1,349 / 1,519
要件
しおりを挟むデリーを帰し、島へと戻り、イゼッタを抱き枕にして寝る。気付けば妻三人に抱き着かれていた。起きたいけれど起きられない。これ寝ながらマーキングしてるな?諦めて目を瞑る。
少しして、兎女児とアルアが起こしに来た。この四人、アルアが来て直ぐ仲良くなって、一緒に子供部屋で寝てるそうだ。
「カケル様~。起きないと爺やと婆やにある事無い事言い付けますよ~」
「起きてるぞー。起きられないだけだ」
「ん…、孕むまで…」
イゼッタよ、それは長過ぎだろう。纏わり付いて離れない三人を浮かせて食堂へ向かう。サミイとリアは起きてるよな?歩けよ。
膝の上にイゼッタ。左右にサミイとリアがくっ付いて、食べ辛い朝食を摂る。スプーンに掬ったスープをイゼッタを避けながら零れないよう口に運ぼうとして、突然の《念話》に驚いて零してしまった。
『カケル様!緊急ですっ』『パパ!ママがっ!』
『要件!』
「緊急だ、離れろっ」
『兵隊っぽいのが一杯来てママ呼んでる!』
『エンメロイッ、要件!』
『星見が街の上を飛ぶ多数の騎竜を見たそうよ。コッチは警戒してるけど、どうやらカケラントじゃ無いみたいなの』
エンメロイとシンクレイアから同時に《念話》が飛んで来て、思わず大きい声を出してしまった。
「カケル、どした?」
「カロの所に竜騎兵が来てるみたいだ。敵としてな」
「貴方様、急がねば」
「施設とカロ邸の者を島に避難させろ。俺はギルドへ飛ぶ」
「主様よ、我を使え」
リームの言葉にミーネとリュネも立ち上がる。
「…リュネはセカンドハウス、ミーネはミネストパレスを見て来てくれ。リームはカロ邸だ」
「はぁい」「そうだな」「任されよ」
リュネが消え、ミーネとリームは食堂を出る。それに続いてラビアン達も行動に移った。
「行ってくるよ」
「「「ご無事で」」」
《転移》して、ギルマス室。そこには既に抜剣した兵隊が居て、カロと其奴等の間に立つ形となった。
「だっ、誰だ貴様っ!?」
「カロ、無事か?」
雑魚の言葉をスルーして、先ずは安否確認。同時に雑魚共を《洗脳》する。
「カ、カケル様っ!」
カロを連れて下へと降りる。カロ曰く、突然捕縛令が下りたと言われたそうだ。廊下や階段に居並ぶ雑魚を《洗脳》し、普段なら冒険者でごった返す筈のフロアで抜剣し、職員に威圧的な態度を示す馬鹿共に《結界》を纏わせ動きを封じた。
「パパーッ」
「パパでちゅよー」
「パパ…」
「カロさんや、外の雑魚を無力化して来るから、建屋内の雑魚を一纏めにしといてくれ」
「はいっ。皆手伝って!」
カロの言葉に職員達の士気が上がる。俺は外に出て、《感知》で見える限りの兵士の腹を《威圧》して脱糞させた。空から落ちてる奴も居るが、運が悪かったな。リームの方に居た奴等よりはずっとマシだろうがな。何より兵士の姿が無い。騎竜もだ。
『リーム、状況は?』
『食えたものでは無いが捕まえておいた。人の子は食わんがな』
…だそうだ。
『ミーネ、リュネ、其方はどうだ?』
『異常は無かった』『今消しました~。接収?とかされそうだったようですよ?』
どうやらバルタリンド方面に集中して飛ばしたようだな。何時の間にか近くに居た騎竜が消えている。食べられないなら放っとけば良いのに。
『ミーネとリュネは引き続き警戒を。リームは休んでくれ、助かったよ』
ギルドに戻ると兵隊共が縛られて、フロアに転がされていた。
「カケル様、《結界》に囚われている者以外、全て捕縛しました」
「外で糞を漏らしてる奴等も捕まえて、街の外にでも放り出しておくと良いよ」
「はい。ですが、よろしいので?正規兵ですよ?」
「リアや義母殿には悪いが、あの二人は死ぬだろうな」
「お、王様ですよ?」
「デリーなら立派な女王になってくれるさ」
「…何時の間にそんな親しげに…。とにかく分かりました」
『パパ、何があったのよ』
『国同士の戦争だよ』
開いた口が閉まらないとはこの事か。
0
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる