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酒を飲んだら船酔いしない
しおりを挟む「だがまぁ、そんな会なら毎日やりてぇが、酒も飯も持たねぇな」
落ち着く為か、木のジョッキを大きく煽って息を吐く。
「毎日出来無いから祭なんだよ。長い所は一年掛かりで準備したりするな」
とは言え祭なんて急には出来ん。隣の部落の者と交流を持つ所からだ。それより先に、国王と仲良くなれる。住民に比べて国王は一人なのだから楽なモンだろ?そう告げるとディカッカは大きく笑った。
朝が近付き、寝ていた船員が起き出すと自然と解散の流れとなる。漁師はこれから仕事だと。酒を飲んだら船酔いしない、だって。それ船酔いを酒酔いのせいにしてるだけだからな?
解散し、店を出た俺はネーヴェを横抱きに、リュネをおぶって鉱山へ。因みにリュネは起きている。穴の宿に着くと初お目見えの受付嬢。説明しても寝てる子等を起こす事になるし、部屋を一つ借りる事にした。
「生憎大部屋しか空いて無いんですよぉー」
「うが、構わんよ」
リュネのハグが食い込む。十人用の大部屋で、お値段素泊まり十五万ヤン。はぁ…。
「良いのか?俺ワーリンとキキラの連れだけど」
「え?お客さん、他所の人ですよね?」
「此処には一度泊まってるし、昼飯も食べたんだ」
「それで?払えないんですかぁ?」
「後で確かめるよ」
「お金を貯めてまた来てくださいねー」
リュネがキレる前に島へ、リュネの部屋へと《転移》する。俺が少しでも苛付いてたらヤバかった。
「リュネ~ン」
「カケルさぁ~ん」
「うぎゅ…」「お、お帰りなさいませ。お酒臭いです…」
抱き合って、抱いてたネーヴェを押し潰し、寝惚け状態のテイカが出迎えに来た。
「朝になったら残した子等を回収に行くよ。テイカも気にせず休んでおくれ」
「はい…、おやすみなさいませ…」
部屋を出るテイカを見送ると、三人川の字になって寝る。俺が真ん中だ。
「女だったから、ですか?」
腕に絡んだリュネが言う。
「生きて罪を償ってもらおうかと」
目を閉じたままの俺は返す。
「…次は無いです」
「俺に任せとけ。お休み」
毒物に強い龍であっても、今夜は少し飲み過ぎてしまったようだ。腕枕してやるとギュッとくっ付き動かなくなった。人の事言えんがおちゃけくちゃい。《洗浄》掛けたら激怒されそうなので我慢して寝た。
数オコンして湯に入り、スッキリしてから宿へと戻る。寝起きの悪い二人は残して行った。
「あれー?また来た。女の人はどうしたんですかぁ?」
「家に寝かして来たよ。ワーリン達と落ち合わなきゃならんからな。それにしてもお前失礼だな」
反撃の戯言が聞こえて来るが、気にせず食堂へ向かう。食堂に居る客はポツポツだが、スープの良い匂いで直ぐに混み合う事が想像出来る。
「お客さん、お決まりなら聞きますよ?」
「その人お金持って無いからー」
「本当?」
「冒険者はギルド証で払えるよな?癪だから現金で払うが。それにしてもアレは何なんだ?人種に恨みでもあるのか?」
「さあ。気に障ったのでは?」
「そんなつもりは無いんだがなぁ。肉とスープとソーサー。魚スープある?」
遠くからまた何か言ってるが、現金で払って飯を待った。
「おはよ。お前さん、あの子と何かあったの?」
暫くして届いた朝食を食べていると、起きて来たお泊まり一行が俺に気付いて寄って来る。そしてワーリンは怪訝な目を入口に向けた。
「ネーヴェを抱っこしてリュネをおんぶしてたら大部屋十五万って言われたよ」
「リュネ様、寝てたの?」
「起きてたよ。激オコプンプン丸だから島に置いて来た」
「うわ…。アルア様達は座って食べててね?ちょっと行って来る」
ワーリンは少年少女を円卓に座らせると入口に向かって飛んでった。既にソコにはキキラが居て、イライラした感情が見える。
「取り敢えず奢ってやるから好きなだけ食え。フレンズの分も頼んどけよ」
「「「うぇ~い」」」「承りました」「ありがとカケルー」
宿泊客の料理が揃う前に店長が謝りに来た。
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