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戦いは数だと本当にそう思う
しおりを挟む「どうも、冒険者になったゲインだ。仕事じゃないけど調べる事があって村まで来たんだ」
「それは、仕事をしてないって事かい?」
久しぶりに会った母さんが酷い事を言う。
「父さんが街に野菜を卸してないってジョニーさんが言ってたから、心配して見に来たんだよ!」
「なんだそんな事ぉ。お父さんなら反対側の街に卸しに行ってるよ」
「なんでよ?」
反対側の街と言うと、村2つ超えた先にある。それだけ移動に時間がかかり、生鮮は質も値も落ちる事になる。
「根物が多いし、葉物は他の人がやってるからかねぇ」
父さんが街に来ない理由は分かった。用事も済んだし、今から帰れば夕方には間に合うかな…。
「あたい!あた、わたしタララ!ゲインのお嫁さんになるの!」
「あらまあ」
タララの発言に母さんはにやにやした。
「私、エリモアと申します。ゲイン様へ生涯の忠誠を誓う騎士となる予定です」
「あら…まあ?」
大きい奴の発言に母さんは固まった。
「用も無くなったし帰ろうか」
「え!?もう帰るの?ゲインの村見てないよー」
「俺の村じゃないし、2人も用事済ませたろ?」
「ゲイン、あんた何しに帰って来たんだい?本当にお父さんの事を聞きに来たの?」
「そうだよ?それと同時に外歩きと野宿の練習。こっちの2人はまだゴブリンも殺ってないからねー。んじゃ、門番詰所と肉屋に寄るからとっとと降りるぞ?」
「あ~い…」「了解です。それではお母様、いずれまたお伺いします」
「母さん、父さんに街にも野菜を卸してって伝えといてね」
「ああ、はいよ。しっかり働いといで」
母さんに別れを告げて坂を下る。下るのも意外と疲れるのだ。
「もう帰るのかぁ~」
「村に居たって何にも無いぞ?子供に冒険譚を強請られても、俺達にはまだ話すネタが無い」
「まあねー。ゲインが馬臭くなったって言っても、ここじゃ当たり前の日常だろーし」
そんな話をしながら坂を下り、着いた家は肉屋だ。普通の家だが肉を売っている。
「こんにちはー肉を売りに来たよー」
「誰だい?」
「久しぶり。ゲインだよ」
「おやまあ。帰って来たんかい」
肉屋の爺ちゃんは留守番と言う名の店番をしていて、干したり加工するのは息子夫婦がやっている。俺が子供の頃からずっと爺ちゃんだ。
「今さっき来て、また街に帰るよ。その前に昨日狩った奴を卸しとこうと思ってね。デカいから買えるだけで良いよ」
「そうかいそうかい。品を見せとくれや」
猪の半分を出してやると驚いてた。半分だがタララの盾くらいの重さがあるからな。
「こりゃあ凄い。裏に行ってゲンダーを呼んで来とくれ」
「はいよ。お前らここで待っとれー」
家の裏には加工場があって、息子夫婦が肉を薄切りにして塩漬けにしたり、大きいまま水分を抜いたりしているのだ。加工場を覗いて声を掛け、ゲンダーさんを連れて戻った。
「これ、ゲインが殺ったのか?」
「メインはタララ。こっちの熊っぽいのね」
「熊人だよもう。それに捌いたのはゲインだよ」
「水分がしっかり抜けててそのまま売れそうじゃねーか。これなら丸で買い取るぜ」
デリートウォーターは肉屋のお墨付きを貰える程の効果があるのか。まだ半分あるけど、売り物になるなら7日は持つだろうし、食べる用にキープしておこう。
一旦仕舞って加工場へ戻り、重さを量る。皮と骨付きで58ナリ。5万ヤンになった。村では大金だが、皮も骨も買い手が付くので儲けは出るのだろう。家中からかき集めて来た銀貨と銅貨を数えて毎度あり。挨拶をして肉屋を後にした。
次はここ。門番詰所だ。木をへし折る怪物が街道沿いに出る事を報告しておかねばならない。俺達は運良く出くわさなかったけど、帰りも同じ街道を通るんだよなぁ…。
声がけして中に入るとミカさんと門番長のアロイさんがお茶してた。挨拶もそこそこに、街道での報告をすると木の板にメモを取って纏めていた。
「ゲイン、この木簡を衛兵詰所に届けてくれないか?」
「戻る足だけど、それは仕事の範疇だよね?」
「前払いでおっぱい揉ませてやろう」
「ゲイン!揉むの!?」
「揉まないねえ」
「ミカと私の2人だぞ?本心は揉みたかろう」
「アロイさん。俺はもう、冒険者なんだよね」
「大人になったもんだな。あんなに可愛かったのに…」
「可愛かったんだ…?」
「お聞きします」
「聞かなくていいから」
「受けてやりなさいよ。この人達は可愛いゲインちゃんが街でご飯食べられなくても良いって事なんでしょ?早く揉んで帰らないと走っても間に合わないわよ?」
「お嬢ちゃん、痛いとこ突くわね…」
聡い子に言いくるめられてアロイさんが折れた。前払いで5000ヤン貰えたよ。木簡を預かり村を後にした。
「私の報酬、色付けてよね」
小走りで街道を移動しながらドヤ顔で自己主張する小さいヤツ。働いた分は上乗せしてやるか。
「じゃあ1000ヤン足してやる」
「…自分で言ってなんだけど、しょぼいわね」
「使い所を間違えただけだ。気にすんな」
川を越え、森を抜け、運悪く出くわしたゴブリンを叩きのめして草原へ。
「みんな体に不調はないか?」
「だいじょーぶー」
「問題ありません」
「疲れたわ」
「街道の真ん中だが少し休むぞ」
「あ~い」「了解しました」
「あの丘まで行くもんだと思ってたわ」
「その労力さえ惜しいって事だ。水飲むやーつ」
「「はーい」」「飲む」
道端で休むのはあまり良くない。アクシデントかとお節介な冒険者がやって来たり、野盗と間違われたりするからだ。今は前後に誰もいないし、ちょっとくらいは良いだろう。コップを出して、直で魔法水を注ぐ。鍋に注ぐ時間が惜しい。
水を飲み、ソーサーを少し齧って出発だ。干し肉も、水飴も、匂いが出るので我慢して、できるだけ疲れない速度で移動する。ここからはへし折れた木の生えていた森に入る。感知系スキルの見せ所だな。
「ねえ、ゲイン…」
何だか歯切れの悪いタララに、俺は天を仰ぐ事になる。
「どうした?」
「おトイレ行きたい…」
森に入ってから言うかね…。既に森の1/3程も入ってしまっているんだぞ?一番危険な場所で一番無防備な状態になりたいらしい。漏らしてでも歩かせるか?いや、ダメだ。匂いで敵を集めかねん。
「森に入って壁を作るぞ。2人とも、やれるか?」
「頑張ります」「やるわよ」
感知系スキルにはまだ反応は無い。すぐに街道を外れ、なるべく木の無い場所に陣取った。奴隷の2人がブロックを切り出し、壁を作る。
「木は半分程捨てておけ。広さは5ハーンもあれば良い。高さは3ハーンくらいだ」
注意しながら俺も壁を手伝う。奴隷は外から、俺は内側からブロックを切り出して、広さ5×5ハーン程の四角い壁の部屋になった。2人を内側に入れて入口を塞ぐ。
「ゲイン?まさかここで?」
「我慢できないならしても良いが、我慢できるならまだ掘るつもりだ」
「がんばる…」
部屋の中央。真下の地面を切り出して、壁の厚みを足してやる。下へと続く階段状に切り出して、奴隷にも手伝わせて部屋と同じくらいの地下室を作った。
「ランタン出すから着けてくれ」
大きい奴にランタンを預け、トイレの個室分の空間を作る。落下する穴を開けて完成だ。
「ゲイ~ン」
「良いぞ。好きなだけ垂れ流せ」
「ぬ、脱げないの…」
「ズボンとパンツを収納しろ」
「うん。見ないで聞かないで!」
「それは諦めろ…。あと大きな声を出すな」
「酷いよぉ~」
「ゲイン様、失礼致します」
一言あって、大きい奴が俺の顔を抱き締めた。暗くて温かくて柔らかくて…、ちょっと落ち着く匂いがする。
「視界と耳と鼻を塞ぎました。タララ様、どうぞ」
長い事かかって、柔らかい感触から解放された。
「おさわがせしましたぁ…」
「本当にな。みんなもしとけ。今夜は木の門で野宿だ」
こんな物作ったので当たり前だが、門限までに街に戻れそうにない。みんながもりもりした後は、落下する穴だけ塞いで壁も殆どそのままにして移動した。雨が降れば大地に帰るだろうしな。木材だけは回収したよ。
「着いた!着いたよぉ~」
木の門に着いたのは夕方。熊が出なくて本当に、本当に良かった。
「どうした?村に帰ったのだろ?」
隊長さんが訝しんで来るが、木簡を見せたら更にシワが寄った。
「無事で何よりだったな。これから帰る奴も居るし、これはコチラで詰所に送ろう」
「ねえゲイン、一緒に帰ったら街に入れてくれるかな?」
「期待しない方が良いな。基本的に衛兵って、冒険者と仲悪いから」
「そうだぜ?嫁を紹介してくれないなら槍で突いてしまうくらいにはな」
「農家の婿になりたいなら紹介しても良いぞ?」
「ほう、ジェーンは門番の仕事に誇りを持っていたと思っていたが…、そうかそうか…」
「隊長ぉぉ…」
あまりジェーンを揶揄うと本当に槍が飛んで来るからとっとと逃げよう。タララ達に昨日作ったような家を頼み、俺は野草などを採りに行く。各種薬草に食べられる野草、ちょっと萎えたウサキノミミモドキも採れた。
食料を集めて家を頼んだ場所に戻ると、なんか小さい家が出来てた。
「ただいま。なんか小さくね?」
「おかえりー。早く作ろうってなったらちっちゃくなっちゃった」
寝るには良いけど煮炊きするには狭過ぎる。仕方ないから壁を延長しよう。女達に竈でお湯を作らせて、野草等を刻んでもらってる間にブロックを積んで、家の周りを四角く囲む。疲れはしないがはっきり言って無駄な労力だ。
「お湯が沸いたよー」
「今行く」
野草を刻むくらいはちゃんと出来てるのでほっとしたよ。野草を鍋に放り込み、塩と香辛料を入れたら猪肉を小さく切って入れて行く。
「お玉でアクを丁寧に取るんだ」
「あく…」
「泡泡してるヤツだよ。穴を開けたからそこに捨てれ」
「なんか勿体ないね」
「野菜に付いた虫を勿体ないと言って食べるか?」
「食べないね…」
慎重に掬って捨て始めたので、こっちは家の中でも見て来よう。家の中は本当に狭い。4人並んだら寝返り打つのも苦労しそうだ。タララの寝相で殺されかねんな。取り敢えず外に出て枯れ草を摘んで来よう。
壁のブロックを外して外を見て、ゴブリンと目が合った。思わずブロックを射出してしまった。まだ夕方だってのに結構な数がいやがる。
「みんな、ゴブリンだ。数がいるから気を付けろ」
「お鍋どーすんのさ!?」
「竈ごと収納しとけ。2人は階段作って壁の上から射撃しろ」
壁に開けた穴を塞いで、俺も階段を作る。タララは命中率が低いので弾持ちだ。奴隷の2人に石を渡してもらう。
「2人とも、外しても良いからとにかく強く当てる事に集中しろ。真下にいる奴は必ず殺せ」
「了解です」「わ、わかったわ」
壁の周りの草を切り払っておけば良かったと後悔しても仕方ない。そこまでする時間も無かったしな。俺と大きいヤツの射撃は比較的正確にゴブリンを殺して行く。だが小さいヤツは、当たるけど殺すに至らない。
「小さいヤツ!お前はもう石を投げるな。ありったけの木材を回収して来い!タララ、そいつに木材を回収させろ。屋根に使ったヤツもだ」
「くっ…」「あいよー」
30か40か、草藪の中にいるのでどれだけ仕留められたかは分からないがそれなりの数を殺ったはずだ。大きいヤツも似たような数を殺ってるはずだが、今だにガサガサ草藪が揺れている。それだけの数のゴブリンが死んで逃げないのはおかしいと思うのも束の間、暗くなり行く森の入口から黒い巨大な何かが飛び出して来た。
「あ、やべ。熊だ」
「え?」「は?」「なに?」
森の入口までは少し距離があるが、俺のトラウマがアイツを熊と認識した。見張り塔からも声が出て、門番達にも緊張が走っている。あの隊長の事だから逃げの一手は無いだろうが、逃げたら食われるぞ。
「ゲイーン!無事かー!」
大声を張り上げるジェーンだが、それは熊を呼ぶだけだ。しかしコチラから目を逸らしてくれるのはありがたい。壁の上から手を振って応える。
「みんな、木の門まで撤退するぞ。ここは血の匂いが強過ぎる」
「あいよ!」「了解です」「ゴブリンはどうすんのよ?」
「俺がお前を担いで移動する。お前は木材を射出しろ。アイツら足は遅いから、後ろから来る奴はそれで足止めできる。前から来るのはタララと大きい奴に頼む。それで良いな?」
「おう」「了解」「やってやるわよ!」
壁に登ったタララが盾を横にして小石の弾幕を張ると、蜘蛛の子を散らすようにゴブリン達が逃げる。その隙に大きいヤツが飛び降りて刺突剣で草を斬る。俺も小さいのを肩に担いで飛び降りた。
「下がれ、弾幕代わるぞ」
「了解!」
タララが降りるまで俺が弾幕を張り、全員揃った所で移動を開始した。前方を広範囲に弾幕を張って進むタララを先頭に、左右の敵を射撃する大きいヤツと俺。そして俺に担がれ、後ろから来るゴブリンに貴重な木材を射出して足止めする小さいヤツ。無事に木の門まで来られはしたが、石も木もたくさん消費してしまった。
「怪我はないか?」
「ないな?」
「ない!」「ありません」「お腹空いたわ」
「だそうです」
「アレを殺らんとこちらが殺られる。協力を頼む」
「槍衾で左右を挟んでくれれば正面から投石します」
「良かろう。皆聞いたな!?」
「「「おう!」」」
熊が門に来るまで、そう時間はかからなかった。
「デカイなぁ…」
立ち上がって、4ハーンか5ハーンはあるだろうか。
「ゲイン、呆けてらんないよ?」
盾を横に構えて前線に立つタララの後ろには石が小山になっている。射撃を捨てて防御と武器攻撃に集中するそうだ。俺は小山の上に立ち、射撃に集中する構え。奴隷の2人は少し離れて、小さいヤツがブロックを切り出し大きいヤツが射出する。左右の槍衾がジリジリと熊との間合いを取り、いざ熊狩りの始まりだ。
熊の顔に石を飛ばす。狙いは目だが、どうせこれは当たらない。腕で防がれるからだ。視界が遮られてがら空きになった腹に石大をぶち込むと、下腹部に当たって前のめりに倒れ込んだ。左右からは槍が突かれ、正面からは金棒が脳天を打ち据える。タララの一撃に怯むことなく立ち上がった熊の顔にブロックの追撃が入ると、今度は仰向けに倒れた。
「ボーグ!ボーグ!ボーグ!」
3連続で発動した魔法は、熊の体をすっぽりと泥に埋め、顔と手の一部以外を残すのみになった。
「デリートウォーター!デリートウォーター!デリートウォーター!」
同じく3連続の魔法が泥沼を硬い地面に変える。タララの金棒が容赦無く浴びせられ、熊は死んだ。念のために、傷口からデリートウォーターを掛けて体の水分を抜く。
「ふう。どうやって取り出そうか」
「見事なものだな。しかし、掘り出すしかあるまい」
草藪を避けて戦闘するには道の真ん中で殺り合うしか無かったのだ。明日にはまた人も通るだろうし、今夜の内に片付けないと困る。
「私に任せなさい。考えならあるわ」
小さいヤツは聡い子だ。多分任せて大丈夫だろう。指示を仰ぐと、
熊のいた場所を泥沼にする。
その近くに穴を開ける。
穴と泥沼に水路を通して排水する。
捌いて切り取り回収する。
との事。中々やりおる。穴掘りは2人に任せて俺は泥沼作り。魔力が心配だがやるしかない。
「ボーグ」
1回じゃ足りなくて2回使った。凄くフラフラする。
「ゲイン、大丈夫?」
「ダメ。休ませて」
「魔力の使い過ぎだぞ」
排水するまで休ませてもらう。柵を背にして座ったが、魔力はなかなか回復しないんだよな。
「解体は我等に任せろ」
門番も解体くらいは出来るのだそうだが、このデカいのをやれんのか?腹を割いて内蔵は取れてたが、皮は大変そうだ。
「タララ、熊の手足を切ってやれ。首から上も皮としては使えんだろうし、切って軽くしようか」
「あいよー」「私も手伝います」
2人が熊の手足を根元から回収し、俺の前に供えられた。洗えと?
「タララ、洗えるだろ」
「加減がわかんないんだもん」
「ウォッシュ2回にデリートウォーター3回だ」
「魔力が半分になっちゃうんだね…」
「がんばれー」
タララの魔法でも数をこなせばキレイになったし、脱水だってちゃんと出来たよ。俺達の取り分はこれだそうな。
「売ったらいくらになるかしら」
「売らずに干し肉にした方が良いぞ。酒場で買うより安くなるからな。売るなら皮とか爪だけだな」
「なら買い取ってよね」
「そうだな。爪と皮と肉に分けて、ギルドで査定だけしてもらおうか」
熊の手足を収納したら、タララに竈を出させて夕飯の続きだ。家の周りはゴブリン臭いので門の近くで作って食う。茹で肉もスープも、疲れ果てちゃって味なんて分かんなかったよ。寝るのも柵に拾い集めて来た木材を立てかけて、その下で寝た。今ゴブリン来たら死ぬかも知れない…。
ゴブリンに殺られる事なく目覚めると、大きいヤツが肩を枕に寝てやがる。
「忠誠を誓う相手を枕にするのか」
「おはようございます。お詫びに帰ったら膝枕させていただきます」
「タララはどこ行った?」
早起きしてトイレでもしてるのかと思ったら、門番の足元で寝てた。10ハーンは移動してるな。
「タララ、飯だぞー」
「その前にトイレ作ってよ」
屋根に使った木材を回収して竈セットを出し、大きいヤツに茹で肉を作る準備をさせ、俺と小さいヤツはゴブリン臭い家に向かう。壁側の、見張り塔から見えない位置に穴を掘る。
「葉っぱはその辺のを使うといい。俺はゴブリン拾って来るから」
「私だけ、殺れてないのよね…」
「安心しろ。後で殺らせてやるからたっぷり垂れて来い」
感知系スキルで昨日仕留めたゴブリンを探す。スキルもそうだが匂いで分かるほど臭い。嫌だけど入るだけ収納して壕のそばに転がして行く。
「ちょっと!臭いのだけど!?」
「ゴブリンだからな」
壁の向こうから小さいヤツのクレームが入るが、嫌ならとっとと垂れ流せよ。
「ゲイン、何やって…ゴブリン臭っ!」
「昨日狩ったヤツだよ。解るだろ?」
「剥ぎ取って穴に埋める…」
よく出来ました。埋めないと臭いし、ウルフや熊みたいな肉食が来てしまうのだ。
「ご飯食べてからにしよ?」
「臭過ぎて忘れかけてたよ」
2人を残して竈にむかう。大きいヤツはちゃんと火の番をしていたようだな。
「ゲイン様、お湯は沸いております」
「火の番が出来るようになって俺は嬉しいぞ」
「あ…、ありがたきお言葉…」
塩と香辛料を入れて味気ないスープを作ったら、猪の肉をできるだけ薄切りにして入れる。ナイフで切るよりマジックバッグで切るのが早い。取り出した肉を少しずつ収納するだけで薄切り肉が出来ていく…便利過ぎて怖い。
「そんな器用な使い方も出来るのですね」
「多分だが、スキルって使い込むと応用が効くようになるのでは?」
「発想次第とも取れます」
「そうかもな。アクを取ったら茹で上がったのを皿に持ってくれ。微妙なスープと茹で肉しかないからたくさん食べるだろうし、どんどん茹でよう」
「承りました」
タララと小さいのが帰って来たので食事にしよう。門番達の羨望の眼差しが刺さる中、山盛り茹で肉と茹で汁スープでお腹を満たした。
「もっと厚いのがいいー」
「薄い方が食べやすいわ」
「焼くなら厚い方が好きだが、野外で軽く茹でる程度だと無駄に固くなるからな。家でじっくり煮込むなら厚いのが良いと思う」
「結局どっちなのよ」
「料理法による、だ」
朝食を食べて、片付けて、臭い死体を壁に集めて剥ぎ取りだ。耳と袋とナイフがたっぷり貰えたよ。袋の中身は後でギルドで検める事にして、中身だけカバンに放り込んだ。
「で、何させんのよ?」
壁に座らせた5体のゴブリンの死体に、少し距離を置いて小さいヤツを立たせると、心做しか不安そうな声を上げた。
「射撃してもらう。骨を砕くんだ」
「死んでるのよ?」
「殺り慣れろ」
小石を10個、小さいヤツの前に置く。
バガッ!
俺の撃った小石がゴブリンの眉間にめり込み、すぐ後ろに建っていた土壁を汚した。
「俺は子供の頃にナイフでやらされた。やらないと殺られるからだ。女は苗床にされて殺られる」
「強く…、強く当てる…」
ガッ
小さいヤツの撃った小石は死体の額に当たったが、頭蓋骨にヒビが入った程度だろうか、ポロリと股の間に落ちた。
「加減はしなくて良いぞ。壁を壊すつもりでやれ」
「加減なんてしてないわよ!」
「なら壁に向かって撃ってみろ。壊すつもりでな」
「壁に撃っても変わらないわよ…」
ボッ!
渋々撃った小石が土壁にめり込んだ。
「変わるじゃないか。今度は腕を狙って折ってみろ」
腕や脚の骨は、いかに脆いゴブリンでもなかなか折れない。命中率は高いが殺傷力が低いこいつは、自分が気付かぬ内に手加減してしまっているのだ。その場をタララと大きいヤツに任せて俺はゴブリンを探しに行く。
活きのいいゴブリンの手足を撃ち抜き、弱らせて持ち帰る。
「どうだ?殺れそうか?」
「無理よ!あんたそれ生きてるじゃない!?」
「活かして連れて来たからな。どうしても無理か?」
「私の生活に物理的な戦闘は無かったのよ!」
「なら絶対殺したくなるようにしてやる。ズボンとパンツを降ろせ」
「「な!?」」
「お…、降ろすわよ…」
ゆっくりと、蛇革のレギンスを膝まで降ろす。そしてパンツに手をかけて、全てをあらわにした。
「な、何させんのよ…」
「コイツを見てみろ」
手足を潰され、死を待つばかりのゴブリンが、ズボンをはち切らんばかりに勃起していた。ベルト代わりの綱を切ると、その凶悪なモノが姿を現す。体に不釣り合いな太さと長さのソレは、ビュルビュルと黄色い粘液を垂れ流し、腰を振って目の前の苗床へ向けて液体を飛ばした。
「もしお前が1人でゴブリンに襲われたら、コイツをねじ込まれて種付けされる。もちろん、産まれるのはゴブリンだ。産まれるまで犯されるし、産んだそばから種付けされる。そして産めなくなったら食われる」
「そんなの…いやよ…」
「なら殺すしかないよな?服を正してコイツを殺せ」
勃起したゴブリンを地面に置くと、潰れた手足で這いつくばって小さいヤツに寄って行く。その目は血走り、あいつを孕ませる事しか考えていない。
「殺って、殺ってやる!」
ゴシャッ!
小さいヤツが放った小石はゴブリンの鼻っ面を貫通し、首の骨に当たった。うずくまった所に更に3発の石弾が脳天と肩にめり込み、ゴブリンは動きを止めた。隣に立つ大きいヤツに目で合図すると、大きいヤツはあいつを抱きしめた。
「うああああああ~」
泣いただけで済んだか。俺は吐いたから、コイツは肝が据わってる部類に入るな。
「タララはゴブリンを殺っても平気だったな」
「んー、あたいはさ。坑道で死んだ人とか、よく見てたからね。エリモアも平気だったじゃん?」
「お飾りですが、試験で退治した事がありますので…。数日は気が滅入りました。これでも普通の騎士団に入るつもりだったのです」
しばらく泣いて、落ち着きを取り戻した小さいヤツに耳を切らせる。これでこいつもゴブリン討伐の実績が貰えるな。
「家に帰ったら甘いの作りなさい!」
「止めとけ。ゴブリンと甘い物を関連付けると甘い物を食べる度に今日の事を思い出しちまうぞ?水で我慢しとけ」
この経験は、忘れる事など出来ないだろう。慣れて行くしかないのだ。家や壁を解体しながら拾い集めた死体を穴に入れてブロックで蓋をする。膨らんでるけど気にせずに、門番さんに挨拶して帰路に着いた。
街に着いて、まずはギルドで換金だ。買取りカウンターに向かうと暇そうな買取り嬢に話を通して解体場で売り物を見てもらう事になった。熊の両腕と両足、猪の半身、そしてゴブリンの耳にナイフと袋の中身だ。100匹以上殺ったので小銭ですら期待が高まる。
まずは奴隷2人にゴブリンの耳を提出させて、実績を貰う。
ゴブリンの耳 50ヤン×122匹分 6100ヤン
ゴブリンナイフ 品質中 50ヤン×48本 2400ヤン
総額 8500ヤン
まあ、耳とナイフだしな。数はあってもこんな物か。続いて袋の中身をテーブルの上に出し小山を作る。
「お金は誰のギルド証に入れますか」
「取り敢えず、額面を見てから振り分けるので内訳が分かるようにして欲しい」
「承りました」
お金 42281ヤン
リング 3000ヤン
その他ゴミ 0ヤン
総額 45281ヤン
お金は中々もらえたようで、リングは当たりだが、鑑定しないならこんな物だろう。ゴミはゴミだ。小骨とか枯葉とか。
「ねえあんた。それ、鑑定しないの?」
「500ヤンかかるけど、それでも良いならしてもらうが」
「冒険者でしょ、冒険なさいよ」
「ゲイン、やっちゃえ」
俺がやる訳ではないのだが、大きいヤツも肯定したので、後でカウンターに持って行く事となった。
「数は多かったですが、これだけですか?」
買取り嬢が困った顔をしてる。この程度で別室使うなと言いたいのだろう。
「1ハーン超えるデカいのがあるので先に細かいのをお願いしたんだ。テーブルに乗せきれないから下に出すよ?」
どうぞと言われたので熊の腕と脚、猪の半身を出した。
「わわっ、生物ですか。こっちに来てもらって良かったです」
「血抜きはしてあるけど、デカいからね」
解体のマッチョを呼んで肉質などを見てる。
「お前ぇ、この前石炭持って来たよな?今度は肉か」
「運悪く遭遇しちゃってね」
「コイツの胴体はどうした?」
「門番と共闘したのでそっちはあげちゃったんだ。あっちの方が人数いたし、仕方ないね」
「そりゃあ、仕方ねぇな。魔獣熊と猪、どちらも買い取るぜ」
「モモ肉を少し確保したいんだけど」
「買取り価格から差っ引いてやるから解体が終わるまで暇を潰してろ」
後で買取りカウンターで全額支払うとの事なので、一旦解体場を後にして鑑定カウンターに向かった。3000ヤンのリング、13万ヤンに化けた。結構なお金持ちが捜索依頼を出していたようで、見つからずに塩漬け案件になっていたそうだ。
「新品なら30って所かしら」
「其方の方は鑑定持ちですか?」
「持ってないわよ」
「買うか?鑑定のチップ」
「手に職を付けられるわね…。悩むけど、買うならあんたが使いなさいよ。借金増やしたくないもの」
やはり聡いな。13万ヤンは俺が一時預かりにして、もう少し時間を潰そう。
現在のステータス
名前 ゲイン 15歳
ランク C/F
HP 100% MP 100%
体力 D
腕力 E
知力 E
早さ D-
命中 E-
運 D
所持スキル
走る☆☆ 走る☆☆ 走る 走る 走る
刺突☆☆ 刺突
硬化☆☆ 硬化 硬化
投擲☆☆ 投擲
急所外物理抵抗☆☆
飛躍☆ 飛躍
木登り☆
噛み付き☆☆ 噛み付き
腕力強化☆ 腕力強化 腕力強化
脚力強化☆ 脚力強化☆ 脚力強化
知力強化☆
体力強化☆ 体力強化 体力強化
ナイフ格闘術☆ ナイフ格闘術
棒格闘術☆
短剣剣術☆
避ける☆
魅力☆
鎧防御術
察知
探知
マジックバッグ
魅了
威圧
水魔法☆ 水魔法
ウォーター
ウォッシュ
デリートウォーター
ウォーターバレット
ウォーターウォール
ボーグ
土魔法☆
ソイル
サンド
ストーン
火魔法
エンバー
ディマー
デリートファイヤー
所持品
鉄兜E
肩当E
胸当E
腰当E
上腕当E
脛当E
鉄靴E
革製ヘルメット
革製肩鎧
革製胴鎧
皮手袋E
皮の手甲
混合皮のズボンE
皮の脚絆
耐水ブーツ
耐水ポンチョ
草編みカバンE
草編みカバン2号E
布カバンE
革製リュックE
木のナイフE
ナイフE
剣鉈E
解体ナイフE
ダガーE
革製ベルトE
小石中88
小石大251
石大☆19
冒険者ギルド証 5980269→5952269ヤン
一時預かり 130000ヤン
財布 銀貨14 銅貨6
首掛け皮袋 鉄貨31
冊子
筆記用具と獣皮紙
奴隷取り扱い用冊子
寸胴鍋
お玉
コップ
皿
カトラリー
竈
五徳
木ベラ
籠入り石炭0(貸出中)
洗濯籠
多目的板
蓋の無い箱
敷物
ランタン
油瓶0.5ナリ
着火セット
翡翠特大
中古タオル
中古タオル
中古パンツE
パンツ
ヨレヨレ村の子服セット(使用済み)
サンダル
革靴
街の子服Aセット(使用済み)
街の子服Bセット
奴隷
エリモア
アンテルゼ
スキルチップ
ウサギ 3022/4391
ウサギS 0/1
ウサギG 0/1
ハシリトカゲ 2056/3166
ハシリトカゲS 0/1
ハチ 1742/2859
ハチS 0/1
カメ 2000/3459
カメS 0/1
ヨロイトカゲS 0/2
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石S 0/1
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腕S 0/1
腕G 0/1
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脚G 0/1
頭 475/576
体 422/523
体S 0/1
体G 0/1
棒 526/627
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ナイフS 0/1
短剣 12/232
鎧S 0/1
袋S 0/1
水滴 157/394
水滴S 0/1
立方体 175/275
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魅了目S 0/1
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