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ダンジョンに潜って驚くのは敵が居る事より人が居る事なんだよな

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 すっかり良くなり水を飲んで居ると森の中から3人が走って来た。

「おかえりー」

「ゲイン!手伝って!」

「熊が釣れすぎたの!」

 上半身の鎧は仕舞いっ放しですぐには着られない。枕にしてた熊皮を羽織って抜剣、加勢する。

「射線に入るなよ?石畳の前で出来るだけ引き付けろ」

「おうっ!」「頼むわよ?」「お願いします」

 熊は総勢12匹。よくもまあこんなに釣って来たもんだ。ブロック1つを置いて上に乗り、両手をかざして集中!
 熊が立ち上がろうとしたその瞬間、横に6個、縦に2列の12個のブロックを躱されない間隔で一気に射出した。

「退避!」

 3人が石畳の中に入り、熊は威嚇しか出来なくなった。手出し出来ない相手に容赦は不要。みんなでブロックを撃ちまくり、12匹の熊は煙となった。

「みんな、怪我は無いか?」

「ないよー!」「疲れたわ!」「ありません」

 3人を休憩させて、ブロックとドロップを回収する。魔石10個のチップ6枚。100枚集めるのも大変だな。
 感知系スキルで見回すと、ここら辺一帯の熊は狩り尽くしたみたいで、遠くの方にぽつりぽつりと居るのが分かった。今日はこの辺にしといてやろう。

「水は足りてる?」

「だいじょーぶ」「問題無いわ」「ごちそうさまでした」

「残ってる熊も少ないし、着替えたら下に降りてアリの巣まで行こうか」

「マントでいーじゃーん」

「寒くなったら着て寝るよ」

 汗で濡れた服を体ごとデリートウォーターして鎧を着込む。ブロックを分配し、やかんなどを片付けたら階段を降りるぞ。


 階段を降りて広めの部屋、その向こうは通路があってエリアボスの部屋となっている。

「今日はこの奥で寝たいと思うがどうだ?」

「この下は武器の良いコボルドでしたね」

「エリアボスと箱部屋と熊狩り…って考えてるけど、どうかね」

「アリの巣までは行かないのね」

「行ける所までって事か。そうだな。進んでみて考えようか」

「さんせ~」

 タララを先頭に通路を進み、部屋に入ると同時に走り出す。広い部屋の中央に魔法陣が現れた。

「よし、正面三方からよく狙ってけー」

「あたいは?」

「後ろから引っぱたけ」

「おーう」

 魔法陣から角が出て、タララの攻撃が始まる。盾を仕舞ってガッキンガッキン角を叩いて1本破壊。頭頂部が見えて来たら脳天に容赦ない打撃が浴びせられた。

ガツッ!ガツッ!ガツッ!グチャッ!ベシャッ!ベシャッ!

 岩を叩くような硬い音が雑巾を叩くような音に変わり、タララがびちゃびちゃのべちゃべちゃになって行く。決着が早そうなので俺も出る

「剣で出る!2人は警戒して待機」

「はい」「了解」

 砕いてない角に向かい、まずは剣鉈で斬り付ける。

カスッ…。

 当たってるんだが、奥まで斬れてないので切れてるように見えない。角度を変えて数回斬り付けるとようやく落ちた。
 死んだ目をした目が現れ、鼻血を垂らした鼻が出て、トドメを刺せと首が出る。剣鉈を思い切り振り回すと抵抗無く首が斬れ、大量の血を浴びるはめになった。温かくて、臭い。そして歩くと滑る。反対側に回って頸動脈を…とした所で煙となった。血や斬った角も煙になったよ。洗う手間が省けたが、俺とタララは煙でもくもくしてるぞ。

「お疲れ様」「お疲れ様です」

「ちょっと前が見えないからドロップを探しといてくれ」

「汚れは無くなったけど気持ち悪いよぉ~」

「俺もだ。煙が晴れるまでちと待っとれ」

 もくもくから解放され、牛とアリがドロップを持って来た。魔石と腕の金チップだ。後98枚か…。

「箱もありますがまだ触ってません」

「タララ、開けるか?」

「また魔石とか出たらやだよぉ」

「さすがにそれは無いだろ」

「ゲインが開けて金チップ1万枚とか出せばいーんだ!」

「それはそれで一財産ね。面白そうじゃない?」

「よーし、チップだったら明日の熊とアリ退治はお前達だけで殺れよ?俺チップ千切るから」

「あいよ!」

「一財産なのにね」「値崩れしかねませんし、それもありかと」

「よし、開けるぞー。チップ出ろ~いっぱい出ろ~~」

 出た。とは言え1万枚は無くて、少しほっとした。腕金チップ99枚。ドロップ含めて1000万ヤンだ。

「一財産ね」

「タララ…」

「ん?」

「これ、使えよ」

「そんなの使ったら、ハグした時に絞め殺しちゃうかもよ?」

「ゲインは使わないの?」

「武器が良いからそこまで腕力に頼らないんだよな。殴打を強くするのはやっぱり腕力だし、タララに使って欲しいかな」

「タララ様はたまに頑なになりますね」

「だって飽きちゃうんだもん」

「…なら牛、使うか?」

「刺突剣にも腕力は…、なるほど。剣種を増やせと言う事ですね」

「エリートの雑魚から良さそうな剣も出るし、刺突は死に難いからなー」

「ではゲイン様の愛100枚、謹んでいただきます」

「その言い方は酷いよー」

「腕金は腕力大幅だ。100枚で極大になると思う」

「き、極大…」

「無視すんなもー!」

「休憩しながら千切ってくれ。タララはこっちだ」

「ん?」

「ウォーターウォールで鎧ごと洗っちまおう」

「ここで水浴びすんの?」

「鎧のままでな。乾かすから大丈夫だ」

「それ濡れて乾くだけじゃーん。後でゆっくり入るから乾かすだけにして!」

 わがままさんめ。2回かけるのは勿体ないので手を繋いでかける。手を繋ぎ、目と目が合って、デリートウォーター。

「うっ、尻尾がふわっとした」

「それはなにより。水飲んで休もう」

 牛が腕金100枚千切り、極大の腕力を手に入れた。刺突剣を軽く振るって感触を確かめているが、全力で振ったら壊れてしまいそうだと言う。タララの盾を持たせてみたら、重いと言いつつしっかり構えを取っていた。

「あたいの仕事がなくなるー」

「さすがにこれを持っては戦えませんね、お返しします」

 牛は空気を読める子か。それにしても具体的にいくつ腕力が上がったのだろう?タララの盾を使えるくらいだし、CからB-くらい上がったのだろうか。

「牛の腕力はどれくらいだ?B-とかBになったりした?」

「は?いえ、家を出てから測ってはおりませんが、騎士団の入団試験での腕力は38でした」

「ん?38?DとかCとかでなく、数字?」

「ゲイン様、A+からF-の文字は素質ですよ?」

「え!?」「初めて聞いたよ?」

「私は興味なくて聞き流してたのだけど、成長の伸び?だか何やらがうんぬんって言ってたわ」

「はい。素質次第で成長に差が生じます。F-とA+で同じ働きをしても、成長の差は数倍変わるとされています」

「ギルドでは教えてくれないぞそんな事」

「素質より真面目かどうかですよ、ゲイン様」

「素質とか関係なしにお金儲けできるしね」

「ゲインって、そう言うの気にしてたんだ~?」

「そりゃあなあ。チップを千切ってどれだけ効果が出たのかって、気になるだろ?」

「目安にはなりますね。訓練をして、結果に一喜一憂する騎士も多かったです」

「ちなみに、どうやって測るんだ?」

「重い物を持ち上げたり、走った速さを測ります」

「うへー、めんど~そ~」

「魔道具とかでお手軽に…とは出来ないんだな」


 少し長めの休憩を終えて、階段を降りる。降りた先はアリの巣だ。前回来た時と変わらないくらいの働きアリが俺達の前を動き回っていた。

「女王が復活したのかしら?」

「感知系スキルで見てみよう」

 4人が感知系スキルを使い、巣の中を見る。

「箱があったわ。前の場所と一緒ね」

「階段の場所にはちっちゃい反応しかないねー」

「卵でしょうか、密になった場所があります」

「女王は居ないみたいだな。それなのに卵はあるのか…」

「まずはこのアリ達を減らさないと行けないわね」

「あたい、お休み?」

「回収頑張れ」

「あ~い」

 タララは手持ちの石を全て出し、アリ、俺、牛と石畳の縁に並んで、狙いを定めて撃つ。アリの射撃も思い切りが良くなって、しっかりと殺れるようになって来た。1発で殺れない事もあるけど2発目でトドメを刺せるし良い感じだな。
 通路に石と魔石とチップが敷き詰められて1回目の弾切れとなった。ウォーターウォールで通路の2ヶ所を塞いだら、水を飲みだすアリに向かってブロックを撃ち、まとめて煙に変える。さあ回収だ!

「ねえゲイン、最初からブロック使えばあたいでも殺れたよね?」

「通路が埋まっちゃうだろ?」

「そうだけどさー」

「タララの範囲射撃は強いけど、弾切れも早いから回収の回数が増えちゃうんだよ」

「あたいも役に立ちたーい!」

「今役に立ってるぞ。ほれ拾え拾えー」

 盾を使ってドロップ等をかき集めて来たのを3人で一気に収納する。役立ってるぞ盾。回収し切れなかったチップを拾って水壁を消し、再びアリを撃つ作業。アリが少なくなって来た所で通路に出て、ガンガンうぉりぁーっとウォークライでアリを呼ぶ。役立ってるぞタララ。

「あのアリちょっと違う」

「兵隊アリだな。俺が殺ろう」

 他のアリより顎がイカつく、体も一回り大きいヤツが来るようになった。早速射撃をしてみるも、一撃では殺り切れないぞ?ブロックを叩き付けると壁に挟まれ煙となった。

「結構硬いな。アレを殺るならブロックを使おう」

「あたいもやるー」

 兵隊アリをタララに任せ、通路をブロックだらけにしたら2回目の回収だ。水壁で通路を塞ぐと、兵隊アリも水を飲んでるようだ。先に総出でブロックを回収し、残ったドロップと石をタララが盾で集めて来るのを3人で回収。ブロックを投げた分、ドロップが少ないな。

「見た目に少なくなったわね」

「あたいのせい、かな?」

「兵隊アリが強いからだよ」

「魔石も少し大きいかと」

白のラージアントソルジャーのスキルチップ

使用する事で肉体強化スキルを取得できる。
体力、腕力、脚力が増す。

スキル : 肉体強化 肉体強化☆ 肉体強化

肉体強化 : 肉体に関わる能力を強化するスキル。体力、腕力、脚力、が僅かに増し、体力、腕力、脚力、が少し増し、体力、腕力、脚力、が僅かに増す。

 同じ種類のアリでも職が違うと重複するのか…。絵柄は顎の先っちょが伸びてるかどうかしかなく、効果も同じ。混ぜたら面倒な事になるな。みんなにも兵隊アリのチップを使わせて、3回目の虐殺が始まる。
 タララはブロックを撃ちながら、金棒の届く範囲のブロックを回収したり働きアリを殴ってる。牛は剣の鞘にタオルを巻いて外に出し、寄って来たのをブロックや石で煙に変えた。俺の剣鉈では間合いが足りず、アリの棒では攻撃力が足りなくて石を投げる事しか出来ない。俺も長い武器が欲しいな。

「ゲイン、私が役立たずになるわ!何か無いの!?」

「あれば俺がやってるよ」

 俺とアリがちまちまと石を消費し、目に見えて、そして感知系スキルでも数を激減させて弾切れとなる。

「私がウォーターウォールするわ。アクセサリー貸してちょうだい」

 役に立ちたいのか、アリが魔法を使うと言う。俺も温存したいので断らない。2枚の水壁が通路を塞ぎ、回収の時間だ。

「慣れてきたね~」

「タララの殺り方が上手いからだな。カウモアもよく思い付いたな」

「うひひ」

「匂いか動きか、とにかく視力に頼らず敵を見分けているようでしたので。上手く行って何よりです」

「私もそう言うのしたいわ。アクセサリー返すわね」

「街に帰ったら武器を新調するか。アントルゼに合う武器が有れば良いがなー」

 回収が終わったが、水壁の向こうで水を飲むアリは左右合わせてたったの3匹。感知系スキルで見てもポツポツとしか居なくなった。そろそろ潮時だろう。

「箱を開けて下に行くか。ここじゃトイレが作れないからな」

「あーい」「そうね」「了解です」

水壁を解除して3匹を殺し、右側の通路をブロックで塞ぐ。通路を進み、出くわしたアリを屠り、壁を切り取りながら箱のある部屋へと向かった。

「ここの箱は何で小さいんだろね?」

「大きい物が入らないようにしてるのかもな」

「大きい箱も見てみたいわね」

「鎧や武器は大きい物が多いですし、そのような物が入っているかも知れません」

「みっちりチップが詰まってたりな。ではカウモアよろしく」

「はあ…」

 箱を開け、中身を見る牛の表情は分からない。分からないが、良い物のようだ。

「金目の物ですね」

 取り出したのはティアラだった。透明感のあるキレイな石が散りばめられた銀色の頭装備。見た目的に男用では無いな。

「多分だけど、プラチナね。石も良いのを使ってるわ」

「銀じゃないのか」

「金より高価よ?鑑定してみなさいな」

王女のティアラ
頭装備。プラチナの土台に純度の高い宝石を贅沢にあしらっている。

「王女のティアラ、だってさ」

「どこの国のよ」

「アリの国じゃない?」

「アリの国か…。アントルゼ、着けてみ?」

「私の手持ちじゃ買い取れないわよ…」

 なんて事言いながら、アリの頭にティアラを着けて、アリ王女になったアリ。何とも偉そうでキレイだ…あ?

「それ、何か効果が付いてるな」

「そうですね。威厳を纏っていますね」

「今まで威厳がなかったみたいな言い方ね。確かになかったとは思うけど」

「アリちゃんが可愛く見えるよ」

「元々可愛いハズなんだけど?」

「そう言う効果も付いてるのかもな。魅力みたいな」

「威厳と魅力ねぇ」

「アリちゃん、ここに金塊があるの…」

 買おうとするな。1億ヤンだぞその金塊。

「そんな重いのいらないわよ。売れないし…あれ?んっ…あれ?」

「どうした?」

「…取れなくなっちゃった」

「マジかよ…。マスクは外せるか?」

カパッ

「良かった、こっちは外せるわ」

「アントルゼの威厳が消えました」

「…はい。ちょっと汗臭いかもだけど…」

「それ無いと街に入れないじゃん!あは~んゲインがアリちゃんにメロメロにされちゃう~」

カパ

「げ、ゲイン。私の事、好きになっ…ちゃった?」

「なるか!まあ、大事なパーティーメンバーだがな」

「だ、そうよ。良かったわね、…ふぅ」

「あ~は~ん、良かったよぉ~」

 取れなくなっちゃったモンは仕方ない。解呪するとなると金もかかるし、どっちか壊れるかも知れないのでひとまず保留とした。そしてタララが抱きついて来て離れない!はーなーせー!
 へばりつくタララの兜をひっがしてゲンコツ一撃。涙目のタララを無視して先に進む。仕事と恋愛の両立は、この場所では命に関わるって、どうしたら分かってくれるのか…。が、先に進み出して変化があった。アリが寄って来ないのだ。普通ならこちらが目で見える距離になろうものなら走って突っ込んで来るのになぜか歩いて離れてく。

「ゲイン様、もしかして…」

「…かも、知れんなぁ」

「私の威厳に恐れをなして…るんじゃ無いのは分かってるわ。コレのおかげよね」

 アリの頭に輝くティアラ、多分これの効果だと思う。戦わなくて済むのは大いに助かる。すんなり階段を降りる事ができた。

「さて、ここを抜けるかどうかだが、意見を聞きたい」

「行ったら良いじゃない」

 牛とタララは答えない。牛は俺の言いたい事が分かるようだ。

「敵の来ない場所ならいざ知らず、敵のいる場所で気を抜くヤツを連れて進むのは危険だと俺は思う。それでも先に進むのかって話だ」

「ああ、そう言う事ね」

「アントルゼの効果でアリが近付かなくなっていたし、俺達には感知系スキルがある。それでも気を抜くのはどうかと思うぞ」

「…ごめんよう」

「出来れば外の時間がわかるヤモリの階まで行きたいですね」

「そうだな。どうしたらこの恋愛馬鹿に、ダンジョンと言う場所が仕事と恋愛の両立出来ない場所だと言う事を分かってもらえるのか」

「契約書でも書かせる?家以外でゲインにくっ付いてはならない…って」

「無駄だろ。死んでも抱き着いて来るさ。人は忘れる生き物だからな」

「心に焼き付ける必要がある訳ですね」

「だな。甘えてたら死ぬって心に刻んでもらおうか。タララ、武器以外の荷物を全て箱に仕舞え」

「え?」

「ここから階段を降りるまで、1人で戦ってもらう。俺達は後ろで見ているが、助けない。死んだらさよならだ」

「そんな、ひどいよ…」

「今のお前なら1人でも抜けられる能力はある。ドロップは拾ってやるから安心して戦え」

「無理だよぉー!」

「無理なもんか。敵の真っ只中で恋愛にうつつを抜かす余裕があるじゃないか」

「うう…、いやだよぉ」

「やらかしてからごめんなさいはもう嫌なんだよ!考えてくれよっ!」

「ゲイン、今日はここまでにしましょ?怒ってもお腹が空くだけだわ」

「はぁー…」

「タララ様も、反省してください」

「…うん」

 アントルゼが言う通り、腹が減った気がする。食料関係の荷物を出してお湯でも沸かそう…。

「ゲインさん、まだ夕飯には早いですよ?」

「「え!?」」

 なぜここにメロロアが!?ギルド制服で階段を降りて来た。アリは少なくなってるから何とかなりそうだがエリアボスはどうしたんだ?俺達の動揺をよそに、メロロアは飄々としているよ。

「雰囲気暗いですねー。タララさんが何かやらかし…たみたいですね」

「それより何でここだと?」

「家に死体が無かったので、多分ここかと」

「死体?」「強盗でも入ったのでしょうか」

「いえ、家が燃やされました」

「は?何よそれ」

「説明すると長くなりますが、コーツ・ジョン・ジョルタンが脱走し家を魔法で焼きました」

 ギルマスが白い女に連れ去られ、多分だが処分されたようだ。その結果、契約書の効果が消え、ジョルタンが脱走したと言う。小太り野郎は四属性の魔法を中級まで使えるそうで、それを駆使して地下牢に穴を開けて下水道へ、そこから更に地上へ出たそうだ。それが今日の午前中、俺達がダンジョンに入ったくらいの時間だろうか。
 白昼堂々家に火を放ち、貴族街に逃げ込んだクソデブはそのまま北門を潜って外に出たと言う。その後の行先は不明、鋭意捜索中だそうだ。

「置きっ放しにした箱が焼けちまったな、これは」

「折角切り出した木材も薪にされちゃったわね」

「タララさんは何か燃やされて困る物はありましたか?」

「…棍棒」

「はぁ。棍棒ですか」

「ゲインが作った、あたいの宝物!」

「まだ持ってたのか」

 俺は木を切り出して皮を剥いだだけで、棍棒にしたのは中古武器屋の親父なんだがな。

「初めて、ちゃんと稼げたの…」

「そうだったな」

「イチャイチャするのも良いですが、被害届を出すのをおすすめしますよ」

「街に戻るまでが危険だな」

「はい。なので私が来ました。まあゲインさん達なら敵が居ると分かれば負けはしないとは思いますが、相手は一応貴族ですので殺す訳にいきません」

「半殺しなら良いのか?」

「証拠が無ければ、ですね。審議の水晶でバレますのでおすすめできません」

 街の入口で触るヤツだな。そんな名前だったのか。

「よし。ならば堂々と帰ってやるか!」

「そうですね。家賃も無駄になりますし」

「門扉の修理が無駄になったわね」

「それなら急いだ方が良いですね。夕飯にはまだですが、もう午後は過ぎてますから」

 宿も取らなきゃならんので、とっとと街に帰ろう。階段を上がる俺達の後ろをトボトボタララが付いて来る。アリが来ないアリの巣を抜け、間抜けなエリアボスは首を斬って煙に変える。中身も見ぬまま箱を拾い、通路を進んで階段を上がる。罠だけ気を付け落とし穴の下へ移動して、ブロックで階段を作って上に上がったら、隠し扉を開けて左に進み、西の出入口に到着した。
 扉を塞ぐブロックを回収して外に出ると、確かに午後過ぎの明るさだ。感知系スキルで周囲を見ながら走って帰る。ゴブリンがいる。だが無視だ。走ってる俺達には追い付かないからな。
 木の門で誰何された。家が火事になったから急いでると言ってもなぜか信じてもらえない。こんな時に限って隊長さんやジェーンが居らず、知らん顔ばかりだ。カウモアが抜剣した気持ちも分かる。

「メロロア!」

「は、はい!」

「ギルド職員が説明しても通さないなら皆殺しにする!」

 緊張が走る門兵に、メロロアが説明し始める。皆死にたくないのだろう、渋々通してくれたよ。

 街の門に到着したのは閉門ギリギリだった。

「まずは宿を取るぞ」

 冊子に載ってた中級冒険者御用達の宿に向かう。大通りに面してて場所が分かりやすく、よく見てた宿なのだ。

「生憎ですがパーティー用の8人部屋しか空いてないんですよ」

「分身でもしろってか。まあ良いや、そこで」

 4階奥の部屋と言って鍵を出されるが、すぐに出かけるので鑑札を預かった。

「メロロア、家はまだ燃えてるのか?」

「いえ、既に全焼で消されております。土台と壁と消し炭くらいしか残ってませんよ」

「なら検めるのは明日で良いか。ギルドに行こう」

「ゲイン様、少し休めませんか?」

「ギルドで休めよ。違うか?」

「いえ、その通りですが…」

「やめなさい牛。これがゲインの素なのよ。普段どれだけ私達に気遣ってくれてるか分かるわ。タララ、あんた少し甘え過ぎね」

「え…」

 後ろの問答は聞かずギルドへと向かう。スイングドアの向こうではマーローネが待っていた。

「ゲインさん、ご無事で!皆さんも」

「ゲインさん、今日は上です」

 2人に連れられ、家主のいないギルマスの部屋へ通される。中には女職員が立ち、ソファーに見慣れぬ老人と付き人らしき女が座ってた。

「ゲインさん達をお連れしました」

「ご苦労。貴女達は下がっ「待てよ」…何か?」

「誰が家が焼けた詳細を説明するんだ?こっちは急いで来て細かい事を聞いてないし、焼け跡すら見てないんだぞ?」

「……わかりました。同席を許します」

「タララ、座れ。俺はゲイン。それとタララにアントルゼ、カウモアだ」

「タララです…」「アントルゼよ」「カウモアです」

「……名乗れよ」

「は?」

「初対面だろ?誰なのお前?こちらの人達はどなたなんだ?」

「わ、私はギルドマスター代行のカリヤだ。こちらは商業ギルドのギルドマスターであるギブウ様に、衛兵団支部長のラーケン殿だ」

「ギブウと申す。この度は災難だったな」

「ラーケンよ。君がゲイン君なのねぇ」

 商業ギルドのギルマスは予想できたが、衛兵の支部長だとは思わなかった。帯剣してないし、平服だし。
 名乗りも終わってメロロアから詳細が説明された。ダンジョンの中でも少し聞いたが、出火場所だったり、貴族街の門兵を殺してる事や食料品店で食料を強奪してるのは初耳だ。

「まずは家の家賃の計算と解約、燃えた私財の弁償と門扉の修繕に関わる費用について話し合わなきゃいけないな」

「それは商業ギルドとの話だな?」

「同時に被害届に関する情報でもあるんだねぇ」

「支部長殿は情報をまとめて被害届が書きやすいようにして欲しい」

「良いわよ」

「冒険者ゲイン、その話はここでするべき話なのか?」

 サブマスは今回の事件の発端を知らないのだな。

「ギルドが呼んだんだろ?ならここでしても良いんだろ?それに、ギルマスがやらかしたから賊が逃げて、奪われ、殺され、家が燃えたんだ。関係無いのはお前だけだが頑張って尻拭いしてくれよな。では説明するが、他言無用の契約できる?」

「ゲインさん、用意は出来ております」

 マーローネが3枚の契約書をテーブルに並べる。この部屋で今から始まる会話の内容を他人の目、耳に入れてはならぬ、と言う内容だ。部屋の外で覗き見や聞き耳をされていても効果が発揮されると言う。
 商業ギルドと衛兵団支部長はスラスラと、冒険者ギルドは渋々名前を書いて契約されていた。なんで冒険者を守るべき冒険者ギルドがそんな嫌々なんだよ。

「では、事の発端から話す」

 俺は全てを話した。コーツがアントルゼを性奴隷にするため私兵を伴い街に来た事。商業ギルドに紛れ込ませていたシャミノフから情報を引き出し家を割り出した事。攻撃を受け、門扉を壊すはめに遭い、ギルマスがコーツを契約して捕えた後、ギルマスが悪事を働いて白い女に連れ去られ、処分されただろう事。その後はさっき聞いた詳細に繋がると説明を終えた。

「まさか、マスターが…」

「マーローネとメロロアはその場に立ち会ってるよ。報告は?」

「「しました」」

「ふむ…。家の解約は当然だが、門扉の弁償も当ギルドだな。家財の弁償は冒険者ギルドであろうな」

「殺しや強盗の補償は冒険者ギルドに支払ってもらうよ?」

「それと、今日から住む宿代もな。日割りで9日残ってるから9日分、あの家と同じレベルの宿が無いのが残念だ」

「何で私が…」

「お前の金じゃねーだろ!」

「落ち着け若いの。ソレは頭が悪いだけだ」

「そうねぇ、ソレは鉄貨1枚損しないのにねぇ」

「では、ギルドに戻って計算させる。後日解約に来るが良い」

「私も書面にまとめるから帰るわ。こっちはこっちでやっておくから、来なくて良いわよ」

「お2人共、よろしくお願いします。今回の件があり、俺達は街を出る事にした。預金を全額降ろしたい。マーローネ、俺とタララの預金を教えてくれ」

「は、はい。…ゲインさんが、9835000ヤン、タララさんが2800万ヤンです」

「な!?」

「後9日で払ってくれ」

「ほほ、一体何を売ったのやら」

「売り渋ってるから担保にでもしたらいかがです?その代わりバレないように、ですが」

「ふむ。考えておこう」

「悪い事したんじゃないのよね?」

「それだと街に入れないじゃないですか」

 2人はニヤニヤしながら帰って行った。ギルマスの回答を待たず、俺達も帰る。




現在のステータス

名前 ゲイン 15歳
ランク C/E
HP 100% MP 80%
体力 D
腕力 E
知力 E
早さ D-
命中 E-
運 D

所持スキル
走る☆☆ 走る☆☆ 走る 走る 走る
刺突☆☆ 刺突
硬化☆☆ 硬化 硬化
投擲☆☆ 投擲
急所外物理抵抗☆☆
飛躍☆ 飛躍
木登り☆
噛み付き☆☆ 噛み付き 噛み付き
肉体強化 肉体強化☆
腕力強化☆ 腕力強化 腕力強化
脚力強化☆ 脚力強化☆ 脚力強化
知力強化☆
体力強化☆ 体力強化 体力強化
ナイフ格闘術☆ ナイフ格闘術
棒格闘術☆
短剣剣術☆ 短剣剣術☆
避ける☆
魅力☆
鎧防御術
察知
探知
マジックバッグ
マジックボックス

鑑定☆ 鑑定
魅了
威圧
壁歩き

水魔法☆ 水魔法
|├ウォーター
|├ウォッシュ
|└デリートウォーター
├ウォーターバレット
├ウォーターウォール
└ボーグ

土魔法☆
├ソイル
├サンド
└ストーン

火魔法
├エンバー
├ディマー
└デリートファイヤー

所持品

鉄兜E
肩当E
胸当E
腰当E
上腕当E
ゲル手甲E
ゲル股当E
帆布のズボンE
脛当E
鉄靴E
水のリングE
水のネックレスE
熊皮のマントE

革製リュック
├草編みカバン
├草編みカバン2号
├紐10ハーン×9、9ハーン
└布カバン
 ├冊子
 ├筆記用具と獣皮紙
 ├奴隷取り扱い用冊子
 └木のナイフ

革製ベルトE
├ナイフE
├剣鉈E
├剣鉈[硬化(大)]E
├解体ナイフE
└ダガーE

小石中391
小石大344
石大☆20

冒険者ギルド証 10,000,000→9,835,000ヤン

財布 ミスリル貨9 金貨10 銀貨7 銅貨14
首掛け皮袋 鉄貨34
箱中 138500ヤン
ミスリル貨1 金貨2 銀貨17 銅貨15 鉄貨0 お釣り0
ドロップ金(未確認)

マジックボックス
├お宝
|└箱×9
├未購入チップ各種箱
├医薬品いろいろ箱
├食料箱×2
├調理器具箱
├ランタン箱
|├油瓶×10 9.5/10ナリ
|└薬品類
├竈、五徳
├蓋付きバケツ大
├テントセット
├マット×4
├毛布×4
└ 洗濯籠
 ├革製ヘルメット
 ├革製肩鎧
 ├革製胴鎧
 ├皮手袋
 ├皮の手甲
 ├混合皮のズボン
 ├皮の脚絆
 ├耐水ブーツ
 └耐水ポンチョ

籠入り石炭0
石炭86ナリ

ランタン
油瓶0.4/0.8ナリ
着火セット
服箱
|中古タオルE
├中古タオル(使用済み)
|中古パンツE
├パンツ(使用済み)
├ヨレヨレ村の子服セット(使用済み)
├サンダル
├革靴
├街の子服Aセット(使用済み)
└街の子服Bセット

スキルチップ
ハシリウサギ 3152/4521
ウサギS 0/1
ウサギG 0/1
ハシリトカゲ 2056/3166
ハシリトカゲS 0/1
ハチ 1742/2859
ハチS 0/1
カメ 2000/3459
カメS 0/1
ヨロイトカゲS 0/2
石 4/1861
石S 0/1
スライム 1023/2024
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腕 440/541
腕S 0/1
腕G 0/1
脚 549/650
脚S 0/101
脚G 0/1
頭 475/576
体 422/523
体S 0/1
体G 0/1
棒 526/627
ナイフ 248/640
ナイフS 0/1
短剣 132/352
短剣S 0/100
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水滴 209/446
水滴S 0/1
立方体 425/525
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