1,422 / 1,519
その後の様子
しおりを挟む「兄貴ぃ助けて~」「この人達エロいよ~」「ハーーークーーー」
嬉しそうな顔して何言ってやがる。家主ハークは隣の部屋に居たようで、ガットの叫びに飛んで来た。
「カケル!ダーニーガー!」
「人の子等、そろそろ離しなさい?」
「「「はっ」」」
リュネの命令は素直に聞くのな。俺相手だと更にグリグリして来るのに。
「ハークー」「会いたかったぜー」「バトろーぜー」「お兄様~」「ハークちゃ~ん」
俺、ぼっちなう。否、ネーヴェが居てくれ…てない?何処行った?
「リュネ、ネーヴェが居ないんだが、何処で落とした?」
「え~。多分ワーリン達の所でしょうか。私達も暗い所が好きですからねぇ」「んぶーっ」
「機嫌を損ねて更地にしなきゃ良いが…」
「ふふ、きっと大丈夫ですよ」「あぶっ、んんーーっ」
《念話》を飛ばして暗い所に居るって返された。どうやら俺の《転移》からソロ活動してたらしい。それよりハークを離してやれ。そして俺と代われ。
「俺の用事は後で良いから先に遊んどいで」
「んばっ、カケルッ、どっか行くの!?」
「ん、鳥見て来る。リュネ、皆のお守りを頼んだよ?」
「はぁ~い」
何時も一緒のブルランさんが居なかったし、先に皆の用を済ませてもらおう。アルアは親にも会いたいだろうし、少年隊は国王をボコボコにする不敬を働くだろうし。
《転移》で飼育場へ飛ぶと、メイドが一人くっ付いてた。顔が無いと困るから、だと。まあ確かに。
「あの、何方の騎士様で?」
騎士では無くて王なのだが、こう言う時こそ顔が役立つ…役立て。
「え、ああ。はい。見覚えありませんか?鳥舎に巣棚を設置してくれたカケル様です」
「ああ!あの棚を」
「その後の様子を見に来たんだ。皆仲良く使ってくれてるかね」
「ええええ。どうぞご覧になってくださいませ」
どうやら前回来た時には居なかったらしく、俺の事は知らない様だった。が、巣棚の調子は良さそうなのは顔で分かる。
「おお、増えてる」
ちっちゃいのが十羽程床面をチョロチョロしてるのが見えた。正面奥の棚には丸まった親が居るし、温めているのだろう。
「此処迄産むとは予想も出来ませんでした。高さが重要だったのですね」
「採卵はし易いか?」
「梯子を使って行っております。啄かれたり蹴られたりがだいぶ減りました」
他にも、産んだ親、即ち雌が見付け易くなり雄の隔離が楽になったそうだ。
「そろそろ雛用の施設もあると良いな」
「親と離して飼養するのですか?」
「今だと、親は卵に付きっきりだろ?子育てする親を数羽に絞ってやるんだ」
「カケル様、それでは孤児の様ではありませんか」
少し声を荒らげたメイドが意見する。
「寮制の学校と思って欲しいんだが、お前はあまり良い思いが無さそうだな」
「……ええ、まあ」
「何方にしても増設しないと棚も足りなくなるし、側を作るだけはしておこう。防寒対策はどうなってる?」
「はい、それでは…」
職員に聞く所によると、この地の鳥は寒さに強く、土と煉瓦をサンドイッチにした壁で充分雪の季節を越せるとの事。それなら俺でもやれるな。
鳥舍を出て、日当りを損ねない場所を確保すると煉瓦と土でテストの壁を作り、見てもらう。土に枯れ草を…と言われたが、枯れ草は流石に持ってないな。かなりの量を練り込んで、空気の壁にしているようだ。
「枯れ草って、何を使ってんだ?」
「収穫後のミズマタルを使っております。建材の他にも、寝具や焚き付け等に使われておりますので、今直ぐご用意とは…」
「雪の季節なら尚更だな。取り敢えずスキルでお茶を濁そう」
要は餡子を密にしなければ良いのだ。鳥舍の外観を真似て壁を作るのは俺のセンスでは無理と判断。機能だけ真似て側を作った。違うのは屋根にも防寒性がある事くらいだな。
「あの、このままですと入れませんが」
「窓も無いよな。壁を切ってから出来合いのを取り付けてくれるか?」
俺の出る幕は此処迄だな。
0
お気に入りに追加
133
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
旦那様、どうやら御子がお出来になられたようですのね ~アラフォー妻はヤンデレ夫から逃げられない⁉
Hinaki
ファンタジー
「初めまして、私あなたの旦那様の子供を身籠りました」
華奢で可憐な若い女性が共もつけずに一人で訪れた。
彼女の名はサブリーナ。
エアルドレッド帝国四公の一角でもある由緒正しいプレイステッド公爵夫人ヴィヴィアンは余りの事に瞠目してしまうのと同時に彼女の心の奥底で何時かは……と覚悟をしていたのだ。
そうヴィヴィアンの愛する夫は艶やかな漆黒の髪に皇族だけが持つ緋色の瞳をした帝国内でも上位に入るイケメンである。
然もである。
公爵は28歳で青年と大人の色香を併せ持つ何とも微妙なお年頃。
一方妻のヴィヴィアンは取り立てて美人でもなく寧ろ家庭的でぽっちゃりさんな12歳年上の姉さん女房。
趣味は社交ではなく高位貴族にはあるまじき的なお料理だったりする。
そして十人が十人共に声を大にして言うだろう。
「まだまだ若き公爵に相応しいのは結婚をして早五年ともなるのに子も授からぬ年増な妻よりも、若くて可憐で華奢な、何より公爵の子を身籠っているサブリーナこそが相応しい」と。
ある夜遅くに帰ってきた夫の――――と言うよりも最近の夫婦だからこそわかる彼を纏う空気の変化と首筋にある赤の刻印に気づいた妻は、暫くして決意の上行動を起こすのだった。
拗らせ妻と+ヤンデレストーカー気質の夫とのあるお話です。
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる