上 下
1,481 / 1,519

相手は死ぬ

しおりを挟む


 一匹目がマスク・ジ・エンドされて皆が息を吐くが、少年隊の釣りが甘く、他のトカゲが気付いて寄って来てしまった。

「皆っ、また来る!」

逸早く気付いて声を掛ける後方のアズだが、飛んで来るのは三匹、七人で殺るには荷が重いか?

「ガット、ニット、アレ仕掛けっぞ」

「「うぇーい」」

アレとは何ぞやアレとは。ぴょぴょんと飛び跳ね三匹のトカゲに近寄ってくと、撹乱してそれぞれの距離を離してく。

「どれ狙えば良いのさ」

「真ん中だろ?」「はよはよ~」

「まあ、腹なら当たらない、かっ。すぅ~」

振り抜かれたモーニングスターから鉄球が伸び、一直線にトカゲに向かう。トカゲは目視してるだろうが、慢心してるのか首を振って小バエを追っているようだ。因みに小バエは頭に着いてる。

ドンッ!

トカゲの腹を貫いて、棘が背中迄貫通しとる。小バエはトカゲから離れて引き戻す鉄球に捕まって帰って来た。

「良い撹乱だが、もうちょい近くで狩った方が良いな。ドロップ取りに行き辛くないか?」

「だな。言って来るよ」

「言いに行くなら離れてよ」

「このまま飛ばして」

やれるのか?やって見なくちゃ分からない。シトンが見るのでどうぞと手を差し伸べた。死ななきゃ治してやる。

「棘は出さないかんね?」

「うぇーい」

大きく振り被って振り回されたモーニングスターから、鉄球とダートが飛んで行く。ダートが踏ん張って飛んだ分、普通に飛ばすより早いかも知れない。トカゲに狙いを定めて居たが、飛んでるトカゲは離れてく。野外での命中度はそんな物だろう。近付くだけ近付いて、ダートが飛んだ。が、威力が無くて落ちてった。横からの攻撃に弱いって訳か。

「大丈夫かねえ」

「下に何も居なきゃ良いけど」

何もは居ないが危険である。俺は《転移》しダートを回収して戻った。

「し、死ぬかとおもた…」

「マジヤバだったな」

「あ、助けて来たんだ」「相当ヤバかったんだねー」

「地面、シト姐の鉄球みたい、なってた。ふひー」

「「うわー…」」

「チッチッ、キーキッ」

お、ダートが舌打ちしとる。ラビアンはコレ聞こえるらしいんだよな。最初からしろって思うけど、モーニングスターの弱点も知れた訳だし叱れねえ。
舌打ちが聞こえたのか、トカゲが一匹こっち来た。

「ソッチはワー姐ちゃん達に任せっぜ」

「おう」「あいよ」

少年隊は奥に居るのを殺るみたい。ダートはぴょんぴょん跳ねてった。アズは頭の上に手を翳し、風魔法で旋盤を作ると、手を振り下ろして投げ付ける。毛の無い奴が胴体真っ二つになる攻撃だが、果たして。
だが、狙いが低い。速さは鉄球以上なものの、目標が動いているし、水平がブレて縦になってしまってる。

「当たら、ないでよね…。そぉいっ!」

旋盤が突然跳ねる。否、操作してるのか。先程よりも素早く飛んで、トカゲの左後脚と尻尾が胴体から離れて行く。凄い威力に育ったな。落ちて来たトカゲの胴体にフレンズが飛び込んでってマスク・ジ・エンド。相手は死ぬ。

少年隊が殺っている一匹も此方に寄って来た。終わるのを待っていたのだろう。魔装の角を突き刺したり、両目をグリグリやって煙に変えていた。空中で殺ると落っこちるぞ…。

「殺るならちゃんと落としてから!分かったね!?」

「「「はーい」」」

姐達に叱られる少年隊であった。着地の瞬間までマントで何とかしようとしてたからな此奴等。

「ジョンのトコ行って瞬歩習っておいで。空に向かって瞬歩すれば落下の力を削げるから」

「あーねー」「それでジョンは着地出来てたのか」「マントで飛んでると思ってた」

「巨大な石をマジックボックスに入れといて、着地前に出して跳ぶとか、他のやりようもあるにはあるが、その為にドロップ入れる容量を削りたく無いよな?」

「「「はーい」」」

「まあ、死なせんから今は一杯失敗しろ」

「「「はーーい」」」

良い返事である。さて、残りは五匹か。




しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!

やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり 目覚めると20歳無職だった主人公。 転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。 ”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。 これではまともな生活ができない。 ――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう! こうして彼の転生生活が幕を開けた。

処理中です...