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貴族のお約束

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 夕食後、食堂に集まって話し合い。テイカに内装の進捗を聞くと、半分程度は終わったとの事。後二日か三日でまた引越しか。

「此処の解体はどうしますか?」

「外遊びの広場にしたいから住宅と廊下は壊しても良いかな。施設も雑木にして草地にしたいと思ってる」

テイカの問いに答えると、住処だった所が解体されると聞いたラビアン達は少し寂しそうな顔をした。

「あの、二階も壊すのですか?」

「ヤリ部屋は白い新居にも作ってもらう予定だよ」

「まかして」

俺とネーヴェの答えを聞いてラビアン達から安堵の息が漏れる。ヤリ部屋は絶対必須の施設、設置しない筈が無い。

「転移門の設置も全部終わってまぁ~す」

「ありがとう。属性魔石の設置もしてくれて助かったよ」

「私もがんばった。ほめれ」

「ネーヴェもありがとね。よしよしよ~し」

「旦那様よ、私も褒めて良いのだが?」

 ミーネは炊事場の設置や炊具の作成、新たなソーサーと肉焼き機の製作設置をしてくれた。セカンドハウスに移動した日の食事時、量作れない事が発覚し、入浴施設で作りまくるハプニングがあったのだ。それでも大量のソーサーと肉を焼ける場所は総合施設だけなので、調理施設はミーネに任せて居たのだ。大型機械が二台も入った事で、俺が設計した厨房と大きく形を変えていると言う。不安で楽しみだ。

「ミーネには俺の手の回らない所をやってもらって本当に感謝してるよ。ありがとう」

「カケル様」「お客さんですねぇ~」

 テイカの謎感知が来訪者に気付く。龍より早く反応出来るのって、凄くね?《感知》で見ると、お前と貴様がキョロキョロしてる。俺が一言言う前にラビアン達が迎えに行った。

「夜分遅くに失礼致します」「国王陛下より書状をお持ちしました」

「急ぎの用ですか?」

「待てリア。あちらにも都合があるのだろう」

ラビアン達に連れられて来た二人が平伏し、詫びと要件を告げる。リアが臍を曲げる振りをするのを俺が宥め、話を進める。貴族のお約束と言うヤツだ。

書状の内容はと言うと、ボク王様頑張ってるから褒めて。寂しいから遊びに来てよ。ランク昇格の準備が出来たから来てね。…だそうだ。

「急ぎじゃあ、無いな」

「貴方様、式典には時間が掛かりますよ?」

「ああ、そう言えばやり方分からんから教えてって言ったんだった」

「それでも夜に来る事は無いのですけれど」

「「申し訳御座いません」」

「それにしても、今日は何処経由で来たんだ?」

「は。クリューエルシュタルトより、此方の厨房へ向かった筈なのですが」

「あの御屋敷の中でしたので驚きました」

《転移》を多用してる弊害か、転移門の設置場所が変わってても気付かなかったり忘れてたりする。白い新居への引越しが完了したら見取り図と転移門の行先を地図に残しておかねばならんな。お前と貴様の二人には、明日の日中城へ直接行くと伝え、土産のダンジョンフルーツを渡して帰ってもらった。

「俺、暫く帰れないかもだけど、家の事よろしく頼むよ」

夜も遅いのでお開きにして、セカンドハウスへ戻って寝た。

「私も連れて行って下さいまし」

 翌日、そう発したのはアルア。昨夜は早寝してたから参加していなかったので、今日の予定を聞いて同行を願い出た訳だ。

「他に行く者~」

「テッチーんトコ行く」

ティータ達は本日お休みだそうで、三人で遊ぶのだそうな。同行とは言わないがな。他の面々は引越しやそれに関わるその他諸々がある為同行を見合わせた。

「カラクレナイ、三人娘も遊んで良いからな?」

「カララ、お家作るの」「「「お手伝いするの」」」

カラクレナイは三人娘とアルアの巣を作る様だ。アルアは手伝えない事を詫びたが、家族に会う事を拒む者は居ない。しかし何処に家を作るのだろうか。部屋の模様替えの事だよな?

 アルアの支度が済むと、二人でくっ付きミソプファンティア城へ《転移》する。ネーヴェはクリューエルシュタルトなので転移門だ。





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