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観光で、虐殺

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「服?」「アクセもあるね、高そう」「ミスリルとジェムだね」「付与されてるから高いわよ?」「女物、だよな」「俺達なら着られるけど」「ん~…ん?」

 マジックボックスから取り出された物に近付いて、ニットはフンフン鼻を鳴らす。お前、クンカーだったのか。それに倣って獣人揃ってクンカクンカとし始めた。…シトンも?分かるのか?

「コレ…」「ああ」

「兄貴、これ多分だけどネーヴェ様の服だぜ?」

「ちょっと似てる」「だからたぶん」

「魔力の残滓は見えないけど、時間が経ち過ぎてるから、かしら。ネーヴェ様が使った箱なら、時間停止が掛かっててもおかしくないとは思うけど…」

「確認するなら後でお湯でも沸かそうか」

獣人は人種より五感が優れている。ちょっと似てるってのは、もしかしたら卵帰りの前に身に着けていた物だからかも知れない。サイズも全然違うしな。少年隊よりアズの方が似合いそうだし。

「やっぱりネーヴェを連れて来れば良かった」

「本当にねー」

「けど楽しかった!」「一杯死んだけど」「生きてっけど」

「で、旦那。どうする?アタシ等足手纏いだけど」

「《転移》で帰しても良いぜ?」

「アタイは一発屋状態だし」

「お前等もうゴールした気で居るな?ちゃんと再奥迄付き合ってもらうぞ?」

「良いの?」

「一人じゃ寂しいだろうが」

シトンを抱き締め《洗浄》し、気合いを入れ直す。何故シトンだけなのかは察するべし。

 《結界》無双で敵を寄せ付けず、八十階のボス部屋に到着。今夜?は此処で泊まり、明日朝一?でボスと戦う事にした。七十一階で長居し過ぎたのだ。

「カケルさん、スープ出来たわよ」

「コッチも肉炒め出来てる」

「薄いソーサーも殆ど焼けたよー」

「残りは明日の朝食用に後で焼こうか」

 飯を食い、風呂も沸かし、入浴後は回復を掛けて疲労を取って厚いマットでしっかり寝た。起きたら暖かい飯を食い、コレで準備は万端だ。

「オレ等何も出来無いのに」

「俺だけ風呂入るのも気が引けるじゃないか」

「俺へーきー」「「俺もー」」

平気では無いぞ?自分の小便踏んでも我関せずな子供達よ。

 ボス部屋の重厚な扉を開け中に入ると、自動ドアが閉まる前に《結界》を部屋全体に展開した。此処からは観光で、虐殺だ。つまらない殺し方でボスの姿が見える前に煙に変え、ドロップから金になる物だけ頂戴して残りは捨てる。
下に降り、《感知》でルートを出したら全員を《結界》で囲って飛んで移動。正面の敵だけ脳味噌スカスカにして煙にし、先を急いだ。此処には巨人が出たが、名前等知らん。ゴーレムも居たが《散開》でスカスカにしたら崩れて煙になった。
九十階。ボスの姿は見ていない。
九十一階からは《結界》の他に、前後左右と上に《収納》の平面を張って移動した。百階のボス部屋前で《収納》から取り出してみたら凄い煙の量だった。
百階のボス。勿論見ていない。金になるお宝だけ回収する。


「百二十階超えたねー」「だねぇ」

 つまらない殺し方で潜り潜り、百二十一階。目の前にダンジョンコアを望む部屋で最後の休憩となった。皆退屈過ぎて逆に疲れたようで、脱力してしまっていた。

「兄貴がダンジョンの奥に興味無くなる気持ち、分かった気がする」「同じ事の繰り返しだもんな」「なー」

「お金と割り切って働くのも良い事よ?」

「働き方は色々だもんね」

「日々の糧を得てる冒険者はアズのタイプが多いだろうな。俺はほら、金あるし、王だし?ぶっちゃけオーバーフローした方が潜らないから楽迄ある」

「強くなり過ぎるのも困り物ね」

「それでいて悪い考えしないからオレ好きなんだ」

「あんまり構ってくんないけどねー」

「旦那ぁ、帰ったら…ね?どうせ此奴等もよろしくするだろうしさ」

「望む所だよ。俺も溜まってるからな。所で少年隊よ」

「「「なーーにーー?」」」

「子供を作る決心は着いたか?」

「う」「なっ」「ぎ、ぎばっでだいっゲッホ」

いきなりの事で噎せてしまったガットを擦ってやる。





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