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泣きます
しおりを挟む作業開始で、材料確認。無駄に掻き集められたマタル粉に白糖。そして地球産鶏卵。バターの様子は上々。生クリームも獣母の愛から直接出せる。勿論ミルクも絶品だ。ねっとりした糖蜜漬けのフルーツを取り出して糖蜜部を味見…美味い痛い!誰が《威圧》飛ばしたんだ!?とにかく作業を開始した。
生地を焼きに焼き部屋へ向かうと、まだ午前中だと言うのに既に皆が集まって居た。遊びに行ってる筈のカラクレナイとネーヴェも島にお友達を呼んだようで、バジャイと子供達がキャッキャしておる。
「美味しい物が頂けると聞いて」「ご相伴に与ります」
ママ上殿とエージャ迄居る。何方にしても持って行く予定なので構わんが、一体誰が呼んだんだ?メッツ君は子供達の群に混ざってるな。
「お兄様に知れたら泣きますね」
「私の妹達も泣くでしょうが、ここは心をアグルガにしなければ」
「アグルガ…。ガルベですね」
王女公女はガルベでアグルガであった。アグルガとかガルベって何だよ。
女子供を掻き分けて焼き部屋に入ると、何と予熱が出来ている。これはリュネがしてくれたようだ。窯の中にリュネが鍋を置く棚で横になっててびっくりした。
「うふ、温めておきましたぁ~」
「助かるけど、びっくりしたぞ」
「暖かくて眠くなりますね~。カララちゃん達が入り浸るのが分かりますぅ」
流石に窯の中で寝ては無いけどな。
平たい角鍋に雑木の薄紙を敷いてポテポテの生地を敷き詰める事二枚。コレを火の通りを見ながら十リット程焼いたら少し温度を落とし、更に五リット焼く。
「一旦外に出るぞ?」
「……はぁ~い」
何か言いた気なリュネのお尻を押して外に出て、再びUFOへ向かいホイップクリームを作る。ママ様の巣の氷もそろそろ終了だな。痛いのを我慢してホイップを味見し、ケーキの焼き加減を確認しに戻る。ケーキの焼ける香りで女達の目が危ない。平常なのはバジャイとリュネ、それと子龍だけか。窯の中で膨らむケーキに雑木の串を刺す、刺す、刺す。良き良き。少しだけ温度を落とし、糖蜜漬けを荒く刻んでおく。そして五リット後、刻んだ糖蜜漬けとケーキを《収納》した。
「うぎぎっ、痛っだいっ!だげだーっ!?」
俺に痛みと拘束を与える程の《威圧》を撃てるのは龍くらいだが、一体誰なのか。ジリジリと足をずらして移動して、やっと窯から出て来れた。
「ケ、ケーキは午後のおやつの時間だからねー?」
「「「はーーーーい」」」
返事だけは良い。俺が家に戻っても、女達は焼き部屋の空気を堪能していた。
体を清め、装備を整え、向かうはセカンドハウス。冒険者達は夕方くらいには帰って来るだろうし、ブチ姉妹と世話係へその頃に来るよう伝えて場所移動。窓から中を覗くとキリッとした後頭部が仕事をしてる。窓をノックし開けてもらうと、キリッとしたカロが蕩けて行く。タマリー母子をカロ邸に呼ぶよう申し付け、チュッとして島に戻った。
昼飯が、殺伐としている。ゲストも居るのに静かなのだ。そして皆、食が細い。来るおやつの時間に向けて、女達の戦いは始まっているのである。お腹一杯になって野生を捨てた寝姿になるバジャイが唯一の癒しか。我が子達もお昼寝なので一緒に寝かせに行く。
「主様、餌の様子を見て来たぞ」
「甘い匂いがするな」
寝てるバジャイを揉み揉みして戻ると、ウラシュ島に行っていたリームとミーネが帰って来てた。
「おやつは子供達が起きてからな。それより餌の様子はどうだった?」
皮を剥いた餌は無事食われていたそうだ。回復させたのも食われていて、色が戻ったかどうかは分からなかったそうだ。食われたのなら皮を剥いて回復させておけば増産出来そうだな。
「一先ず十枚程剥いで来た。回復もしておいたぞ」
「何時も済まないね。撫でてやろう」
寄って来る頭二つをなでなでし、UFO片付けたら俺も昼寝しようかな。
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