ 走る 走る 走る
刺突☆☆ 刺突
硬化☆☆ 硬化 硬化
投擲☆☆ 投擲
急所外物理抵抗☆☆
飛躍☆ 飛躍
木登り☆
噛み付き☆☆ 噛み付き 噛み付き
肉体強化 肉体強化☆ 肉体強化☆
腕力強化☆ 腕力強化 腕力強化
脚力強化☆ 脚力強化☆ 脚力強化
知力強化☆
体力強化☆ 体力強化 体力強化
ナイフ格闘術☆ ナイフ格闘術
棒格闘術☆
短剣剣術☆ 短剣剣術☆
避ける☆
魅力☆
鎧防御術
察知
探知
マジックバッグ
マジックボックス

鑑定☆ 鑑定
魅了
威圧
壁歩き

水魔法☆ 水魔法
|├ウォーター
|├ウォッシュ
|└デリートウォーター
├ウォーターバレット
├ウォーターウォール
└ボーグ

土魔法☆
├ソイル
├サンド
└ストーン

火魔法
├エンバー
├ディマー
└デリートファイヤー

所持品
革製ヘルメット
革製肩鎧
革製胴鎧
皮手袋
皮の手甲
混合皮のズボン
皮の脚絆
水のリングE
水のネックレスE

革製リュック
├草編みカバン
├草編みカバン2号
├紐10ハーン×9 9ハーン
└布カバン
 ├冊子
 ├筆記用具と獣皮紙
 ├奴隷取り扱い用冊子
 └木のナイフ

革製ベルト
├ナイフ
├剣鉈
├剣鉈[硬化(大)]
├解体ナイフ
└ダガー

小石中☆500
小石大☆450
石大☆20

冒険者ギルド証 0ヤン

財布 ミスリル貨235 金貨11 銀貨8 銅貨9
首掛け皮袋 鉄貨74
箱中 997,435→980,435ヤン 
ミスリル貨 金貨85 銀貨118 銅貨124 鉄貨35 砂金1250粒

マジックボックス
├箱
|└シルクワームの反物×33
├未購入チップ各種箱
├医薬品いろいろ箱
├食料箱×2
├調理器具箱
├ランタン箱
|└油瓶×10 9.4/10ナリ
├竈、五徳
├蓋付きバケツ大
├テントセット
├マット×4
├毛布×4
├洗濯籠
|├耐水ブーツ
|└耐水ポンチョ
└宝石
鉄兜
肩当
胸当
腰当
上腕当
ゲル手甲
ゲル股当
帆布のズボン
脛当
鉄靴
熊皮のマント

籠入り石炭0
石炭86ナリ

ランタン
油瓶0.3/0.8ナリ
着火セット
服箱
├中古タオル
├中古タオル
├未使用タオル×2
├中古パンツE
├パンツ
├未使用パンツ×2
├ヨレヨレ村の子服セットE
├サンダル
├革靴
├街の子服Aセット
└街の子服Bセット

スキルチップ
ハシリウサギ 0/4521
ウサギS 0/1
ウサギG 0/1
ハシリトカゲ 0/3166
ハシリトカゲS 0/1
ハチ 0/2859
ハチS 0/1
カメ 0/3459
カメS 0/1
ヨロイトカゲS 0/2
石 0/1861
石S 0/1
スライム 0/2024
オオスズメ 0/1573
トンビS 0/4
フォレストモンキー 0/972
ウルフ 0/1070
カラードウルフ 0/1
ワニS 0/1
グラスベア 0/1
ラージアントワーカー 0/100
ラージアントソルジャー 0/100
蝶 0/204
花 0/161
腕 0/541
腕S 0/1
腕G 0/1
脚 0/650
脚S 0/101
脚G 0/1
頭 0/576
体 0/523
体S 0/1
体G 0/1
棒 0/627
ナイフ 0/640
ナイフS 0/1
短剣 0/352
短剣S 0/100
鎧S 0/1
袋S 0/1
箱G 0/1

水滴 0/446
水滴S 0/1
立方体 0/525
火 0/4

魅了目S 0/1
威圧目S 0/1
ドクハキヤモリ 0/1
頭三本線S 0/1
頭三本線G 0/1
眼鏡S 0/100
眼鏡G 0/1
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?

つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。 平民の我が家でいいのですか? 疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。 義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。 学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。 必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。 勉強嫌いの義妹。 この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。 両親に駄々をこねているようです。 私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。 しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。 なろう、カクヨム、にも公開中。

異世界で引きこもり生活を始めたら、最強の冒険者になってしまった件

 (笑)
ファンタジー
現代日本で引きこもり生活を送っていた大学生、翔太。ある日、不慮の事故で命を落とし、異世界に転生する。そこで、美しい女神から「この世界で第二のチャンスを与えます」と告げられ、強制的に「チート能力」を授けられる。翔太は引きこもり生活を続けたいと考え、異世界の小さな村の外れにある古い屋敷に住み着く。翔太は「物質生成」と「魔力操作」の能力を駆使して、屋敷を快適な引きこもり空間に改造し、理想的な生活を送る。しかし、村が魔物の襲撃を受けると、村人たちはパニックに陥り、翔太も不安になるが、彼は自らの能力を使って村を救うことを決意する。翔太の勇敢な行動により、彼は村の英雄として称えられる。その後、翔太は美しい剣士エリナと出会う。エリナは翔太の能力に興味を持ち、一緒に冒険することを提案する。最初は引きこもり生活を続けたい気持ちと、新しい仲間との冒険心の間で揺れる翔太だが、最終的にはエリナと共に旅立つ決意をする。旅の途中で翔太とエリナは謎の遺跡に辿り着く。遺跡には古代の力を持つアイテムが隠されており、それを手に入れることでさらなるチート能力を得られる。しかし、遺跡には数々の罠と強力な守護者が待ち受けており、二人はその試練に立ち向かう。数々の困難を乗り越えた翔太は、異世界での生活に次第に馴染んでいく。彼は引きこもり生活を続けながらも、村を守り、新たな仲間たちと共に冒険を繰り広げる。最終的には、翔太は異世界で「最強の冒険者」として名を馳せ、引きこもりと冒険者の二重生活を見事に両立させることになる。

【完結】魔力・魔法が無いと家族に虐げられてきた俺は殺して殺して強くなります

ルナ
ファンタジー
「見てくれ父上!俺の立派な炎魔法!」 「お母様、私の氷魔法。綺麗でしょ?」 「僕らのも見てくださいよ〜」 「ほら、鮮やかな風と雷の調和です」 『それに比べて"キョウ・お兄さん"は…』 代々から強い魔力の血筋だと恐れられていたクライス家の五兄弟。 兄と姉、そして二人の弟は立派な魔道士になれたというのに、次男のキョウだけは魔法が一切使えなかった。 家族に蔑まれる毎日 与えられるストレスとプレッシャー そして遂に… 「これが…俺の…能力…素晴らしい!」 悲劇を生んだあの日。 俺は力を理解した。 9/12作品名それっぽく変更 前作品名『亡骸からの餞戦士』

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]

ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。 「さようなら、私が産まれた国。  私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」 リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる── ◇婚約破棄の“後”の話です。 ◇転生チート。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。 ◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^ ◇なので感想欄閉じます(笑)

仰っている意味が分かりません

水姫
ファンタジー
お兄様が何故か王位を継ぐ気満々なのですけれど、何を仰っているのでしょうか? 常識知らずの迷惑な兄と次代の王のやり取りです。 ※過去に投稿したものを手直し後再度投稿しています。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

あれ?なんでこうなった?

志位斗 茂家波
ファンタジー
 ある日、正妃教育をしていたルミアナは、婚約者であった王子の堂々とした浮気の現場を見て、ここが前世でやった乙女ゲームの中であり、そして自分は悪役令嬢という立場にあることを思い出した。  …‥って、最終的に国外追放になるのはまぁいいとして、あの超屑王子が国王になったら、この国終わるよね?ならば、絶対に国外追放されないと!! そう意気込み、彼女は国外追放後も生きていけるように色々とやって、ついに婚約破棄を迎える・・・・はずだった。 ‥‥‥あれ?なんでこうなった?

処理中です...